46 ファーストフードを食べてログアウトしたら嫁が三人になった

 あの後も、色々と総理事から話を聞く事ができた。一通り話を聞き終わると。


¶システムメッセージ

プレイヤーエルナの認識の変化により称号【異世界からの特異なる転生者】が

称号【アースからの特異なる転生者】に変更されました。

プレイヤーエルナが称号【コスモプレイヤー】を獲得しました。


 おっ! 称号を獲得したぞ! そう言えば、俺は気が付かなかったけど、創天の巫女の事ってワールドアナウンスもされたのに称号付かないのか?

 もしかして、大神関連と同じで今は完全ステルスなのか?

 ちょっとソフィーちゃんに確認してみる、多分知ってると思うしね。


『シズル様の考えている通りですよ。創天の巫女の話は、エルアクシア様から聞いております。創天の巫女の称号は、上位神以上に為らなければステータスには一切表示されないそうです』


 つまりステルス称号が増えたという訳か。


「それでエルナよ、この後はどうするのじゃ? 観光でもするのかのぅ? それともご飯かのう!?」


「Σ! ご飯なのじゃ!?」


 エナもチナもご飯食べる気満々じゃないですかぁ~。

 ちびっ子二人が目を輝かせながら見ている方向には、某ハンバーガーチェーン店を思わせる様なバーガーショップがあり、パテを焼く良い匂いが嗅覚を刺激する。

 来訪者ギルドの周りは、よくよく見ると飲食店ばかりである。

 テラの武器,防具やアイテム類の販売や修理等は、ギルドに所属しているテラの来訪者以外には行っていない為、ギルドの周囲がこうなるのはある意味必然と言えた。


 この店の人達もテラから来たのだろうか?

 店は間違いなくテラから来たものらしく、テラ定番のジャンクフード等と称して店舗が並んでいる。ラーメン屋とかもあるが、うちの幼女達はハンバーガーに目が釘付けなので、今日はハンバーガーを食べてログアウトするとしよう。


「それじゃあ、ハンバーガーでも食べる?」


「食べるのじゃ!」


「のじゃ!」


 目を輝かせながら元気よく手を上げて返事をするエナとチナ。

 さて、宇宙から異世界へとチェーン展開したハンバーガーを食べてみますか。


「いらっしゃいませ~、ご注文はお決まりでしょうか?」


 スタッフクルー専用の制服を着たサイドテールの女性店員が、現実世界でもよく聞くオーダーを訊く為の台詞を言ってくるので、メニューを見てあらかじめ決めていた物を選ぶ。

 今回注文した物は、俺はビッグテラセットのポテトL、ドリンクはコズミックメロンソーダLのLLセットを、本当はシェイクが好きだから飲みたかったけど、メロンソーダも同じ位好きなのでこれにした。

 エナとチナは二人して、ビックテラバーガーを20個づつにポテトもLサイズを五個づつ頼んだ、如何やらドリンクはいらない見たいだ。

 やっぱり水竜だから、飲み物が無くても平気なのかな?

 ちなみにお値段は、ビッグテラセットのLLセットが150エア単品価格より25エアお得。ビッグテラバーガー1個100エア,フライドポテトLサイズ1個40エア。合計4550エアだ。


 待ち時間は、ファーストフードのチェーン店らしく短く。

 出来上がった商品を受け取り、おしゃれな喫茶店の様なデザインの、店内飲食スペースで早速食べる事にする。

 ちびっ子二人の前に積みあがったビックテラバーガーの山見て、ちょっとこれ食べられるの?

 何て一瞬思ってしまうが、ドラゴンなのでこの位ペロッと食べてしまうのだろう。

 ビックテラバーガーは、俺の知っている通常のハンバーガーの1,5倍くらいのサイズで、ポテトもドリンクも同様に大きかった。

 これは、Lサイズじゃなくても良かったかな?


 そう思いつつも、ビッグテラバーガーのふわふわのバンズに、肉肉しさを感じさせる厚みのあるパテ、新鮮な野菜もたっぷり挟んであるバーガーに目を奪われる。

 後は、食べてみなければ分からないので、思いっきりハンバーガーにかぶり付く。

 新鮮な葉物野菜、多分レタスとスライスされた玉ねぎが、サクッと言う音を立てシャキシャキの食感を伝えて来る。

 直ぐに、肉感たっぷりの分厚いパテから、肉汁が溢れ出し口の中いっぱいに広がる。BBQソースベースのソースだれと、濃厚な牛肉の赤身の旨味と脂の甘みが、肉汁と混然一体と成って口の中を蹂躙する。

 野菜と酸味のあるピクルスが良いアクセントになり、口の中が脂っこくなり過ぎずこれなら幾らでも食べられそうだ。結論を言うとだ。

 レストランのシンプルかつ高級なハンバーガーを、食いしん坊向けにした様な感じである。要はめっちゃ美味いのだ。

 和牛を食べると人は幸せ感じると言うが、これがそうだとはっきり感じられる程俺は幸福感を得ている!


