27 チナと一緒にダンジョンに採取依頼品を採りに行った
はい! ログインと。え? 待機ルームはどうしたって? さすがに何もなかったよ。桜もアレからまだ1日も経ってなくて動揺してるし、俺の顔見てアレを思い出してしまって、恥ずかしがってるのは可愛かったけどね。
あ、でも待機ルームに入浴施設セットを課金購入した。
なんでかって? ほら、IFOで温泉入ると待機ルームでも入りたく為るんだよね。深い意味? 無いよ、うん。
チナを呼び出して宿から出ると、窓から見ても分かっていたがIFOで初めて天気が悪い。悪いと言っても曇ってるだけだけど。
さて、今はIFO内の時間で午前八時、つまり朝の依頼が沢山ある状態を始めて見る事ができるって訳だ。なので、早速冒険者ギルドに出向く。
「おお! 人がたくさんおるのじゃ!」
チナの言う通り、冒険者ギルドには沢山の冒険者達がいた。
これが朝の冒険者ギルドなのか! どうも依頼の張り出しを待っている様で、ブエナの町では午前九時に掲示板に張り出される見たいだ。
エルナが依頼張り出しボードに向かうと、他の冒険者の人達がよけて道を作ってくれる。うん、これも恒例に為りつつある様な気がする。お陰で一番前に来られたから良ったと思う事にしよう。
待っている間物凄く視線を感じたり、「はあはあ」と息をを荒くしている人が居たり、「舐めたい……」「ぺろぺろ……はあはあっ」などの言葉が聞こえて来たり、流石にぞわぞわして気持ち悪くなった俺は、依頼の張り出し待ちはもうしないと心に決めた。色々言われていたのはエルナだけで無く、チナにも向けられていたのでチナが変な顔していてちょっと可愛くて癒された。
ちなみに、「ぺろぺろ…………はあはあっ」と言ってたのは紫がかった黒髪の美少女眼鏡っ子だった。
変態でなければ……お友達になりたかったよなぁ。ほら、俺のIFOのプレイ目的の大前提に、美少女と仲良く為って愛でたいと云うのも或るからな。
時間になり依頼が張り出されていく。受けるのは面白そうな依頼と決めている。
ほら、お金は3000万エア以上持ってるしこの町では宿にも困らないしね。
貼り出された依頼書から二枚を選び、受付カウンターに持って行く。
早速チナと一緒にに居る効果が出て来たのか、カチュアさんがエルナの事を薄っすらと覚えていた。なので、すんなりと依頼を受けることが出来た。
いや~さすがに何度も忘れられると面倒だし、エルナも悲しくなる見たいだからエナ様々だ、流石神と言った所だな。
さて、俺が受けた依頼はブエナの町が管理している町外ダンジョンで、ザトスの森の中にあるダンジョン〈獣達の王者の果実園〉で採れる果物の採取だ。
本来Cランクの依頼だが、Eランク冒険者とは言え。エルナはBランクの採取依頼の実績もあるし、チナがエルナの実力を保証したので依頼を受ける事が出来た。
やっぱり、神様パワーは偉大だね!
ザトスの森までは空を飛んでサクッと移動した。
前回来た時は気にも留めて無かったが、ダンジョンのある場所に続く人が歩いて踏み固めた道を、石などで補強した遊歩道と言える道が森の中に通っていた。
簡易の結界装置が設置されており、特に魔物やモンスターに合う事もなく。
ダンジョンを管理している、しっかりとした砦のある場所に着いた。
この道って、完全にこの森の安全地帯じゃん!
前に来た時に知っていれば、もうちょっと楽だったのかなぁ~?
砦で手続きを済ませてダンジョン〈獣達の王者の果実園〉に入る。例のちょっと気持ち悪い感じを受けながら、ダンジョンの入口を潜り抜けた。
このダンジョンも名前から分かる通りフィールド型ダンジョンで、高級果実を始め野菜や薬草など様々な植物関係の物が採取でき、それらをブエナだけでなく商業都市テナーンを介して、多くの地域に供給している超優良ダンジョンだ。
だから砦が配置されており、毎日採取とその管理を結構な人数で行っていてジュナ皇国の部隊が常駐している。
国有化にしたいらしいが、あくまでもブエナの町が管理して居る場所だ。
正確に言うと、水竜神ブエナの管理下に或るので国有化にしたくても出来ないのだ。神が管理している所に、ちょっかい掛けるなんて出来ないって訳だな。
このダンジョン入り口から浅層,中層,深層,最深層と区分されている。
浅層はE,Dランク推奨で中層はCランク、深層はBランク帯で最深層はAランク以上進入禁止となっている。
そして、今日受けた二つの依頼の採取品は、どちらもCランクで目指すは中層だ!
