40 空でエルナの衣装替えとスキル強制学習
ジュナ皇国首都である皇都ドーンライズがどんどん近ずいて来る。
あれ? エルナって、このまま首都の周りにある衛星都市と思われる都市とか、そういうのを無視して首都に入って良いのであろうか?
「ねえ、エナ! 私って、このまま首都に入っちゃって大丈夫なの!?」
『うん? おお! それなら大丈夫じゃ! エルナはわしと分霊契約を結んだ時に、既にジュナ皇国にわしの巫女として登録済みじゃよ。それに本霊契約した事で、わしとの関係が自動更新されて、お主が、わしの第一位の巫女として、登録されている筈じゃ! 故にお主は、この国の皇族と同じ扱いになり、この国の何処に行こうが自由となっておるのじゃ!』
「えぇっ!? エナ、そんな話聞いてないよ!」
『そうじゃったか? まあ、別にいいじゃろ、不都合がある訳でもないしのぅ。それにわしも、この国でそれなりに長く信仰されてきた神の一柱じゃぞ? そのわしの代理人と言える、本霊契約を結んだ者が、それなりに扱われるのは当然じゃろ?』
「た……確かに、そう言われるとそうよね」
『じゃろ? エルナの、大神の呪いと思われるモノについても、わしが近くに居れば問題ないじゃろうしのぅ』
はぁ~。何時の間にかこの国の皇族扱いかよ。
先に言って於いて欲しかったよ、エナ。流石に心構えとかあるじゃん?
『シズル様、いえ。姫様は、エナ様の巫女になられたのですよね?』
え? まあ、そうだけど。ソフィーちゃんそれがどうかしたの?
『ならば、TPOを考えて御召し変えをしましょう!』
御召し変え? 衣装替えの事か。そう云えば、エルナの身に着けてる神器には、形状変化の能力があったな。そう思っていると。
『では、姫様。ジュナ皇国最高位の巫女に相応しい服装に御召し変えしましょう』
エルナの身に着けている神器が、白く光り出しその姿形を変えて行く。
実際に装備を変えて、着替える訳じゃないのは、分かっていた。
しかし、これは魔法少女の変身シーンその物じゃないか!
よし! 後で録画を見よう。
「おお! ふくが光ってかわっていくのじゃ!」
『どうでしょう? 1200年前と変わって居なければ、ジュナ皇国最高位の巫女に相応しい服装はこの様な感じになる筈です』
チナがエルナの、魔法少女の変身シーンさながらの光景を見て、目をキラキラさせながら、興奮した様子で「しゅごいのじゃ!」と喜んでいる。
そんなチナを見てほっこりしつつも、ビジュアルミラーでエルナの衣装をチェックする。パッと見は、緋色が青色に成った日本人に馴染みの巫女服と、神楽などの時に着る白拍子,更にドレスの要素を合わせたデザインをしている。
帯が長く垂れ、細かな刺繍が華やかさを出し、それで居て落ち着いた大人の雰囲気を持つ、なんちゃってファンタジー巫女さん風衣装になっていた。
当然、エルナに似合っていて、メチャクチャ可愛い良いとして、もう少し見る。
細かく見るとアクセサリー類も、皆デザインだけでなく色も変わっている。
髪飾りのトゥインクルソファイアなんて、一つだった物が二つになった上に左右に付いてるし、リボンも白くなり丈長見たいな印象に変わり、エルナの髪に交差するように巻き付いている。
髪型がポニーテールのままなのは、なんちゃて巫女さんだから良いのかな?
足もデザインは違うがショートブーツのままだし?
全体的に、花や草木の繊細な意匠が施されていて、アクセサリー類はそれが顕著だ。他にも星矢ノ剣帯は完全に帯になってるし、双剣が如何見ても刀に変わっているんだが? 刀術スキル無いから使えないよ?
「何で和風なの? あと、私刀使えないけど?」
『巫女服のデザインについては、ジュナ皇国が長く友好関係にある南の隣国。陽和王国の、巫女が着る服装を取り入れたからですね。こう云う、神事に関わる者の衣装が、1200年で変わるとは思えないので、問題ない筈です。刀の事でしたら、ソフィーちゃんが何とかするので大丈夫ですよ。姫様♪』
お隣さんは和風ファンタジーの国って事なのか?
アレ? 刀の事は、ソフィーちゃんが何とかするって言うけど、何故か直観が危険を訴えているぞ!
『では。
一人称が
なんか強制って所が嫌な予感しかしないんだが!!
「ソ……ソフィーちゃん、私刀は自分で使える様になりたいから、強制学習は別にいいかなぁ~? なんて……」
『おや? やっはり、シズル様も姫様なのですねぇ。エルナ様も何故か、シズル様と同じ様に
「え? いや、だったら元の双剣に戻して……」
俺の頭に突如電流が流れた! そうとしか思えなかった。
「みぎゃぁぁぁーーー!!!」
頭が、電気でスパークしているとしか思えない中、脳裏に二刀流と刀術の知識が強制的に焼き付けられる。
「Σふぁっ!」
『エ……エルナ!? 如何したのじゃ!!』
チナがビックリし、エナが心配して声を掛けてくれるが、俺は答えられない。頭に流れていた電流が今度はエルナの体全体に流れ出す。
「あばばばばばばば」
体がビクンッビクンッ! と痙攣し勝手に動く。脳裏に焼き付けられた、二刀流と刀術スキルの知識に基づく動きを強制され、体に覚え込まされているのだと分かりはする。けどこれ、ほとんど拷問と変わりないじゃん!!
『これは……、大丈夫なやつなのじゃろうか?』
エナが心配そうにしている間に、スキル強制学習と言う名の拷問が終わり、刀術と二刀流のスキルがLV0で習得されていた。
直観が反応した理由は、エルナも一度これを経験し地獄を見たからだろう。
あと、これも後で録画を見ようと思う。
「ソフィーちゃん! 私もう絶対、スキル強制学習しないからね!!」
『そうでしょうか?
「ならないよっ!」
そんな様子をチナとエナが心配してた見たいだ。
「エルナ大丈夫なのかのぅ?」
『むぅ、ソフィーちゃんとやらが何かした様じゃのぅ』
エルナの痙攣で驚き過ぎたのかチナの活舌が若干良くなってるし。
「えっと、大丈夫。スキルを覚えただけだからね……」
「しょうなのかぁ~、分かったのじゃ」
そう言ったチナが、何も言わずに俺がいつもする様に小さな手で、エルナをいい子いい子となでなでする。癒されるわぁ。
幼女に慰められる美少女の図の完成だ。これも後で見よう。
『エルナよもうすぐ皇都に入るのじゃ。皇都の創天神殿に直接降りるからのぅ、降りる準備するのじゃ』
気持ちを切り替え進行方向を見る。
そこには、皇都の高層建築と自然が一体と成り見事に調和のとれたその景色は、やはり素晴らしくファンタジー万歳と言いたくなる。
エナが向かっているのは、巨大な宮殿と同じくらい立派な、ギリシャの神殿の柱とキリスト教の教会が合わさった様な、そんな巨大な建物だった。
おそらく、あれが皇都ドーンライズの創天神殿なのだろう。
なんか移動しただけで酷い目に合ったが、いよいよ創天神殿に到着だ!
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