54 ダンジョンボスとの戦闘は一部省略してお届けします

 デスデイノとの戦いは第2ラウンド入る。メガロックダイルの力を使って復活したデスデイノは、別にメガロックダイルの能力が使えなくなった訳ではない様だ。

 だが変化は有り、その能力を使った岩の色が黒くなっており。直観と星覚のスキルが、この岩に即死効果が付いていると俺に告げる。

 エルナの装備【転輪星癒セレシエルフルエトワール】には即死耐性が付いている。

 しかも、効果共有により、最低でもその効果は四倍以上に為っているので、多分デスデイノの即死攻撃も大丈夫な筈だ。

 そう云えばチナは、即死攻撃は平気なのだろうか?


「チナ、あの黒い岩には即死効果が有る見たいなんだけど。チナは即死攻撃とか大丈夫なの?」


「にゅ? もちろん大丈夫なのじゃ! わちには神クラスの耐性があるから全然へいきなのじゃ!」


 神クラスの耐性とな? 後でチナから詳しく聞くと、状態異常攻撃やその耐性等は強さに応じ、大きく三つに分かれているらしく。それが、一般クラス,神クラス,大神クラスと云う物らしい。神クラスの耐性を持っていると、その耐性に応じた一般クラス相当の状態異常攻撃は、殆ど効かないとの事。

 ちなみに、エルナの装備の耐性は神クラスに近いとは云え、一般クラスの耐性だ。

 それだと、神クラスや大神クラスの状態異常には、殆ど効果が無いのでは? と為りそうだが、効果共有の相乗効果により、神クラスの状態異常攻撃にも十分対処できる様に為っているらしい。

 更に大神クラスの封印の状態異常を、完全ではないが一応は解呪できたのも、効果共有の相乗効果のお陰でかなり凄い事らしい。

 とは言っても1200年も掛かっているのだけど。


 何はともあれ、二人共即死攻撃は平気と言う事なので、黒い岩をあまり気にせずに戦闘を続行する。ま、念のため『アステルリヴァイブ』をチナと自分との順番に掛けながら戦ったけどね。


 デスデイノは能力が強化されてはいるが、行動パターンは大体読めてきたので、戦闘についての話はある程度省略して、この後の超広範囲攻撃とその攻撃に如何対処したのか話して置く。


 という訳で、二度目に受けた超広範囲攻撃は『グラン・グレイシャーウェーブ』。

 巨大氷河が大津波の如く押し寄せて来る攻撃で、最初は平面状に広がるがBFの端まで広がると。今度はBFの上空にまで及ぶ、超巨大氷河へと成長し圧殺して来ると言う物だ。

 此方がした事はBFの上空高度ギリギリまで上がり、上空で迫りくる超巨大氷河に『ラーヴァフロー』をフルパワーで発動し続ける事だった。

 復活したデスデイノは、青白い体色の部分が黒くなり、使用する氷は黒い濁りが混ざり、汚く見える灰色になっていた。


 三度目の超広範囲攻撃は『クラッシュバイト・ボルカニックスパイラル』。

 まず、溶岩で出来た顎がBFを襲う。そのまま顎が回転し、まるで火山の噴火の如く、大量の溶岩と火山弾をまき散らしながら空へ急上昇。そして、大爆発すると言う攻撃だった。

 此方の対処は簡単で、エルナとチナで防御を固めてから、エルナは『ウラヌスコールドレイン』を使い、チナは『流氷爆裂』,『竜撃砲・爆流氷河』等を使用する事でこの攻撃を凌いだ。予想通り復活したデスデイノは真っ黒になっていた。

 ちなみに、カルデラ湖はこの時点で完全に埋まっていた。


 これでデスデイノの残機は無い筈だ。

 全身真っ黒になったデスデイノは、スーッと背景に溶ける様にして姿を消す。

 はあっ!? おいおい!! デスデイノの奴、プレデター・フォレストカイマンの力も持ってたのかよ!!


 取り合えず、アステルエルアクシアの再度必中の力を用いて攻撃する。

 しかし、直ぐにその力に気付いたデスデイノが、エルナに矢を射させまいと、能力を駆使して妨害攻撃を仕掛けて来る。

 その上、姿が見えず音もしない30mの巨体が、何処に居ようがエルナに向かって突っ込んで来るのだ。これは、最初に全力攻撃するべきだったか、しくじったなぁ。


 こうなると、気配察知に気力感知に魔力感知,直観,発見,星覚とスキルを駆使し、相手を動きを察知してカウンターを狙って戦うしかない。

 シールド等を展開すると、カウンターするのが難しく為るのから、守りが薄くなるはしょうがないな。


 エレアロードヴェインを構え、デスデイノの黒い岩石弾に灰色の氷柱,黒い溶岩の噴火、そしてデスデイノ本体の直接攻撃。それらを見極めカウンターを決める。

 チナもこちらの意図を汲み取って、エルナに攻撃を合わせてくれる見たいだ。

 槍を構えている理由は、現状の技量だと刀は心もとなく感じるし、それに槍も使って置きたいからな!


