22 分霊に名前を付けた後、ダンジョンで星輝の事を聞く

 システムメッセージに弄られつつも、エナに分霊神具の事と分霊のその物の事を聞いた。エナによると、分霊神具とは分霊の家見たいな物であり、幾ら霊体化で姿を消せると言っても、四六時中一緒に居たら疲れるのは当然で双方共にプライベートは必要との事。後はアクセサリー装備としての効果もある様だ。


 分霊については本霊、要はエナ本体の一部から作り出した分け身に、自身の人格をベースに己の中にある可能性から仮の人格を作り宿らせた物だそうだ。ステータスは本体の半分位になるらしく、本体が強く成れば自動的に分霊も強くなるし、分霊自身が強く成れば自動的に本体も強くなる相互関係にあるらしい。

 さらに本体は、何時でも分霊に意識を飛ばして分霊の状況と状態を知ることができ、そのまま本霊としての顕現や本霊と分霊の入れ替えに、自身の分霊同士の入れ替えなどができるらしい。

 自身の分霊同士の入れ替えなんて意味が無さそうに思えるが、元気な分霊と弱っている分霊を入れ替えたり。分霊に役割を持たせることで、本体と違うステータス傾向にしたり出来るので、分霊の特性に合わせて入れ替えたりと意味は在る様だ。

 しかも、本体から完全に自律して行動できる。

 うむ。分霊めっちゃ便利だな。流石、神に成らないと使えない物なだけある。

 そしてデメリットは、分霊は倒されてしまうと復活させる方法が無いと言う事。

 クールタイムがゲーム内で一週間、要は九日間で現実時間換算で一日半掛かると言う事だ。クールタイムも結構長いし、分霊の復活方法が無いのは結構辛いかもなぁ。

 でも、メリットの方が圧倒的だな。


「エルナよ。とりあえず、わしの分霊を呼び出して見るのじゃ」


 エナがやり方を教えてくれたので取り合えず召喚だ!


「水竜神ブエナ召喚!」


 そう叫ぶと、エナがエルナの前に来てポーズを決める。


「わし、参上!!」


 はい、知ってたー。ポーズを決めてドヤ顔してる幼女の顔を、むにゅむにゅする。全くしょうがないな~と、むにゅむにゅされて嬉しそうな顔してるエナの頭を、わしゃわしゃしたりするのだった。いや、分霊とか言ってないし、分かってましたよ? 


「冗談はさておき、ちゃんと教えるのじゃ」


 今度こそちゃんとした分霊神具の使い方を教えて貰ったので改めて召喚だ!


「水竜神ブエナの分け御魂宿りし神具よ。今こそ我を守護せし神霊を顕現せよ!」


 分霊神具に付いてる宝石が強く光り輝くと先ほど生まれたばかり分霊の小さなエナが姿を現す。


「わち、しゃんじょう!」


 エナの分霊である小さなエナは、本体のエナと同じ様なポーズを取りドヤ顔で現れた。「よくできました。思わず偉いね~」と、うりうりしてしまう。

 全体的に明るいトーンの色合いになり、身長も一回り小さくなり喋りまで幼くなった分霊のエナに名前を付ける。

 先の召喚の為の文句も短くできるし、本体との区別の為にも必要らしいので小さいエナなのでチナと呼ぶ事にした。


「今からエナの分霊たるあなたの名前は、小さいエナから取ってチナと命名します! 異論は認めません!」


「わかったのじゃ! 今からわちのなまえはチナなのじゃ!」


 チナが元気よく手を挙げて返事をする。良かった気に入ってくれたようだな。

 取り合えず、この水色の大粒宝石のチャームが付いた銀色のチェ-ンストラップの分霊神具は、星矢ノ剣帯に着けておけば大丈夫だろう。


「ふむ、これで名付けバッチリなのじゃ! してエルナよ、今日は何をする気なのじゃ?」


 今日何をするのか、そういえばまだ決めて無かったな。出来ればLV上げをしながらオリジナルアーツを作りたい。とそんな事をエナに言うと。


「ほほう、ならば、やはりわしはダンジョンが良いと思うのじゃ」


「わちもしょれが言いとおもうのじゃ!」


 二人してダンジョンをおススメして来る。

 ふむ。二人にはおススメの良いダンジョンが有るのだろうか?

 取り合えず聞いてみようかな? 


「LV上げやオリジナルアーツの特訓に最適なダンジョンでもあるのかな?」


「うむ。わしが個人的に管理しておる町の外にあるダンジョンの一つが最適じゃ! わしが少し前までLV上げ用に使っていたダンジョンでのう、そろそろ討伐しようと思ってたやつなのじゃ」


 どうやらエナは、町に知らせていないダンジョンの幾つかを個人的に管理している様である。


「エナがLV上げに使うなんてちょっと私には無理そうに思えるんだけど?」


「ふっふっふっ、それはあれじゃ、分霊を使ったLV上げ用のダンジョンなのじゃよ。何よりエルナにはわしの分霊もおるし、今日はわしもLV上げとオリジナルアーツ特訓に付き合うのじゃ。何も問題あるまい」


「そう言う事なら大丈夫なのかな?」


「あんちんしゅるのじゃ! わちがついておるのじゃ」


 チナはサ行がうまく言えないらしく、可愛くて思わずよしよしと撫でてしまう。

 するとエナがわしも撫でろ要求して来るのでエナもなでなでする。

 うん、この状況はなんなんだろうね?