 ポテトは、外はカリッ! 中はホクホクのカリホク食感に、シンプルな塩味がハンバーガーと一緒に食べるのに最高だ。味変用にトマトベースのソースも付いていて尚よし、ビッグテラバーガーのソースがBBQソースベースなので猶更だ。


 コズミックメロンソーダは昔ながらのメロンソーダに、メロン果汁をたっぷり使った粒々のゼリーが入った物で、ゼリーもソーダの様にしゅわしゅわしていて、ちょっとトリッキーなメロンソーダだったけど非常に美味しかった。


「もぐもぐ、ふむ。良い肉を使っておるのぅ、美味いのじゃ!」


「うまうまなのじゃ!」


「ふふ♪ 本当に美味しいねぇ~」


 エナとチナも気に入った様で物凄い勢いで食べて行く流石ドラゴン。

 宇宙や異世界にチェーン展開したからと云って、別に寄をてらう様な事も無く正統派に美味しいハンバーガーだったな。

 食事が終わりまったりしたい所だが、今日はもうログアウトして待機ルームでリアルアバターの確認をしたい。現実世界の時間帯も深夜帯だしな。


「そろそろ、ログアウトするから一旦パーティーは解散ね」


「む、異世界に呼ばれておるのじゃな。了解じゃ! 異世界では気を付けるのじゃぞ!」


 そんな訳で、エナと別れチナを神具に戻しログアウトするのだった。






「静流さんお疲れ様です」


 待機ルームに戻って開口一番、桜が労いの言葉を掛けてくれる。


「桜、いきなりだが、桜が自分のステータスを見れるか確認してくれ、俺も自分のステータスが見れるか確認するから」


「ステータスですか? それはIFOの?」


 桜が右手の人差し指を顎に当て小首をかしげる。うむ、めっちゃ可愛い。


「そうだ。待機ルームは完全に独立していると言っても、やはりIFOの一部であることには違いないんだ。だからステータスは、まず間違いなく見れるからハラスメント設定とかしっかりするんだぞ?」


「なるほど、そう言う事ですか。分かりました、直ぐに実行しますね」


 メニューを呼び出しても、ステータスの項目は表示されていない。

 それでもステータスを見る事を……いや、ステータスが見れると意識するとメニューにステータスの項目が現れる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

USER NAME   結城 静流

S/E       男/18

RACE    アース人/????

BLESS      252


種族特性

 コスモ


称号

➤コスモ能力者 固有世界の主 ?????? ????? コスモプレイヤー

 特異なる分霊の主


権能

➤固有世界

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 おお! 出たぞ! 何か?マークがあるけどこれでこのリアルアバターはアース人確定……? 何かRACEにも?マークがあるぞ、何となくこの表示の仕方だと予想は付くがやめておこう。

 それに、【特異なる分霊の主】の称号があるのに、権能に【特異分霊法】が無いな。これはルールの違いとかそんな感じで使えないのかな?

 良く見るとBALVじゃなくてBLESSだし。加護ねぇ、エルナのBALVと同じだな。

 これはプレイヤーは、自キャラから加護を貰っているとかそう云う意味かな?

 お、メニューにこの体のボディコンフィギュレーション,ハラスメント設定が出てるぞ! しっかり設定しておこう。それに、俺のリアルアバターにも共有倉庫が使える様に成ってる後で課金リストチェックだな。


「本当に、ステータスとハラスメント設定。それに、ボディコンフィギュレーションも出来る様になりましたね。えいっ!」


 桜が抱き着いて来る。自分で抱き着いて赤くなってあわあわするのとても可愛い。

 桜曰く「ハラスメント設定の確認です」との事。

 俺は取り合えず今日IFOであった事を話す。

 クロニクルクエストについて、あの時掲示板を確認して於けばよかったとか。

 色々あるがやはり一番は、このリアルアバターとテラ、それにアースの事だ。


「という訳で、イチャイチャするのは良いけど、それ以上は現状対処が出来ないので無しと言う事で。流石に、いきなりVR子育てはきついしな」


「むぅ~。仕方ないですね。課金リストにも何故か避妊アイテムが無いですし。それに、子育ては大学生の静流さんはでなくとも、非常に強いストレス受ける事に為ります。しょうがないですね」


 子供っぽく頬をぷくーっと膨らませて、むぅ~っと言って拗ねる桜めちゃかわ何だが、これもナビとしての高度な計算能力のなせる業なのか。まあ、違うだろうけど。


 それはさておき、桜が俺に抱き着いてから何やら強い視線を感じる。

 いや……、それだけじゃない物凄いプレッシャーを感じるぞ!

