34 エナと本霊契約を結び、エルナが何者かを知る

 色々考えていて、いつの間にか朝になっていたのだが。昨日エナが言っていた通り、朝早く日が昇る前ににエナが宿の部屋に来ていた。何でも話があるらしい。


「それで、エナ。朝早くから話って何?」


 エナが神妙な顔しながら話す。ちなみに、チナはスヤスヤと気持ち様さそうに寝てるよ。


「エルナよ。わしはお主と改めて契約を結びたいと思うのじゃ」


「え? この前、分霊契約をしたばかりだよね?」


 どうして、急に本霊契約をしよう何て言うのか? まあ、俺としては問題ないけど理由はちゃんと知りたいよな。


「うむ、そうなのじゃが。昨日お主達が戦っていた者達がおったじゃろう?」


 あー、エジェマ達の事か。あの後、色々あって忘れてたわ。


「あの者達は、どこぞの大神の手の者か分からぬが。この世界を狙う侵略者達の一派の先兵でのぅ。どいつもこいつも、格は低くて弱いんじゃが。大神の加護の力で、防具や天然の防具である竜鱗を、貫通したり出来るのがちと厄介なだけで、お主達が苦戦した奴も、確かに大神から神器を授かる程、規格外では在ったのかもしれんが、神器が無ければ、チナでも余裕で勝てたはずの相手じゃ。ましてや、神にも至っておらんのじゃから、将来有望であっても、雑魚で或る事には変わらんのじゃ。それに、わし。格をそんなに上げておらんかったが、修行はしておったからのぅ、当然わしもチナも能力は高いのじゃ」


 要するに、エジェマ一党は厄介な力を持ってはいたが雑魚だったという事らしい。アレで雑魚なのか、IFOの世界はパワーインフレ起こしてるのかな?


「じゃがのぅ、そんな雑魚を倒しただけなのに、わしは【英雄】の称号を得てしまったのじゃ」


「え? それって、良かったんじゃないの?」


 雑魚を倒して英雄になるって、微妙なのかもしれないが、IFOの称号には様々な恩恵と力があるし、悪くないのでは?


「確かに英雄になったお陰で、権能【英雄伝承ヒロイック・ロア】が、使える様になったのは嬉しいんじゃが、雑魚を倒して英雄になったと云うのが問題じゃ。雑魚を倒しても英雄にはなれん。文字通り英雄としての行いが、創天様に認められたから英雄になるのじゃ」


 おお! 権能【英雄伝承ヒロイック・ロア】って何だよカッコイイじゃないか!

 英雄は、ガチで英雄だと評価されないとなれないのか。

 しかも、創天様ってシステムメッセージを出してる創天の意思の事だよね?

 そう思うと称号獲るの大変そうかな?


「では、いったい何が、英雄として評価されたのかと云う事になるのじゃ。考えられるのはエルナよ、お主を助けた事が評価されたとしか思えんのじゃ」


 あー、確かにチナは分霊だし。あいつ等、明らかにエルナの事を探してたもんなぁ。状況的にエルナを助けた事が、英雄として評価されたとしか思えないよな~。心当たりが有りまくるからこれは確定だな。


「エルナよ。一応来ておくのじゃが、何か心当たりはあるかのぅ?」


「あいつ等が、私を星脈の娘と呼んでいたのと、私の種族が星霊らしいって事くらいかな?」


 エナは驚いた顔をして何か考えて居たのだがだんだん苦しそうな表情をし出す。


「エルナよ。お主は星霊なのか? 精霊では無くて……?」


「うん、そうだね。ステータスにも星霊?って出ててるね。?が何なのか分からないけど」


 やはりエナは苦しそうだ。

 もしかして、エルナに掛かっている呪いの所為だったりする?


「う~む……。駄目じゃ……。お主が、星霊であると云う事を考えようとすると、うまく考えられんのじゃ。恐らく、大神の力がお主が何者であるかを、他者に理解させない様に呪いとなって作用しているのじゃろう。……それにそれだけでは無い様じゃしのぅ。」


 あ~、なるほどね。分かります、分かります。これってアレだよね?

