43 創天神殿にてIFO内運営公式サービスの解放をした

 エルアクシアの主な神々と大神達の話を聞きながら、それぞれの区画を抜け創天の意思を祀る、この神殿の中心とも云える場所に到着する。

 創天の意思を祀るこの場所は、十一柱の最高位の大神達の神像が、ユクスノールの物を除いて左右に神殿の柱と共に並び、その先に金色の光が降り注ぐ祭壇があった。

 祭壇の前には結界が張られて折おり、そこから神殿の参拝客は祈りを捧げている様だ。その奥には先ほどの神像の並びには居なかった、最高位の大神達のトップであるユクスノールの物と思われる神像も見えた。

 この場所にも窓はあるが、祭壇に降り注ぐ金色の光は窓から入ってきた光とは関係なく、窓の無い天井から降り注いでいる様に見えた。

 ちなみに、天井にはあの金色の光が発生する様な仕掛けは存在せず、この地に創天神殿を置く事が決まった時から始まった、創天の意思が起こした神秘現象であるとルセリアさん教えてくれた。


 さて、取り合えずこの祭壇でお祈りとお布施をすれば、先ほどのイベントの報酬含め漸く運営の正式サービスが受けられる筈だ。

 神殿の参拝客達が祈りを捧げているのを見て。


「ルセリアさん、私もお祈りして良いですか?」


「もちろん、大丈夫ですよ。エルナ様」


 そう言うと「では、エルナ様はこちらに来てください」と、ルセリアさんに結界の張られた祭壇の内側に連れていかれる。

 俺は、他の参拝客と同じ場所で祈るものだと思っていた為多少慌てたが、今エルナがどんな姿をして居るのか思い出す。

 今の自分が、如何見ても高位の聖職者にしか見えない上に、此処の司祭を連れているとなれば、一般の人達と同じ場所でお祈りをさせて貰える訳が無いと、思い至るのだった。


 祭壇の前でチナを下ろし、ルセリアさんに倣い片膝をつき両手を組みむ。

 エナとチナもお祈りをする様で同じポーズを取る。うむ、可愛い。

 にしても、お祈りって何か言った方が良いのだろうか?

 取り合えず、IFOで理想のキャラが作れた事でも感謝しとくか。


「創天に感謝を捧げます」


 するとエルナから何故か星輝が溢れ祭壇に注がれる。


¶システムメッセージ

プレイヤーエルナ・リファネ・アールス・EがIFO内における【FUTURE VISION社】の運営公式サービスを受ける条件を満たしました。

どのサービスを開放するかはメニューから行ってください。

次回からプレイヤー名は名前の部分だけ表示します。ご容赦ください。


エルナちゃん曾お祖母ちゃんサービスしといたからね♡


 サービス? さっき星輝が勝手に祭壇に注がれて居たのと何か関係ありそうだな。


 祈りの姿勢のままだが、早速メニューを開いて確認だ。

 メニューには、運営サービスの項目が増えていた。

 それに、課金サービスも受けられる様になっている。

 確認して見ると。受けられるサービスとその内容に、サービスを受けるのに掛かる料金であるエアと、そのリアルマネーでの価格が表示されていた。

 課金サービスはアバターキャラクター専用の物と、ある程度のエアが有れば買える装備品や衣服,生活用品,食料品にポーション類、更に通貨であるエアが最低1000万エアから1000円で買える様だった。

 転生者は、基本課金してもIFO内で普通に手に入る物が中心で、課金はあまり意味が無いのかと思ったが。

 ラインナップをザッと見ただけでも相当な品数が有り、転生者でも課金する意味が意外と有りそうだった。

 掲示板に載って無かった、装備品やポーション類も買えるしな。

 まあ、課金は待機ルームにしてるし、今は運営サービスだけ見ればいいだろう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

GMコール:お布施2000万エア又は2000円

創天の意思の小さな化身と呼ばれるGM即ちゲームマスターを呼び出し、国や世界の法で裁けない物事やプレイヤー関連の様々な揉め事に対応する。

※必ず姿を現す訳ではありません。呼び出した者の味方をする訳ではありません。


運営直通メール:お布施10万エア又は10円

ログアウトせずにIFO内から運営に、様々な質問や要望などに対応するメールを送る事ができる様になる。

※メールの返信などのお約束はできません。


通報メール:お布施10万エア又は10円

ログアウトせずにIFO内から運営に、バグやプレイヤーの違法行為などを通報する事ができる様になる。


各種アナウンス:お布施300万又は300円 ※転生者のみ

ワールドアナウンス,地域アナウンス,イベントアナウンス,BOSSエネミーアナウンス等の各種アナウンスの開放。


ギフトボックス:お布施500万又は500円 ※転生者のみ

各種課金アイテムやイベント報酬などの受け取り等ができる様になる。


ワープポータル:お布施1000万又は1000円

各種神殿,社の影響下にある場所に転移できる。

※使用キャラクターに非友好的な存在の物を除く。


共有倉庫:2000万エア又は2000円

※同アカウントの来訪者と転生者が作成されている場合のみ。

同アカウントキャラクターのアイテムを収納して置ける。

※専用装備や専用アイテムは同アカウントでも取り出せません。

※倉庫内は時間停止仕様です。


創天のお告げ:PRICELESS!