「チナ、中層目指していくよ!」
「りょうかいなのじゃ!」
〈獣達の王者の果実園〉は初っ端から森が広がっており、森中辺り一面に果物のあま~い匂いが広がっている。
チナが「おいちしょうな匂いなのじゃ」と食欲を刺激されゴクリとのどを鳴らしている。なので、中層に向かう道中は、チナが食べたそうな果実を採っては、一緒に食べながら進んだ。
途中チェリーベリーの果樹が群生していた場所に、お眼目を輝かせて大興奮するチナがとっても可愛かったので、沢山確保しといた。
俺もと云うかエルナも、野生のアプリンの果樹の群生地を見つけて、あっと言う間に回収……じゃなくて採取していた。そう、いつの間にかだよ? 不思議だね。
中層に到達したので、改めて依頼の品を確認する。
一つ目はフルーツビーのフルーティーハニーの採取。依頼を受ける時に渡された大容量収納瓶に、採れるだけ取ってきて欲しいと云う物で、量は少しでも買い取ってくれる成果報酬依頼だ。
二つ目はママンゴーと云う見た目もまんまマンゴーの果実の採取だ。ただし、このママンゴー現実で言う所の大玉スイカ並みのサイズで、味もマンゴーとはちょっと違うらしい。大きいけど見た目が似てるからと、マンゴーから名前を貰ってママンゴーと名付けたようだ。うむ、適当な命名だけど、現実でもままある事だよね。
ママンゴーは直ぐに見つかった。体長2mを優に超える、サルと云うかゴリラの群れが、巨大な実を付けるママンゴーの巨樹の群生地を縄張りにしているのだ。
あのゴリラたちにはママンゴーの巨樹の群生地は楽園だろう。
「さくっとせんめつなのじゃ!」
俺が止める間もなくチナが飛び出して行き、あっと言う間に群れを全滅させてしまった。ほんとサクッと終わらせてしまったよ。
ママンゴーは依頼の数を確保した後、チナと二人で味見をしてみた。大きすぎるのを除けば大変美味しく良い物だった。
味はマンゴーに柑橘系の味と香りにヨーグルトの様なとろみと酸味を付けた、マンゴーヨーグルトって感じの味だった。でもチナがこれは熟していない物の味で、熟すとマンゴープリンの様な味に変わると教えてくれた。
熟したのも二人で味見して、やはりこちらも大変美味しかった。味はマンゴーをベースに柑橘系だったのが、リンゴ系の味と香りに変り、食感も口溶け滑らかなプリンの物になっていた。
これを鑑みて、熟している物いない物、それぞれ依頼の個数分を改めて用意する事にした。大きくて量があっても指輪の力で時間が止まるので、ママンゴーも熟していない物と熟している物を、自分たちの分もそれなりに確保する事にした。
しかし、ママンゴーはマンゴーの加工製品見たいだよなぁ。
「さてと、次はフルーティーハニー探しだね」
「!! 次にしゃがしゅのは、はちみつなのじゃ!?」
またもや、チナは興奮した様子で、今日ダンジョン入った時同様、のどをゴクリと鳴らしている。どうやら、チナは蜂蜜も大好きなようである。
「はちみつしゃがちはわちに任せるのじゃ!」
チナは自分に任せろと鼻をクンクンする犬かな? いや、竜だったわ。チナは可愛いな~、などとアホな事を考えながらチナの後をついて行く。
暫くすると、まるで騒音としか言い様のない大きな音でブーン! ブーン! と何かが飛び回る音がする。そこには、体長60㎝は確実にあるデカい蜜蜂が、自分達の巨大な巣へ果実と花の蜜を運んで頻繁に出入りしていた。そして、デカい虫はグロかった。虫ってデカいとあんなグロくなるの? 気持ち悪い……。
「どうしゅるのじゃ?」
「えーっと、もう精霊さんに全部任せちゃおう!」
虫に萎えた俺は投げやりな感じで精霊魔法で何とかしようと思った。
「精霊さん、精霊さん。私達はあの蜂達が集めた蜂蜜が欲しいんだ何とかならないかな? お願い☆彡」
かなり、適当且つ曖昧なお願いだった所為か、MPがグーンと減った。でも、効果凄かった。デカい蜜蜂達が次々と動きを止めて行く。
そして、彼らの超巨大な巣が振動すると、巣の入口から夥しい量の蜂蜜が噴き出て来る。出て来た蜂蜜は、空中に浮遊しながらどんどん貯まっていく。
どう見ても目の前の巣以外からも集まってきている。あー、これはやりすぎたな。
でもまあ、いいかな。チナはとっても嬉しそうだしな。
「おおっ! エルナはしゅごいのじゃー!!」
嬉しそうで何より、瓶いっぱいまでフルーティーハニーを入れ、せっかくだから自分達の分も沢山もらう事にした。
全部持って行くのはどうなのかと思ったが、この蜂はモンスターなので、気にしなくていいとチナが言うので、全部持って行くことにした。
当然、チナと味見をしたのだが。
様々なフルーツの旨味と甘み、そして香りが蜂蜜の中にギュっと閉じ込められていて、其れが口の中で溶けてゆくと一気に解放される。
「うっまー!!」
「うっまーなのじゃあー!!!」
まさに果物たちが積み上げて来た歴史。
生き物たちに好まれる為に培われてきた、進化と遺伝子に込められた研鑚が、蜂蜜と云う甘味のカプセルに閉じ込められ、熟成する事で花開いたのだ!!
まあ、何が言いたいのかと云うとうまい!
つまりはそういう事なんだ。チナなんて今もがぶ飲みしてるからね。
ふぅ~、さて。依頼の品も全部確保したし町に帰りますかね!
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