 そんな事をしながらも、パーティを組んでエナと一緒に目的のダンジョンのある場所にやって来た。

 そこで始めてパーティーを組んだがのだが、パーティを組む方法はパーティーを組みたい相手に、パーティーメンバーになりたいと意思表示して、受け入れらると組んだ事なる。その時、初めてパーティーシステムが機能する。

 経験値の分配とかメンバーのHP,MP,SPゲージや、バフ,デバフのアイコンを見れる様にしたりとかできる。

 そう、チナも召喚しただけではパーティーを組んでいなかったのだ酷くね?

 そう酷いと言えば、パーティーシステムの事ってどこにも触れられて無いんだよな、組むまで影も形も無いとは不親切じゃね?

 Σあっ……、いや、そうか普通は『一緒にパーティー組もうぜ!』見たいな感じで、気楽にパーティーに誘うと、直ぐにパーティーシステムが機能するそう言う事なのか! ボッチ状態だから不親切に感じてるだけかよ!

 はあ、ちなみに、パーティーから抜けるのは簡単で、抜けたいと思えば直ぐに抜けられる仕様だ。


 ダンジョンはシレーネ山脈の南に広がっている樹海の中にあった。樹と樹がまるで神社の鳥居を思わせる様に立ち、その間にまるで大きな樹の虚の様な暗く歪んだ空間が口を開けていた。


「ここがわしが使っていたダンジョンじゃ。町に教えてあるのと違って名前は付けて無いのじゃ」


 ほーん、ダンジョンの名前って勝手に付いてるもんだと思ってたが、エナが管理に関わっているダンジョンはエナが名前を付けてるのかな?


「ここのダンジョンは、エルナの経験値にしてしまおうと思うのじゃ」


 そう言えば、ダンジョンはモンスターだったけ、モンスターの大元みたいな物だからかなりの経験値になりそうだな。


「エルナの守りはわちにまかしぇるのじゃ!」


 うんうん、そうだね~とチナの頭を撫でつつダンジョンに入って行くのだった。


 ダンジョンの中は、日本の秋を思わせる紅葉した樹々の森が広がっていて、非常に湿度が高いくじめじめとしている。


 さて、ここでオリジナルアーツの特訓をするのだが、エナが言うにはエルナは星輝を使ったアーツを軸に、オリジナルアーツを考えると良いと教えてくれた。

 しかし、そもそも星輝とは何なのかを知らないので、そこから聞くことになった。


「そうじゃった、エルナには記憶が無いんじゃったな。契約に星輝を使ったと言うのに、まるで減った様子が無い位に星輝を持っているのにのぅ」


「私そんなに沢山の星輝を持ってるの?」


「うむ、少なくとも星脈に繋がっているのではないかと思う位にはあるのぅ」


 エナ曰く、星輝とはこの世界のエネルギーの根幹であり、これによって世界が成り立ち世界が発展し繁栄する。

 星輝は星脈と言う星輝の大きなエネルギーの大流によって、この星を中心にこの世界全体に様々に枝分かれしながら世界中に流れている。

 この世界中と言うのは文字通りの意味で、星脈は宇宙全体即ち星界と言う世界全体に星輝を廻らして循環を成す大きな大流だ。

 星輝は循環する事で浄化と活性化が行われ、増幅して増殖する為あまり流れが滞るのは世界に良くないと言う物らしい。

 そして、エルナの星輝の量は非常に多く、少なくとも星脈と関係があるはずとの事。


 つまり、星輝という物は世界の根幹に関わる根本的なエネルギーで、エルナにはその大きなエネルギーの流れである星脈に少なくとも関系があると。

 そりゃ、竜の本能働くわ。確かにエルナは世界に於いて重要な事に関わっている可能性が高そうだ。

 それに、星輝の事を考えるとオリジナルアーツを星輝を使った物にした方が良いと言うのも納得だ。


 エナに星輝の扱い方を教わっていると、星煉スキルをエルナがを持っている事が分かり、そのスキルは名前まんまな星輝を扱うスキル、星輝の上位互換スキルらしくて割とすぐに上手く扱えるようになる。


 星輝を使用した、オリジナルアーツを考えながらモンスターを探すと、程なくしてモンスターを発見する。

 ん? こいつ見たことある気がするぞ?

 そこに居たのはブエナの町に来る時に、消し炭にしてしまったと思った、あのファンガスを思わせる人型のキノコの集合体だった。


 あのキノコ、ここのダンジョンのモンスターだったのか?

 いや、こいつは軸の色が全く違う。前見たのは白っぽい色だったが、こいつは茶色をしている別のキノコだ!

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