50 森を進むとそこは中ボスとのバトルフィールドでした
石碑には、この島の地図と四つのバツ印が描かれており、「四つの戒めを解かなければ、島の本当の姿を知る事は出来ない」と記されていた。
これは多分、中ボスを四体倒さないと、ダンジョンボスと戦えない奴だな!
バツ印の所に空から向かったり、森の中の道以外の所を進もうとして見たが、行く事ができなかった。その上、空では翼を広げると翼開長5mにも為る、大きなカラスの群れが現れ。森では、長く巨大な棍棒を持った、体長10mに及ぶ真っ黒なサイクロプスが三体現れた。
もちろん倒したが。恐らくは、お仕置きモンスターである彼らのドロップアイテムは、魔石のみでかなり渋かった。ティアーズクロワに入れて分かった名前も、ペナルティレイブンにペナルティサイクロプスだしな。
そんな訳で碑石の有る森の入口から、森の中を進む道をそのまま行くしかない。
森の中の道を進んで行くと、道幅がそんなに広くない事に気が付く。
この道幅だと、モンスターの攻撃を避けるのは難しそうなので、モンスターが出たら即先制攻撃して倒そうと思っていた。実際のところは、ステラレインの自動迎撃により、モンスターは姿を見せた瞬間に、ヘッドショットor急所攻撃によるワンキルで、結局何もする事がなかった。
碌に姿も見ていないが、出て来たモンスターはサウロラプトル,クオテリクス,テラーバードと、現実世界の恐竜や原始的な鳥,恐鳥類と云った、太古の生き物をモチーフにしたモンスターがメインの様だ。お仕置きモンスターは別の様だが。
さて、分かれ道や罠もあったが、エルナのスキルが良い仕事をしており、これまた何の問題も無く進む。道中宝箱も幾つか見つけており、宝箱ごと収納して先に進むことを優先した。宝箱の中身とか凄く気にはなるけどね。
ちなみに、ダンジョンの宝箱は、中身を取り出すとモンスターと同じで、分解されて消えてしまうの為、宝箱だけ売ったりできないらしく。
ちょっと勿体無いなぁ、と思う。これも、ソフィーちゃん情報だ。
全てのルートを進むつもりで移動していると、山の方へ行くルートが無いと気が付く。やっぱり山頂が、ダンジョンボスの居る所なのかねぇ。
そして漸く、中ボスが居そうな森の広場と思われる場所が道の先に見えてきた。
道の方から広場の中を覗くと。広場の中心に、黄土色の巨大ワニが一匹だけ居た。
そのワニは、大きな岩が背中から生え、背中の岩に似たゴツゴツとした皮をしており、非常に堅そうだった。ワニはこちらをじっと見ており、ダンジョンの侵入者であるエルナとチナを待ち構えていた。いよいよ、このダンジョン初の中ボス戦だ。
広場に入る前に、ステラレインの自動迎撃を切って貰う。
流石にボス戦くらいは、普通に戦って連射以外の他のスキルLVも上げたい。
それに、ソフィーちゃんに無理やりとは云え、あんなトラウマに為る様な方法で覚えたのに、二刀流と刀術のスキルがこのままでは勿体ない。
なのでちゃんとLV上げて置こうと思う訳だ。
【流星双剣セレスティアライン】今は双刀と為っているそれを抜こうとすると、勝手に鯉口が切ってくれて便利だ。二刀流の双刀だから余計にそう感じるね。
そして、抜き身の双刀を持って広場に入ると。
¶エリアBOSS メガロックダイルの
おお! いやぁ~、アナウンス本当に開放してよかったな! それにこれなら、IFOがちゃんとゲームっていう感じがして、ちょっと安心できるし良いね。
ゴオオオオオオオオオ!! と吠えた後メアがロックダイルが戦意を滾らせる。
戦闘態勢に入ったメガロックダイルに先制攻撃だ。右足を一歩踏み出し、『ラーヴァフロー』,『ウォータースフィア』,『ウインドシュート』,『ラーヴァスプラッシュ』の装備アーツの四重発動で、溶岩流からの疑似噴火攻撃だ!
火山の噴火は、マグマに水蒸気が入る事で起こるからこれでバッチリの筈だ。
あ、でも『ミストフィールド』を足しても良かったのかな?
