23 ダンジョンで特訓してから一旦ログアウト

 以前見かけたやつの類似品モンスターは、チナの口からレーザーの様に発射された水のブレスで瞬殺されていた。エナ曰く「先ずはLV上げじゃ」との事で、ダンジョンにポップするモンスターを片っ端から片付けていく。

 うむ、俺何にもやること無いな。これぞまさに寄生プレイってやつではないか。

 良し! だったら俺はオリジナルアーツの練習でもするか。


 そもそも星輝と言うスキルには同名のアーツの他に星燐,星撃,星癒と言うアーツがある。これを軸にオリジナルアーツを考えてみようかな?

 まず、アーツとしての星輝を使ってみると、エルナから出ている星輝の輝きが明らかに強くなる。以前エルナの状態異常解除の為に鎖を壊そうと、とにかくバフを盛ろうと思って使ったのだが。アイコンで全ステUPが表示されている通り、全身にエネルギーが廻り物凄く力が漲って来る。

 星輝の上位互換スキルである、星煉には同名アーツが無い様なので、別に俺が作ってしまっても良いだろう。

 ふむ、星煉󠄁と言うからには光の粒子の様な星輝を集めて一つになる様に練り上げてみる。この状態はエネルギーの高さは感じるがバフに使うにはなんか違う気がする。

 これは他のアーツに使えそうなので置いておく。

 もっと柔らかく、目の前でエナたちが使っている水とまでは行かなくとも、液体をイメージして練り上げてみる。

 元々星脈なんて流れを作り出す、高エネルギーなのだから行けるはず。


 おっ! オリジナルアーツ『星煉』修得出来てるぞ。

 効果もバッチリ上がっている様だし良いんじゃないか!


 BALVやJOBLVがどんどん上がっているし、JOBスキルにJOBアーツを習得したりしているが星燐のアーツの確認をする。

 星燐は白い揺らめく光が体から湧き出て、その揺らめく光は操作する事ができ、触れた物全てを白い炎で燃やし尽す。

 この白い揺らめく光は一度使うと暫く出続ける様で、ちゃんと制御しないと辺りを火の海にしそうだが。白い炎で燃やす対象を選ぶ事ができるし、燃やし続ける事も消す事もできる。もちろん、自分は対象外だ。

 星燐のアーツは味方識別可能な範囲も個別も自在な持続攻撃で、同じアーツによる追撃もできる汎用性がめちゃ高いアーツだ。

 普通に、このアーツめっちゃ強いんだが。


 そうだな、まず、星煉のアーツを作った要領で練り上げる。

 練り上げた星燐のアーツにウィンドの魔法を混ぜる。

 双剣を抜き魔法を混ぜた星燐を纏わせ、ツインスラッシュのアーツを放つタイミングで、ファイアの魔法を使用して星燐をブースト、ツインスラッシュ発動!

 白炎を纏って放たれたツインスラッシュが、まるで白い炎が翼を広げる様に斬線を刻み燃え上る。

 おお! これはかなりカッコいい! 名前を付けるなら白翼炎斬かな?

 何度か『白翼炎斬!』と練習するとオリジナルアーツとして修得していた。


 次の星輝を使ったオリジナルアーツの為に別のオリジナルアーツを作る。これは簡単な物で、切払いのアーツを双剣用として作ってみた。切払い・双連と言った感じでやってたら直ぐにできた。


 先の要領でツインスラッシュの所を、新しいアーツ切払い・双連で発動する。

 二連続の切払いの斬線をなぞる様に白い炎が二重の円陣を作る様に燃え上がる。

 これも良い感じだな! 白炎双陣斬とかで良いんじゃないか。

 これも何度か練習すると無事オリジナルアーツとして修得できた。


 今度は星撃のアーツを試してみる。

 使ってみると一瞬光が駆け抜けたと思ったらズガガガァンッ! と言う音共に凄い衝撃が走る。光が駆け抜けたと思われるラインに沿って、樹々が粉砕され地面が押し潰された様になっていた。

 イメージ的には質量を持った光の衝撃と言った所だろうか。

 う~ん、槍とか弓で行けそうな気はするが、ちょっと星撃の威力を他に組み込むのは何だが無理そうだと感じる。

 これは、今のままでも十二分に必殺技と言えると思う。

 星癒は装備専用アーツのスターリジェネの劣化版見たいな感じだった。


 そうだ! 種族特性の極光の虹翼を使った物も考えてみよう!

