44 来訪者ギルドに着いたよ
来訪者ギルドへ向かうにあたって、スペルアーツ『静星隠し』とスキル気配希釈に、念のため初使用となる権能【星法】で、認識阻害の効果を発揮させておいた。
とは云え、創天神殿の表参道は大混雑を起こしていて、ゆっくり景色を見ながら移動と云う訳にはいかず、大勢の人が神殿に向かう中、流れに逆らい歩いて行くのは流石に遠慮したかったので、軽く空を飛んで直ぐに神殿から離れる事にした。
人が少なくなった所で降りて歩いて移動する。
「ふむ。幾らワールドアナウンスが有ったとは言え、随分と人が集まるのが早いのぅ。やはり、わしが来て既に人が集まりかけていた所に、新しい創天の巫女が現れたと云うアナウンスが流れた所為かのぅ」
「えっ!? ワールドアナウンス有ったの??」
「む、何じゃ? エルナは創天様から、アナウンスの恩恵を貰っておらんか? 何かしらの加護を持つ者は、創天様に祈りしてお布施を払えば、幾つかの恩恵を授けてくれるのじゃ。折角、加護を持っておるのじゃ。金銭に余裕が有るならば、恩恵を授けて貰っても損は無い筈じゃぞ?」
「私、恩恵は授かったけど、アナウンスを聞けてないんだよ。如何してだろ?」
「ふむ。エルナよお主、アナウンスの恩恵を
ああ!?
ちなみに、創天のお告げは既に
ログを確認すると。しっかりと、皇都に新しい創天の巫女が現れたと云う事が流れていた。名前は、アナウンスを
ちなみに、運営公式サービス事恩恵は、転生者のみと書かれて居たりしたが、加護持ちも一部を除いて恩恵を受けられる様だ。
そして、現在アナウンスの恩恵持ちが、創天の巫女の事を掲示板に情報を流し、それを見た皇都の加護持ち達が、アナウンスの事を現在進行形で絶賛拡散中だと、エナが教えてくれた。この世界情報広がるの早くない?
「如何やら恩恵を
「うん。エナ教えてくれてありがとう」
「エルナは意外とうっかりしておる様じゃのぅ」
「私、うっかりしてるかな?」
「割りとしておるのじゃ」
「そっかぁ~、うん。私、うっかりしない様に気を付けるよ!」
「そうじゃのぅ、気を付けるのは良い事じゃ。じゃが、そこら辺はわしがサポ-トするから大丈夫じゃろ」
そっかぁ、俺うっかりしてたのかぁ、気を付けようとは思うが如何なんだろうな? まあ、多分エナの方がしっかりしてるし、エナにうっかりのサポートをして貰う方が確実かなぁ。しかし、幼女にうっかりのサポートをして貰う俺って……。
エナは見た目が幼女だから尚更なぁ。
さて、それは置いといて、今日は時間的にも来訪者ギルドで話を聞いたらログアウトする予定だ。なのでギフトボックスに付いては、クロニクルクエストの報酬が入っているかだけを確認しておいた。
「それでエナ、私達は来訪者ギルドに向かっている訳だけど。来訪者ギルドってどんな所なの?」
そう言って周りを見る。
皇都は、ビルを思わせる様な背の高い建築物が多く、地面は舗装されていた。
そして、それと同じ位の数の大きな樹が街のあちこちに見られる。
中には、ファンタジーに出て来そうな樹の中をくり抜いて、人が住んだり出来る様にした樹の家ならぬ、樹のビルも見受けられた。
「そうじゃなぁ~。来訪者ギルドもそうじゃが、その周り含めて皇都ではとても浮いておるとしか言い様が無いのぅ」
「そんなに浮いてるの?」
「うむ。そもそも、異世界テラから来た者達は、何故か自ら進んで来訪者を名乗る、変わり者じゃからのぅ」
「テラの人ってそんなに変わってるの?」
「変わっておるのぉ~。何せこの世界の繁栄の為に行われた創星の後、割と直ぐに異世界との交流が始まっておるのじゃが。その歴史から見て、来訪者達は皆自分達の事は来訪者とは言わず、自分たちの出身世界の名前の者だと云うのが普通なのじゃ。それにのぅ。わしらが来訪者と呼ぶのは、相手の出身世界が分からない時に使うだけなのじゃ」
確かにそうだ。色んな世界が存在する中、自分達を自ら来訪者と名乗るのは、中二病か「自分達怪しいですよ!」と言っている様な物ではないか。
ちなみに、創星とは星界をより発展させる為、生物が生き易く住み易い様に、テラフォーミングなどを含めむ、惑星を中心とした世界の調整をする事だ。
「それにのぅ。わしらだって、相手の世界に行ったら来訪者なのじゃから、ややこしいじゃろ」
「うん。確かにややこしいね」
そうだよなぁ。エルアクシアの人達にとって、異世界とか有るのは当たり前だし、こう云う事が当然常識になるよな。
「テラの者達が、自らを来訪者と名乗る所も変わっておるが、服装もわしらが今まで見た事無い物じゃったのぅ」
「あれ? もしかして、エナってテラの人達に会った事があるの?」
「もちろんなのじゃ。テラの者達は、この国にギルドを作ってる位じゃやしな。あやつらは、60年前に初めて生身でこの世界にやって来たのじゃ。それまでは、魂だけ転生という形で、稀に来ておっただけでのぅ。丁度わしも神殿に呼ばれていたし、どんな奴らか気になったからのぅ、わしも見に行ったのじゃよ」
えっ? テラの来訪者って生身で来てるの!?