踏み出した右足の足元にバキッ! と亀裂が無数に走り、煌々と光る灼熱のマグマが亀裂から物凄い勢いで溢れ、溶岩流と為ってメガロックダイルに押し寄せる。
メガロックダイル飲み込んだ溶岩流は、まさに火山の噴火の如く大爆発する。
ドゴゴゴオオオオオオオオオン!!! 赤く輝く溶岩が噴き上がり、噴煙を巻き上げ火山雷も発生する。うわぁ、メガロックダイルさん大丈夫ですかねぇ。
これにはチナも、ほけぇ~っとした顔で俺の作り出した疑似噴火を見てる。
う~む。これで終わったら、セレスティアラインを抜いた意味が無いぞ?
ゴオオオオオオ!! 所がどっこいメガロックダイルさんはまだ生きていた様だ。しかし、ダメージは大きく、体の岩で出来た様な皮の至る所が灼熱し熔け、肉が焼け焦げもうボロボロだ。何だか居た堪れないので、『星冷刃』,『星光波刃』の装備アーツの二重発動で速やかに止めを刺した。
¶エリアBOSS メガロックダイルとの戦闘に勝利しました。
アナウンスが流れると同時に山の山頂付近からドドンっ! という大きな音がした。何かのギミックが作動したのだろう。
四つの戒め、もとい中ボスを全部倒したら、山頂に行く流れかな?
何時の間にかメガロックダイルは分解され、ドロップアイテムとエリアボス討伐の報酬であろう、霊木の宝箱が現れる。
霊木の宝箱ねぇ、細かな装飾と重厚且つ磨き上げられた艶々の木製の箱からは、エルナの眼を通すと不思議なオーラを纏って見えた。めっちゃ高そうな箱だけど、開けたら無くなっちゃうんだよなぁ。
ドロップアイテムは、倒し方が悪い所為で、皮は劣化して肉は生焼けだった。
ちなみに、生焼けの肉はちゃんと火を通して、加熱処理してからティアーズクロワに収納した。加熱中、チナがワニ肉を食べたそうに、じーっと見てたのはご愛敬だ。
やっぱり、宝箱の中身を確認したくなるが、ダンジョンをとっと攻略してアステリズムに行きたいので先に行こうと思う。メガロックダイルの居た広場から、道が左右二手に分かれていたので、取り合えず左のルートを進む。
道中のモンスターにテリオニアンと云う、畑によくある鳥の目玉風船を思わせる様な、カラフルで大きな目をした、鳥人間のモンスターが現れる様になった。
こいつら何気に武器が使えて、粗末な槍と弓を持っている上に魔法も使える。
特徴的な目玉にも何かしらの力がある様だが、使われても俺達に効果を発揮する事が無かったので、どんな効果が有るか分からなかった。
ちなみに、粗末な槍と弓は流石に使うのは論外だし、売りに出すのも微妙なので放置した。
そんな中でも、チナが「あのワニお肉は、いつ食べるのじゃ?」、と可愛らしく聞いて来るので、「アステリズムに着いたら、お料理屋さんに持ち込んで、美味しい料理にして貰おうねぇ」等と話していると、森の中を散歩している様な気持ちになり楽しくダンジョンを進めるのだった。
そして、漸く二つ目のボスエリアらしき広場が見えて来た。
しかし、広場の外から見ても何もないし何もいない。
もしかして、ボスエリアじゃないのか? そう思いながら足を踏み入れると。
¶エリアBOSS プレデター・フォレストカイマンのBFに侵入しました。
バトルフィールドに入ったと云う事はボスが居る筈なのだが、その肝心のボスが全く姿を見せない。ふと風が動いたのを感じたので、直ぐにその場から一歩離れる。
自分の頭が有った位置を矢が駆け抜ける。
うぇっ! ヘッショ狙って来たのか!? しかも場所が分からん!
「そこなのじゃ! 『飛爪水刃!』」
チナの爪から出た水の刃が、何も居ない様に見える場所に向かい飛翔する!