 視線とプレッシャーを感じる方に目を向けると、俺が決めたポーズをしたなんちゃって巫女服を着たエルナがいる。

 これはアレかな「何私の前でいちゃついてるのよ」とでも言うかの様にこちらをじーっと見ている。

 流石に桜も気が付いたのか、俺から離れてエルナの方を見る。


「エルナさん、もうこんなに意識が目覚めて来たんですね」


 そう言うと。桜はエルナの側に行き、エルナに話しかけ始める。


「はい……はい……、そうですか側室はOKと。はい……分かりました」


 エルナからの圧が消え桜がこちらに来る。


「で、一体何だったんだ?」


「はい。私は静流さんの三番目と言う事になりました」


「はい?」


 桜の話曰く俺はエルナの存在モノらしく、これは絶対なのだそうだ。そして、本妻は自分で、第二妃は自分の特異分霊のシエルだと云うのは譲れないとの事。なので、自分は第三妃して貰ったとの事。

 エルアクシアでも一夫多妻とか一妻多夫なんてのもやっている人や神もいるのでエルナ的には自分が俺の一番ならば良いそうだ。

 それにしても、如何やらエルナは俺にベタ惚れで、本当は独占したいが俺の事をよく知っているし、エルナも美少女は好きなのでこう云う形に収まったらしい。


 何故そうなったのかは、考えれば直ぐに分かった。

 イメージクリエイトをする時、自分の理想の美少女を俺は作った訳だが。そんな自分の理想の美少女が、自分の事をこの子が好きだったらとか考えない筈が無い。

 更に前世として俺を覚えていた事も踏まえた上、俺の意識が現れこの待機ルームで触れ合えると成ったら、そうなっても可笑しくないな。

 それに、美少女が好きって、俺の影響がもろに出てるやん。

 だから、エルナとして美少女に接している時、いつもエルナから機嫌が良さそうな意思を感じるのか納得だわ。

 それに、桜に対してモヤってたのは、俺とイチャイチャしてる事への嫉妬。

 でも、美少女でとても可愛いため葛藤していたのだろう。

 まあ、嫉妬の方が強めだった見たいだがな。


 さて、エルナとシエル、それと桜がVR嫁になる事が、自動的に決まってしまった訳だが。先を見据えて、待機ルーム専用課金リストを見て使えそうなものをチェックする。共有倉庫を使えば、課金リストに載っている施設で手に入れたモノや作った物を、共有倉庫に入れたら向こうで使えるって奴だよね。その逆に、向こうのモノを待機ルームに持ち込めるって訳だな。


 試しに、既に課金して購入済みの温泉施設。まあ、温泉宿なんだけど。

 施設内にある冷蔵ケースから、幾らでもゲットできるフルーツ牛乳などを、共有倉庫に入れて見た。


¶システムメッセージ

プレイヤーユーザー結城 静流が条件を満たしました。

異次元世界テラ未開拓保護惑星アースへのゲートが解放されます。


※解放されたゲートをご利用いただくにはプレイヤーユーザー結城 静流のBLESSが900以上必要です。ご容赦ください。


 ほぉ~、こう来るか。アースに行ける様になったけど、結局BALVが足りないってか。まあ、これはしょうがない。セカンドキャラのシエルより、早く使える様に成るだけましだ。


 さて、FUTURE VISIONの、IFO外公式掲示板に書き込みを試みようとしたが、やはり書き込めない。

 メッセージが来て『現在あなたのユーザーアカウントは、特殊な状態にあり掲示板に書き込めません。状態の解決にはIFO内での問題の解決が必要です』との事。

 あ~、情報の独占疑われたりしそうで嫌だわぁ。


 あ、そうそう。桜の種族は、人工精霊で【特別な体を得た人工精霊】という称号をを持っているらしい。

 今日はこれでお終いだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る