49 ダンジョンの飛行モンスターを撃墜した

 夕焼けの空の中、逆光の所為で黒い影に見えるモンスターと思われる生き物が、群れを為して飛んでいる。分かるのはシルエットぐらいで、殆ど小さい奴ばかりで少しだけ大物がいる様だ。

 エルナの使用しているスキルやアーツが、きちんと仕事をしているお陰で全く気が付いていない。良く考えて見れば、エルナ身に着けている神器の、真名と力が分かってから初の戦闘だな。まあ、だからと言って不意打ちをしない訳じゃないけどな。


 【星矢ノ剣帯ステラレイン】から矢を取り出し【星界煌弓アステルエルアクシア】につがえる。アーツ『星輝集束』,『星脈集束』,『星身』,『ターゲティング』,『ターゲットサイト』を使用。

 権能【星法】を使い、3Dシューティングゲーム等でお馴染みの、マルチロックとホーミングショット,ホーミングレーザーの射撃システムを、星法の力でイメージ再現構築する。この星法に名前を付けようかな? 必中とかの意味がると良いよな。

 う~ん。必中と云えばグングニルやミョルニル,ゲイボルクとか有名だけど、やっぱりここはゲームから取って『ドラグーン』にしよう!

 『ドラグーン』だと必中関係ないけどな!

 ちなみに、認識阻害見たいな効果の星法にも『ステルス・パーセプション』と名前を付けて置いた。


 さあ、攻撃アーツを重ねるぞ! 『魔弾』,『チェイスショット』,『レインショット』,『シャワーアロー』,『ホーミングスターレイン』そして、更に一つ『アステルシャワーアロー』を重ねて重複発動。そう、アーツの六重発動だ!

 何時の間にか、アーツの六重発動が出来るように為ってたんだよね。

 このアーツの重複発動はDEX6000以上で解禁される。

 ただし、その時点では二重発動でも、反動ダメージを受けるので注意が必要。

 そして、それ以降DEX6000上がる事に、反動無しで重複発動できるアーツの数が一つ増える。なので、今のエルナは反動無しで、六重発動まで出来るのだ!

 これもソフィーちゃんに教えて貰った事だけどな!


 俺は『ドラグーン』でロックオンした生き物に矢を放つ!

 凄まじいエネルギー量の星輝を宿した矢が、無数に分かれ流星群の如く飛んで行く、それと同時に腰の辺りから物凄い数の矢が、レーザーの様に発射される。

 おおぅっ! 如何やら、ステラレインが自動追撃してる見たいだ。

 そして、今まさに3Dシューティングゲームの名作を思わせる光景が広がっている。次々とホーミングレーザーの如く矢が命中し、空を飛ぶ生き物達を撃墜する。

 やはりあの生き物はモンスターだった様で、分解されドロップアイテムに変わるのが見えた。ていうか、ドロップアイテム回収できないじゃん!

 そう思ったらティアーズクロワがドロップアイテムを回収し始める。


『シズル様。些末な事は、このソフィーちゃんにお任せください』


 なるほど。ソフィーちゃんが、他の神器を通して俺をサポートしている様だ。

 それにしても、俺が矢を放ったのは一回だけなのに、ステラレインから未だに矢がレーザーの如く発射されている。道理で2次スキルの連射が育ってる訳だよ。

 今の状態もそうだけど、ステラレインは自動迎撃もする見たいだし、そりゃあスキルLV上がるわな。


 ここから、浮遊島までの間に居たモンスターの影が、一つも残さずに消えた所でステラレインの追撃が終了した。もしかして、ステラレインってエルナの神器で一番チート臭いのでは?

 取り合えず、ステラレインが有れば、雑魚狩りは全く苦労し無さそうだな。


 さて、浮遊島に向かう前に、一応ドロップアイテムを確認しておこう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

プリオテリクスの羽×312

プリオテリクスの爪×152

プリオテリクスの魔石×584

テルノノクスの被膜×5

テルノノクスの魔石×12

木の宝箱

魔木の宝箱

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 おおっ! 宝箱が入ってるぞ! ダンジョンには宝箱が出るって、RPGや異世界物あるあるの定番だが、IFOでもそうなのか。これは、ダンジョンから出た後にでも確認するかな。

 ふむ。モンスターのドロップアイテムは正直渋いなぁ。

 ドロップアイテムの名前と、遠目から見たシルエットからして、プリオテリクスは始祖鳥的なモンスターなのかねぇ?

