第4話
休日だろうと容赦無く私と渥海は駅前デートしていた。最近のデートの定義は広いから誤りではないだろうと私が折れた。脳味噌を開花させる隣の女はうふふと相変わらず私の無関心に喜ぶ。この上っ面の関係がよく冬まで続いたものだ。今の私は好奇心だけでなく猜疑心さえ凍て付き、のうのうと二人の時間に身を置いている。適当に歩く内に偶然見つけたピンボールを二人でプレイし再度苛々してきた頃、ベルチに座って白い息を作る。渥海は座らず正面に構えると、私の冷気を吸った。
「あんたのことが実は、好き」
「私はそうでもないよ」
察しが悪い訳ではない私は驚嘆を省いて素直に伝えた。大方美人の玲とは違うから。
「そうよね、知ってる」
そう言いながら肩を落とす。直ぐに持ち直して真剣な血相に作り変えた。
「でもあたし諦めないから。本気だから」
私の拒否は例に漏れず拒否された。この私に対する熱量は何処から来るのか未だに理解できない。私ってこれ程他人に固執されるような人間だったっけ。
「クリスマスは一緒に過ごしてね」
覚えのない約束で予定が埋まる。仮にも恋人ならそう言うものか。その日は空いてるから別にいいけど。世の恋人共は聖夜に何をするというのだろう。トナカイの格好で踊るくらいしか思い付かないなぁ。渥海はそのホットな脳から季節外れの花火でも打ち上げてくれるのか。まぁ無難に考えればケーキとかだろう。程々に期待しておくよ。家計が浮くから。
「じゃあまた」
双は玲と二十四日、駅で待ち合わせしていた。
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