 俺はエルナが何者なのか、もう大体分かったけど。

 周りの人達は、それを理解出来なくてエルナが孤立するとか云う。

 そういうシナリオでしょこれ?

 つまり、星霊であると云う事は、完全に呪いが解けてから言わないと、周りの人達も敵対してきてめっちゃ危ないって事だな。

 神であるエナですら、思考を妨げられて苦しんでいる事を考えれば、それくらい起こっても可笑しくは無い。

 という訳で、俺はもうエルナの種族の事とか、他の人には話さないぞ!


「わしは、お主と契約しておるから、これで済んでおる様じゃが。そうでない者達に言ったら、何をされるか分からんのぅ。特に星霊と言えば、エルアクシア様の関係者としか思えんのじゃ。わしですら、お主の異常な量の星輝を見ても、星霊であるとは考えもしなかったのじゃ。間違いなく、何の繋がりのない者達に、お主が星霊だと話したら、何の根拠も無く否定し、それどころか攻撃されても可笑しくないのじゃ。それだけ、この大神の力による呪いの力は強力じゃ」


 ほらね? やっぱりな~! そうだと思ったよ。

 それに、エナも同じ結論に至った見たいだし、これも確定的だな。

 竜神であるエナでも苦しくなるのだから、これは本当に気を付けた方が良さそうだな。でもまあ、エナに見たいに契約を結べば大丈夫という事になるのかな?

 相手が神に成ってないと駄目っぽいが。でも、こうなるとエナと本霊契約は是非ともお願いしたいな。


「お主が星霊と云うのは本当じゃろう。今もその事を考えるのを、大神の力が邪魔をしおるし。逆にそれが、お主が星霊であると証明している様なもんじゃ。やはり、本霊契約を結んで、わしが何時でもエルナの所に駆け付けられる様にするべきじゃな」


「私としては問題ないけど、本霊契約は何かする事ある?」


「分霊契約と違って、分霊を作る必要も無いしのぅ。特にエルナがする事は無いのじゃ」


 なるほど。分霊契約はチナを作るのに、エルナの力を使ったからあんな風になったのか。


「では、やるのじゃ」


 エナが神妙な面持ちになる。

 エナが神力を開放すると、その力がエルナの方に来て、エナとエルナを繋げたのが分かった。


「我、水竜神ブエナは、この者エルナに最大の加護と守護を与え、契約を結びこの者の守護神とならん」


 エナと確かな繋がりができ、チナの分霊神具にも変化が起きた。水色の宝石に金色のキャッツアイ効果が現れ、その所為かチナがビックリして「のじゃっ!」と声を上げて起きたのが可愛いかった。

 それにしても、分霊を作ったりしなかったから、本霊契約の方が凄そうなのに分霊契約より早く終わったな。


「うむ。これで安心じゃ、それで今日はエルナは何をするのじゃ?」


 エナに、この後何をするのかも含め色々話して考えた結果。やはりと云うか何というか、エルナの母親ってエルアクシア神だよね。という結論に至る。

 あ、本霊契約したお陰か、エナも思考が働くようになった様で、エナからも話をちゃんと聞けた。それによると星霊と呼ばれる存在は、エルアクシア神が星霊王。正確には女王と云う、唯一種族として生まれた以外は聞いた事がないそうだ。


「わしの様な若い神に、知らされておらんだけの可能性もあるがのぅ」


 そして、エルナはエルアクシア神の様に星の化身として生まれた存在ではないと云う事。ソフィーちゃんからの情報で、両親がいる事は分かってるしね。

 そうなると、エルアクシア神が母親で、父親はエルアクシア神話の第三次大神大戦の後に、エルアクシア神と結婚したとされる、閃星神シュラインと云う事になる。

 でも、名前が違うんだよなぁ~、そう思っていると。


『シズル様。名が違うのは当然ですよ? 世間一般に呼ばれる神の名が、その神の名の全てでは無いのですから』


 とのソフィーちゃんのアシスト発言で、エルアクシア神のフルネームはリファネ・エルアクシアで、シュライン神のフルネームがアールス・シュラインと云う事が分かる。という訳でさっきの結論である。

 しかし、エルアクシア神が王だったなら、エルナは姫だったりするのかねぇ?