 テルノノクスは、遠目で数は少ないが見えていた、デカい影の奴がそうだろう、被膜の大きさやシルエットからして、プテラノドン的なモンスターだと思われる。

 正確には分からないけどね。

 ちなみに、モンスターのドロップアイテムで、一番多く落とすのは魔石だそうだ。

 それから、後でソフィーちゃんに教えて貰ったのだが。

 ダンジョンに出た宝箱の材質から、そのダンジョンのモンスターの傾向が大まかに分かるらしく。複数の材質の宝箱が出るダンジョンは、モンスターの種類が豊富だったりするらしい。ここは木材系の宝箱なので、動植物モンスターがメインだそうだ。


 あらかた確認したので浮遊島に向かって移動する。

 夕焼けが目に入いり、眩しさを感じながら島の上空まで来ると、浮遊島は頭の無い亀の様な形をしていた。近くで見た島は、全体的に深い森で覆われており、山もそれなりの高さがある様に見えた。

 森がざわついており、先ほどのエルナのシューティングゲームを思わせる、弾幕フルバースト攻撃が原因なのは明らかだった。

 島の端に開けた所を見つけたので、そこに降りる事にする。島の端という位置と、船着き場の様な物が見える事から、多分このダンジョンの正規ルートだと思う。


 取り合えず、高度を落として島に上陸っと!

 降りた後周囲を見回すと、やはり船着き場が有る。多分、飛空艇とかそう云うのを停泊させる為の物だろう。船着き場から開けたこちら側のスペースまで、石畳で舗装されており、森の中へ続く道の入口に、碑石が立っていた。


 さて、チナはまだ寝てるかもしれないが、これからダンジョン攻略なので、心を鬼にしてチナを召喚する。

 神具が輝き、エルナの目の前に水色の光が集まってチナが姿を現す。


「エルナ、おはようなのじゃ!」


「おはよう、チナ」


 神具の中でグッスリと寝ていても、流石にダンジョンの中には入れば目が覚める様で、チナはやる気満々だ。ちなみに、まだ真夜中で朝では無いよ。


「チナ、分かって要るかも知れないけど、此処はダンジョンの中だからね?」


「分かってるのじゃ!」


 うむ、元気で宜しい。でも、ちょっと声のボリュームを抑えた方が良いと俺は思うなぁ。


「チナ、元気なのは良いけど、声のボリューム抑えてね?」


「Σふにゅっ!」


 ああ、チナは可愛いなぁ。思わずチナの頭をわしゃわしゃする。


「ああ、癒されるぅ~」


「癒されるのじゃ?」


 チナも、頭をわしゃわしゃされて、目を細めて気持ちよさそうにしている。


 わしゃわしゃした後、チナの少し暗めの色合いだけど、キラキラの宝石の様な真ん丸お目々と、コロコロと表情の変わる顔を観つつ、しばらくの間チナ頬っぺをふにふにしたりして戯れた後、チナにエナを呼んだ方が良いか聞いて見る。

 ちなみに、チナの頬っぺはとても気持ちよく凄く癒された。


「ふみゅ。わちが言うには、けいけんちをたくしゃん得ることを考えるなら、なるべくわちを呼ばないで頑張るとよい! なのじゃ!」


 なるほど。エルナのBALVを上げる事を考えると、エナが居るとチナの分も合わせて経験値が吸われるから、なるべく呼ばないで頑張れって事ね。

 それにしても、何かチナの活舌が少し良くなってる気がするな?


「それじゃあ、二人でダンジョンを攻略しよっか!」


「攻略なのじゃ!」


 攻略するにあたって、明らかに意味ありげな碑石をまずは観て見ますかね?

 多分関係ないと思うけど。碑石の内容次第では、宝箱の中身も確認して置いた方が良いのかな?

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