 翼を出すとなんだか前よりもしっかりしている。

 この翼たぶん星輝で出来ているのだと思う。一番最初に翼を出した時も、キラキラの光である星輝を意識して翼を出した訳だし、星煉のスキルと同名のアーツを作り出した所為か、前と違って実体感がある。

 とりあえず、この翼で攻撃できないかと色々やって見ると、ちゃんと攻撃できたし翼で守る事も出来そうだ。

 そして、いつの間にか翼撃と翼守のスキルが使える様になっていた。

 翼撃が出来る様になって星撃を使ったオリジナルアーツも、この星輝できている翼ならの出来そうだと感じたのでやって見る。

 翼撃のアーツ、ウィングバッシュに星燐,星撃,に先ほど同様ウィンドとファイアの魔法に、星輝も光見たいな物なので何となくライトの魔法も混ぜて発動!

 極彩色の高熱の光の濁流が、大爆発を起こした様に辺り一面を吹き飛ばした。


「わ、ぎゃぷっ!」


 当然、俺も吹き飛んでいた。痛い。直ぐに回復したけど。


「いったい何事じゃ!」


「なんじゃ! なんじゃ!」


 モンスターをひたすら狩っていたエナとチナが、流石に今の大爆発には驚いて、こちらにやって来た。オリジナルアーツを作ってたら、ちょっと凄いのが出来てしまったと説明した。


「エルナよ、あれだけの威力のオリジナルアーツがあれば十分じゃろ、自分が吹き飛ばされない様になったら一緒にモンスター狩りじゃ!」


「いっしょに狩りじゃ!」


 小さな子たちに、見守られながらの訓練と言うシュールな絵面の中。エナとチナに見守られながら、『虹翼爆裂』と名付けたアーツの練習をして、何とか自分が吹っ飛ばされないで使える様になった。


 その後は、エナとチナと一緒にダンジョンのモンスターをひたすら狩りまくった。

 出て来たモンスターは例のキノコにトレント見たいなやつ、それからウサギにリス,イタチ,クマなどを倒した。圧倒的にキノコのやつが多くいたのだが、そういうダンジョンなのだろう。


「そろそろ異世界転移が起こりそうね」


 むっ! そろそろログアウトしないと、そう言ったつもりだったがログアウトの事はこんな風に自動変換されるのか。


「異世界転移かの? ならば一度町に戻るかのぅ?」


 町に戻るのは正直面倒だしなぁ。


「戻ってきたらすぐに狩りを再開したいからここで転移したいけど……どうしようかな?」


 リスポーンポイントの事も考えると戻った方が良い気もするけど。

 ちょっと考えているとエルナの名前のヒントをくれた例のノイズが聞こえてきた。


 ピッ、ジジッ! ザザァッ! 『ぺ ん d……n……と』前聴いた時より聞き易くなってるな。ペンダントね。ペンダントと言えば、宙天のペンダントしか持っていないし、これの事で間違いないだろう。

 ペンダントに意識を集中するとピシッ! と亀裂の入る音がした後、ペンダントに黒い鎖が浮かび上がりバキッ! と言う音共に鎖が砕けた!


¶システムメッセージ

宙天のペンダントの真名が解放されました。

神器【守護星域プラネセ-ズリンリー】が本来の力を発揮します。

漸く神器の真名を開放出来ましたね! おめでとうございます! エルナさん♡


 おおっと! いきなり解放されたぞ! あ。でも、あの紅い鎖を一つ破壊した時は、解放されて無かったから、いきなりでは無いのか?

 後と、システムメッセージのこの反応何なのさ? なんか気味が悪いぞ。


 さて、【守護星域プラネセ-ズリンリー】ね、どんな力があるのかね?

 意識を集中してみると、この神器の力は主にセ-フティゾーンを含む結界、休息や癒しに身隠しや鑑定阻害と言った物で、オマケに専用アーツまである。

 はあ~っ、これ最初に知って置きたかったヤツじゃん!

 これ知ってたらセーフティゾーン作れて安心安全確保できたって事だろ!

 ぐぬぬぅ! おのれ、システムメッセージめ! これを分かっていやがったな!


 ふぅ~。まあ、それはさて置き、セーフティゾーンが使えるなら安心してログアウトできる。エナにその事を話し、「いや、なんじゃその神器!」とツッコまれつつ、セーフティゾーンを展開し「もうお眠のじかんかのぅ?」と可愛く言うチナを神具に戻す。


「それじゃあ、エナ。早ければお昼くらいには戻るから、エナはセーフティーゾーンでゆっくり休んで居て良いからね」


「うむ、ならばゆっくり休ませて貰うのじゃ。戻ってきたらわしがモンスターのドロップで、ご飯を作ってご馳走してやるのじゃ」


 戻ってきたら幼女の料理かぁ、なんか不安だなぁ。そんなことを考えつつ、俺は現実の昼食とトイレの為にログアウトするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る