 そんな事を考えながらステータスを見ると、種族と1stJOBが星霊姫になっており、名前に空白のあった二つの神器の空白部分も無くなり、【星界煌弓アステルエルアクシア】,【星霊宮姫宮ノ保管庫ティアーズクロワ】と云う、エルナの正体が分かるド直球な名前だった。


『これで漸く姫様と呼べますね。とても嬉しく思います』


 あ~、あの時は最初姫様って呼ぼうとしてたのか。納得。

 色々分かっても、エルナの意識がハッキリと目覚めた訳でも、記憶が戻った訳でもないが、ようやく道筋が見えた感じだな。

 それと、エナから権能【英雄伝承ヒロイック・ロア】の事を聞いた。

 これは自分が今まで成して来た事と、これから成して行く事が、アビリティと云う形で現れる。その人だけの超必殺技見たいな物で、称号の格が上がると更にパワーUPすると云う物。

 そして、この権能は大神と戦う為の権能と言っても過言ではないらしい。

 これはエルナも英雄の称号を獲得しないとダメか?

 エナとチナに、分かった事を色々と情報共有して、ソフィーちゃんの事もエナとチナに教えた。

 ソフィーちゃんついでに、精霊魔法を使った時に現れた精霊はソフィーちゃんなのか聞いたら。


『おそらくは、姫様の御付の精霊騎士だった方達が、彼女ら自身も姫の記憶が無くて良く分からずに、精霊魔法に答えていたのだと思いますよ?』


 あー、そっか姫だもんね騎士くらい付いているか。

 でも、そうなるとエルナが封印されたのって、封印されていた場所も考えると、エナの所に騎士達に内緒で遊びに行こうとして、封印されたと云う事になるよね。

 お転婆姫だったのかな? いや、よく考えればエルナには、俺の記憶があったと云うのだから、そういう部分が出た所為なのかも知れない。

 はい、つまりは俺の記憶の所為ですね。すまんエルナよ、謝って置くぜ。

 何か思いがエルナに伝わったのか、エルナの戸惑ったような思いが伝わて来た。要約すると「え? 何でシズルが謝ってるの? 取り合えず、何かよく分からないけど許すよ」という様な感じだろうか。


¶システムメッセージ

プレイヤーエルナのネームロストが完全に開放されました。

プレイヤーエルナの称号の開放と変更が行われました。以下の物となります。

解放称号【エルアクシアの主たる神々の加護極大】,【世界神の娘】,【星霊の姫】

変更称号【水竜神ブエナの加護】→【水竜神ブエナの加護極大】

【守護分霊憑き・水竜神ブエナ】→【守護神憑き・水竜神ブエナ】

プレイヤーエルナの権能が解放されました。以下の物となります。

解放権能【神性】【星脈星魂】【星法】【閃星】

プレイヤーエルナの神器の真名が新たに解放されました。以下の物となります。

真名【星界煌弓アステルエルアクシア】,【星霊宮姫宮ノ保管庫ティアーズクロワ】


これでIFO内公式掲示板、転生者と加護持ち現地民の【加護持ち者達の交流掲示板】が見れる様になったよ。

エルナちゃん、良かったね~♪ 曾お祖母ちゃんも嬉しいよ♪


 待っていたかの様に、システムメッセージが流れ色々と情報が出る。

 漸く、IFO内交流掲示板使える様になるのかよ。

 それに、曾お祖母ちゃんて……え? 本当にそうなの? いや、まさかね。それは無いだろう、これもいつもの弄りだな。うん。

 それと、装備中のチナの分霊神具が変化して、めっちゃパワーUPしているので一応載せて置く。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

水竜神ブエナ本霊神具・分霊憑きチナ

エナの力に合わせて変化しパワーUPする。

MP+40000,LUK+68900,IMA+42000,AUR+38600

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 いや~、これは神具強くなりすぎでしょ。やっぱり本霊契約したからかね?

 さて、取り合えず、今日は創天神殿に行きたいが、久々にフルでステータスを見る必要がありそうだよなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る