創天の意思の気分次第で創天の意思とやり取りする事ができる。


星輝を捧げて貰ったから、お布施を表示から70%割引するね♡

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 おおっと! 70%引きしてくれるとは有り難い! それにしても、GMコールにお布施が必要とはな。しかも、これ来訪者もお布施いるじゃん。

 なかなかに酷いなぁ、でも70%引きだから払うけどね。

 メールにアナウンス,ギフトボックス,ワープポータルも解放っと。

 このワープポータル、影響下にある場所に転移できる書いてあるけど。これ町の外でも使えそうだし、かなり便利そうだな。

 この共有倉庫って必要かどうかちょっと微妙で分からないけど、アカウントの二キャラクターを作ってないと、解放できない者見たいだし。

 取り合えず、今70%引きで安いから解放しておこかな。

 お告げねぇ? これって解放した方が良いのだろうか?

 何か、面倒くさい事に為りそうな気もするけど。それ以上に、有用そうに思えるから解放して置くか。


¶創天の意思

エルナちゃん! 曾お祖母ちゃんと話してくれるのね! ありがとう♡


 うおい! まさか創天のお告げって、ただエルナと話したいから、表示されてたって事は無いよな!?


¶創天の意思

……


 いや、無駄に「……」だけ返してくるとか、ただ話したいだけじゃねぇか!


¶創天の意思

とにかく、エルナちゃんとシズル君。これからは、曾お祖母ちゃんちょくちょくあなた達に話しかけるからね♡


 俺の事を、エルナとシズルの両方で呼ぶという事は。創天の意思は、完全にエルナと俺が別人格だと認識してるのか。あと、やっぱりただ話したいだけだよね?


 お祈りの姿勢をやめて立ち上がる。

 人が沢山居るはずなのにとても静かで、何故かエルナに視線が集まっているのを感じたので、周囲の状況を確認しようと周りを見た。

 ルセリアさんにエナもチナも、そして参拝客の人達皆が凄い物を見たという顔して、熱い視線をエルナ向けていた。

 如何やら、エルナがお祈りをしている間に何か起こっていた様だ。

 エルナがお祈りをやめて周りを見た事で、皆さっきまでの静けさと一転して大きな歓声を上げる。皆、口々に創天様を見たと云っている。

 エナもチナも「流石エルナなのじゃ」と、うんうんと頷いている。

 ルセリアさんは、恋する乙女の様な顔をしていたが、「これは?」という感じで俺が目線を向けて見る。ルセリアさんと目が合った途端、ルセリアさんが高速で頷く。

 うむ。よく分からないが、なんか大変な事が起こったのは分かった。


 とにかく、このまま此処に居るとかなり面倒な事になりそうだ。

 俺はルセリアさんに頼んで、儀式などで使う神殿関係者用の通路に、直ぐに案内して貰い移動する。


「エルナ様は、創天の巫女様だったのですね! まさか私が、創天の巫女様のお披露目に立ち会える何て、感無量ですよぉ!!」


 通路に入ると、興奮した様子のルセリアさんが、物凄い勢いで捲し立てる。


「ええっと、落ち着いてルセリアさん? 創天の巫女って、一体何なのか教えてくれませんか?」


 ルセリアさんが、はっ! となり自分自身を落ち着かせる為に深呼吸をする。


「エルナ様、創天の巫女様とは創天様の神託を何時でも受けられ、そして創天様と直接やり取りができる特別なお方です。創天の巫女様は、世界神エルアクシア様だけしか居ない、唯一無二の存在だったのです! ですが今日、エルナ様が創天の巫女様に成られ、この世界に二人目の創天の巫女様が現れたのです! まさに今日、この日は歴史に残る奇跡の日と言えます!!」


 これって、絶対創天のお告げの所為だよね?

 しかも、創天の巫女ってエルナ以外の人は、エルナの母であるエルアクシア神しか居ないのかよ! ますますプレイヤーに知られるのが不味くなるじゃん!

 ルセリアさんは、偉い人に報告しなきゃと、慌ただしく何処かに行ってしまった。


「エルアクシア様には、最高位神ですら殆ど会う事ができんと言うからのぅ。エルナは、物凄く簡単に会える創天の巫女様になるのぅ」


 おおぅ、エナがとんでもない事言ったぞ!

 このままだと、身動きが取れなく為りそうじゃないか!


「何、エルナよ。そんなに気にする事は無いのじゃ。お主には、強力な神器の力による隠蔽もあるのじゃぞ? それに、お主に掛かっておる大神呪いの所為で、この事も恐らく忘却されるのじゃ。要するに、気にしても意味がないのじゃ」


 エナが何でもない様にそう言うので、確かにそう言えばそうだったと、俺は落ち着きを取り戻すのだった。

 アレ? そう云えば、アナウンスも流れて無いし。実は大した事なかった?


「エルナよ。折角皇都に来たのじゃ、観光でもするかのぅ?」


 そうだな、ルセリアさんも何処かに行ってしまったし。

 気分転換に観光でもするか!


「そう言えば、お主。テラの来訪者達を気にしておるようじゃのぅ? この皇都ド-ンライズには、テラの来訪者達が作った自ら来訪者を名乗る、来訪者ギルドがあるのじゃ。良かったら行ってみるかのぅ?」


 何ですと! この来訪者プレイヤーの出発地点ではない。ジュナ皇国の皇都ドーンライズに、来訪者ギルドがあるだと? そりゃ、気になるし行くしかないだろ!

 それに先エナが言った通り、エルナの事は忘却されてしまうのだから、積極的に動いても問題ないって事だもんな。

 ちなみに何でエルナが、来訪者を気にしている事を、エナが知っているかと云うと、チナと認識を共有して分かったらしい。


 良し、いざ来訪者ギルドへ!

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