 デスデイノの巨体が接近するのをスキルが教えてくれる。

 アーツ『纏雷光』を使用し雷光を纏い、『雷鳴閃』,『電光水流』,『星熱刃』,『プラズマブレード』,『星撃』のアーツを何時でも発動できる様に準備する。


 デスデイノが星撃の間合いに入った瞬間、準備していた五重起動のアーツを発動!

 『纏雷光』と『雷鳴閃』で加速し、『電光水流』と『星熱刃』で威力のブーストを掛け、『プラズマブレード』に『星撃』の特大の超加重とエネルギーを乗せ、エレアロードヴェインを真上から叩き付ける様にフルスイングする!!


 ドッ!!! ガアァ――――――――ッ!!!!! 極太の超加重プラズマの柱がデスデイノを叩き潰した。


「うみゅ。わちの追撃は必要ないのじゃ」


 え? チナが追撃せずにそんな事を言うと。


¶ダンジョンBOSS テリスタナトス・デスデイノスクスとの戦闘に勝利しました。


 あっ! 本当に終わってる。う~む、この真っ黒に為ったデスデイノも、何か凄い攻撃をしてきそうだったが、『星撃』を加えた五重発動のアーツの威力がヤバくて、倒してしまった見たいだ。


 デスデイノが分解され、ドロップアイテムと討伐報酬の宝箱が現れる。

 宝箱やドロップアイテムは、ティアーズクロワが直ぐに回収する。

 さっき見えた宝箱、何か凄くキラキラ光ってたんだけど、アレは絶対レアなヤツだよね。流石にダンジョンボスも倒したし、ダンジョンの討伐をする気も無いから、宝箱の中身チェックする時間も十分あるし、開けてみるかな?


¶『良くぞ我が戒めとその守護者を倒してくれた。汝らの望み通りこの島その物である、我の真の姿を見せてやろう』


 え? まだ終わって無いの!? そう云えば、ダンジョンボスを倒したのに、帰還陣とか帰還のゲートとか出てないぞ!?


¶ダンジョンコアとの戦闘条件が満たされました。

ダンジョン内の特殊移動制限が解除され、ダンジョン全域がBFになります。

ネームドダンジョンコア〈見えざる浮遊山林・スペシネイト〉との戦闘に移ります。


 おいおい、ダンジョンコア戦だと? しかもネームドってどういう事?

 つまり何か、あの碑石に書いて有ったのは、ダンジョンコアと戦う為の条件を示してた物だったのかよ!

 ミスったなぁ~、まあでも、しょうがないよなぁダンジョンだし。

 ダンジョンって何か勿体なくて、ついつい全部回りたくなっちゃうんだよなぁ。


 後でソフィーちゃんから教えて貰ったのだが、モンスター含むダンジョンとは、世界の歪みを解消するための法則であり、討伐される事を前提として出現する。

 なので、ダンジョン内で手に入る攻略のヒントとは、ダンジョン討伐関連であるのは当たり前だそうだ。

 つまり、ダンジョンコアと戦う事に為ったのは必然だったと云う事だ。


 ズンッ!!! ゴゴゴ!!! ドゴンッ!!! ゴゴゴオオオオオオォ!!!


 島全体が大きく揺れ、何やらギミックが作動している様だ。

 更に地面の至る所に魔法陣が現れる。流石に帰還陣では無いよなぁ……。


 魔法陣から出て来たのは、このダンジョンで見かけたモンスター達だ。それもウンザリするほど大量に出て来る。

 このまま島の上に居るのは危険なだけだし、空中に移動した方が良さそうだ。


「チナ飛ぶよ!」


「了解なのじゃ!」


 先程、アナウンスが移動制限を解除すると言っていたのは事実なようで、島全体が見渡せる高度まで上昇する事ができた。

 改めてこの浮遊島を観て見ると。首のない亀に見えたこの島は、完全にみんなが思い描く首長竜の姿をしていた。

 このダンジョンは、恐竜=鳥とワニの対立関係と云うのを盛り込んだダンジョンだったのだろう。

 ちょっとズレてはいるが、首長竜は海の恐竜と言われる事もあるし、ワニとの対立も可能性として考えられるのかな? まあ、首長竜は実は恐竜では無いのだが。 

 ちなみに、首長竜って言うけど首の短い首長竜も割と居たらしいよ。


 ちょっと締まらないが、ダンジョンの真の姿とは。

 この浮遊島全体が首長竜の姿をした、ダンジョンコアモンスターだったと云う事が答えらしいな。分かったは良いが、お陰でダンジョン討伐をしないといけないのか。

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