俺の知ってる事と違うんだけど如何云う事だ?
例の設定資料は公式の物だし、間違いでなければ記入ミスか?
「へ……へぇ~、そうなんだ。私もますます気になるなぁ」
『叡智を司る神器の端くれとして、
急に、ソフィーちゃんが喋るとビクッ! となるが。
まあ、トゥインクルソファイアの性質上そうなりますよね。
「そろそろ、来訪者ギルドのある地区に入るのじゃ」
風景がガラリと変わる。必ず目に入っていた大きな樹が見えなくなり、舗装されていると云っても石畳だった地面も、急に全く継ぎ目の無い灰色の金属とも石とも見て取れる、謎の物質で地面が覆われている。
立ち並ぶ建物は、宇宙に進出した人類が住んで居そうなデザインをしており、素材はやはり地面に使われている物に似た色違い謎の物質に見えた。
まあ、何が言いたいのかと云うと、ここは未来を描いたSFの世界かな?
そう言いたくなる光景だった。
歩いている人は、先までの人達と同じ服装の人達が大半だが、明らかにこう云うファンタジーの世界では、見かける事はない体にピタッと張り付く、体のラインがでそうな素材で出来た、宇宙系のSFに出て来るスーツの様なを着ていた。
更にその上から、メカニカルなアーマー等を装備している見たいだった。
武器と思われる物を含め装備は、豊富なギミックがガチャガチャと稼働しそうなメカメカしい物で、少しでもこう云う物に興味のある人には、魅力的に映るだろう。それに、如何見てもロボにしか見えない人もいる。
惑星探査に来た未来武装で身を固めた人類かな?
『これは、興味深いですね。しかし、姫様から聞いていた話の人達とは随分と違うようですが?』
うん、俺も分からん。あの人達って、どう考えても俺の知ってる来訪者じゃないし。
「エルナよ、来訪者ギルドに着いたのじゃ!」
エナが元気よく指を差し、来訪者ギルドに着いた事を教えてくれる。
エナが指さす方に視線を向けると、何処から見ても五角形のドーム状の全体的に白く輝く建物があった。その建物にはデザインとして、建物全体に幾つものラインが綺麗に引かれ、それが良いアクセントになっていた。
空中にはホログラムの看板が出ており、そこには来訪者ギルド書かれていた。
「ほぇ~、変なたてものなのじゃ」
これまで、黙々とエナの後をついて歩いていたチナも声を出して感想を言う。
うん、そういう感想になるよね。だってこれ、所謂デザイン重視の建物だろうし。
来訪者ギルドの入口に近ずくと、シュンと言う音と共に自動でドアが開く。
ギルドに入る前に、使用中のスキルやアーツなどを、エルナが普通に話していても違和感を持たれない様に調整しておく。
来訪者ギルドの中に入ると、外からは分からなかったが、壁が透けて外の光景が見えていた。所謂、マジックミラー構造だった様だ。
ギルドの中に居た人達は、未来チックなアイテムを持っていたりするが、外に居た人の様なゴリゴリのSF装備の人はそこまで多くいる訳ではない様だ。
あ、先見たようなロボな感じの人達もやはりいた。完全に機械生命体見たいな外見の人とか、一見普通の人の様に見えるけど全身機械とか、まんまサイボーグの人とか。そういう種族なのか、アンドロイドなのか、単なるメカなのかは分からないが。
判別が出来た理由は、ギルドの内でその人達が調整の様な事をしてたからだ。
来訪者ギルドの内装は、白を基調としており埃一つ無い。そんな清潔感を印象付けるエントランスを進み窓口まで行く。ギルドの受付で、新しくこの世界に来たテラの来訪者達の事を聞きたいと伝えると。今日はテラ来訪者の事や、このギルドの事を詳しく知っている、ギルドの偉い人が来ているらしい。
ちなみに、ギルドの受付の人は美人なお姉さんで、長く伸ばした癖のある明るい茶色のカールヘアに黒みの強い茶色の切れ長の瞳、エルフの様な耳にイヤーカフもしくはイヤフォンの様な物を付け、頭には制服とセットと思われる白とピンクのベレー帽を被っている。体は華奢で全体的に細く、胸も控えめで白い手袋をしている。
来訪者ギルドの受付嬢なのだからテラ人だろうし、種族はちょっと分からないが。
ぽわぽわした雰囲気と、癒しオーラ満載の美人なお姉さんだ。
名前はエミリア・ステノーというらしいね。
「私達、テラから来訪者の事を、現地の方々に知って貰う事は、来訪者ギルドの融和理念の一つと成っていますから、是非ギルド総理事のお話を聞いて行ってください」
来訪者ギルドに急に訪ねて来たのに、いきなり総理事って一番偉らそうな人から話を聞けるとか。来訪者ギルドって、結構敷居の低い風通しの良い組織なのかな?
それとも、エナがこの国の神だと知っていて、贔屓してくれているだけかな?
まあでも、偉い人から詳しく話を聞けるなんて滅多に無いだろうし、テラの事を色々聞いて見ようじゃないか。大分、俺の思っている物とは違うようだしな。
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