グヴァッ! ガフッ! 呻き声と何かを吐き出す音がすると、二足歩行のワニ人間が姿を現す。如何やらコイツが、中ボスのプレデター・フォレストカイマンボスの様だ。姿を現したプレデター・フォレストカイマンは、何を思ったのか森の中へ全速力で逃げだす。
俺は逃がさまいと、プレデター・フォレストカイマン。長いので、カイマンの背後から斬り付けた。傷を負わせたがまんまと森の中に逃げられる。
そう、此方が入ろうとしても入れないし、無理に入ろうとするとお仕置きモンスターの出る森の中にだ。
「えっ? ちょっとそれは狡くない!?」
その言葉に反応したのか如何か分からないが、森の中ら無数の矢が立て続けに飛んで来る!
避けられない! と思ったが、エルナに矢が命中する事は無かった。
あれ? 何でだろうと考えて……。
あ! そう云えば、【舞踊風光リエルフルリュミエール】に、矢除けの加護見たいな効果が有ったじゃん! うん、忘れてたわ。
ついでに言うと、チナには矢がそもそも刺さらなかった見たいだ。
カイマンの矢の攻撃は此方には効かないが、森の中に居るカイマンに俺達は攻撃して良いのだろうか? それとも、矢が此方に全く効かないと理解すれば、広場に出て来るだろうか?
辛抱強く待つと、例の見えない状態でカイマンと思われる存在が、接近して来る事を風が教えてくれる。
矢の攻撃は続いているのに、カイマンが接近して来るとは、何か仕掛けでも動作させたのだろうか? まあ、それはそれとして、降り注ぐ矢と矢の間を、擦り抜ける様にして近づいて来る、カイマンらしき存在に攻撃する事を、チナに目線で合図する。
ちなみに、風が教えてくれるって云うのは【風水賢技フロエリーズアルス】の持つ力のお陰だな。
『切払い・双連!』
『竜尾水流払いじゃ!』
姿の見えない敵に、ズバズバッ! と肉を切る手応えと共に、エルナの切払い二連撃が決まり。チナの水流を伴った竜尾による横殴りの打撃が、止めを刺す様にドヴァッシャーンッ!! と派手な音を立て、敵に叩き付けられる。
ゴガァッ! という呻きを上げ姿を現し倒れるカイマン。しかし、カイマンが分解されて逝くのにアナウンスは流れない。
それに、森の中からの矢による攻撃が続いている。って事は……、カイマンは一体ではなく複数いるのか!
同じ中ボスのメガロックダイルと比べて、明らかにHPが少な過ぎるし、複数いるなら確かに納得できる。
道の無い森の中の二方向から、広場に向かって飛んでくる無数の矢に、それに紛れて接近して来るカイマン。こんなの無駄に時間が掛かり過ぎる。ペナルティモンスターが多分出るだろうけど、森に居るカイマンを纏めて攻撃して時短だ!
虹翼を展開して、『ウインドシュート』,『ミストフィールド』,『電光水流』,『星燐』,『フレイムウェイブ』,『虹翼爆裂』のアーツ六重発動し、ついでに名前を付ける。そして、最初に矢を射られた森の中に向かい、虹翼を打ち下ろす様に羽撃く!!
『白流雷火・虹翼爆閃!!』
虹翼の羽撃きから突風と共に白炎が生じ、その白い炎は白雷を迸らせながら、カイマンのいる森に猛烈な勢いで広がって行く。炎が羽撃きによる突風で、送り出せる最大限まで広がった瞬間。カッ! と白い光が走り視界がホワイトアウトする。
ドガガガガガガアアアアアァァァァンッ!!!! と白い光と共に物凄い爆音が響き、俺の視界を荒れ狂う白炎と白雷が埋め尽くす。
威力が強すぎたのか、ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオッ!! と浮遊島の地面が揺れる。
しかし、そんなのお構いなしと。
俺はもう一方の、道の無い森の中にも『白流雷火・爆閃虹翼』を放つ!
先程と同じ光景と地響きが起こり、ペナルティモンスターが姿を現す。
¶エリアBOSS プレデター・フォレストカイマンとの戦闘に勝利しました。
ボスに勝利したと言うアナウンスが流れるが、そのまま真っ黒なブラキオサウルスにしか見えない、ペナルティーモンスターとの戦闘に突入するのだった。
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