第29話「Battle in 魔王城 その5」

第二十九話「Battle in 魔王城 その5」



 30メートルという巨体からは想像もできないスピードで魔王ゴウラは動き、一瞬で対ガッジーラ決戦兵器MG-G1の正面から背後に回り、強烈な回し蹴りを放った。


 BAKOOOOOOOOOMMM!!!!


 体中武器庫にした所為か、格闘はおろか歩くことさえ困難な仕様のメガガッジーラは、超スピードで動く魔王に対応できるわけが無く、その攻撃をまともに食らってしまう。

 本来の敵であるガッジーラもこんなスピードで動くわけでは無いので、元よりスピードは捨てているのだ。


「WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING」


 一撃で胴と腕がへし曲がり、あろうことかミサイル工場の火薬に点火してしまった。


 ボコボコボコボコボコボコッッッボコッッッ!


 艦内で無数の内部爆発が起き、最後に大きく膨れ上がった脇腹の装甲が破れて大きく裂け、外に爆発エネルギーが放出される。


「WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING」


 コクピットは警告灯の明滅で真っ赤に染まっており、警報はけたたましく鳴り続けている。


 魔王に蹴り飛ばされ、急激な横Gが掛かる。

 コクピットに居る全員が正面コントロールパネルに突っ伏していたが、訓練された戦士たちは直ぐに起き上がって活動を開始した。


「火薬庫に引火した! ダメコン。防御隔壁作動。消化剤散布! 機関出力低下! 副長、機関停止させるな。何としてももたせろ! 砲撃手、誘爆する前にミサイルを撃ち尽せ! 本艦は強制着陸体制に入る!」


 機長がそう宣言して、メガガッジーラのホバーを切って、落下にも似た着陸を果たした。


「何と言うことだ! 不沈艦かと思われたメガガッジーラ1号が、ただの一撃で破壊されてしまったぞ! しかし俺たちはまだ諦めていないぜ」



 メガガッジーラを蹴り飛ばしたスーパーゴウラは、「シュン」っと風きり音を残して次のターゲットであるグレーテストモジンガーの正面に移動した。


「何!? 早い!」


 グレーテストモジンガーのパイロット魏鉄弥は、反射的に十字ブロックの形を取って、全力防御をする。


「受けてみよ! 『傲慢な活火山・参式』」


 魔王の拳が燃え上がり、腰だめから斜め上に抉り込む様に打つクォーターブローを十字ブロックの上から叩き付ける。同時に拳からは火炎弾のような炎の塊が3発発射されてモジンガーの機体を焼く。


 身長25メートル・重量32トンのグレーテストモジンガーが魔王の燃える拳を受けて、くろがねの身体を炎上させながら吹き飛んでいく。

 吹き飛んだグレーテストモジンガーは十字受けの体勢のまま背中から地面に激突し、30メートルほど盛大に地面を削ってやっと止まった。

 

「ギアセカンドのパンチを受けきったか。なかなか楽しませてくれる」


 魔王が戦闘を楽しんでいた隙を突いて飛びこんできた者が居た。


「おいらに任せろ! チェンジ、ゲッPスリイイイ! ミチさん、おいらに・・・おいらに勇気を下さい!! うおおおおおっ! 大雪山六甲おろしいいいいいいいいっっっ!」


 瞬間的にチェンジしたゲッP3のジャバラのような両腕がギュウウウウ---ンと伸び、上空に居るスーパーゴウラの身体に巻き付き、ガシッと掴んで引き寄せる。

 そして発生させた竜巻と共に投げ飛ばす。


「ぐおおおおおおおお!」


 魔王はきりもみ状態で竜巻に切り刻まれながら弧を描いて地面に落ちた。 


「トドメだ! ゲッPミサイル!」

 投げ飛ばされて地面に叩き付けられた魔王に向かって、ゲッP最大のミサイルが彼を襲う。咄嗟に右手の平でバリアを張りながら庇うが、一瞬遅れた。


 BOOOOOM!


 爆炎と爆煙がスーパーゴウラを包み込み、全身に張り巡らせてある魔法障壁も剥がれてしまった。


「くっ、やるな。なかなかのパワーだ。腕が一本取れてしまったではないか」


「どうした? 手を貸して欲しいのか?」

 上空から黒龍グクールが思念波で話しかけてきた。

「いや、それには及ばぬ」  


 魔王は立ち上がって残った左手で身体のほこりをパンパンと払い、バリアが一瞬遅れて千切れた右腕を右肩から掴んで自ら引き千切り、ズバッと新たな右腕を生み出した。

 

 右手の感触を確かめるように握ったり開いたりしながら、

「ならばこちらの番だな」

 そう呟き、その巨体を空高く飛ばした。


 その頃魔術軍団長のナンシーは、部下たちを指示された進行ポイントに向かわせて、自分は魔王城の瓦礫の影から滅多に見せないスーパーゴウラの姿を堪能していた。夢見心地だった。


「『天襲脚』『 連冥陣爆蹴』!」

 天空からの落下速度に加え、足先に魔力を込めた三角蹴りからの、連爆を起こす蹴りコンボが見事にゲッp3に炸裂した。さらに、

「必殺、『烈空鳳凰殺』!!!」

 ぐるりと回した赤黒い炎を噴き出させている右腕から、ダビデの星の形に切り刻む手刀を叩き込む必殺技が炸裂した。

     

 グゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


 ゲッp3は地獄の炎に焼かれながら三機に分裂し、大地に落下していった。


 

「きたぁぁぁぁぁぁ! あの厨二病が激しい技名! さすが魔王様。痺れますわ!」

 この殺伐とした戦場の中、笑わないナンシーが真顔のまま、内心1人盛り上がっていたのは内緒である。

 



 

 数分後。

 魔王城を乗せた魔界の大地で埋め尽くされた東京都西多魔郡檜原村周辺の山間は、数分前までの巨大怪獣と巨大ロボの激しい戦闘が終結しており、代わりにこの辺り一帯が火の海と化していた。

 その火の海の中に地球防衛軍のメンバーは取り残されていた。


 地球防衛軍水戸目院司令長官(仮)からの救援要請で駿河湾から飛んできた、恒星間移動要塞兼移民基地【キング・BR】と【サンバット3】が到着した時には、魔王軍は全て東京都心に進軍した後だった。


 幸いにも魔王は行動不能になった地球防衛軍側のメカには興味が無いらしく、彼らを捨て置いてさっさと行ってしまったのだった。

 おかげで魔王城に攻め入った全員が命だけは取り留め、キング・BRに救出されることとなった。

 

 宇宙刑事ジャイダーとマニーをはじめ、ここに居る全員が死力を尽くした戦ったのだが、エースのゲッPロボを欠いた地球防衛軍では魔王には全く歯が立たなかった。


 そして魔王は最後に、空中で腕を組んだまま仁王立ちとなって地球防衛軍の面々を見下ろし、地球人には解らない言葉で何事か呟きながら指をパチンと鳴らして、辺り一面を火の海にして去って行った。

 戦闘能力の無くなった彼らにはそれで十分だと思ったのだろう。


 ちなみに何を言ったかというと、

「シュショックーどもの力はだいたい判った。ゆくぞナンシーよ」

 である。


 瓦礫の影から「バレてる!?」と慌てて飛び出したナンシーは、直ぐにゴウラの足下にピタリと付き、

「お怪我を治しますわ。魔王様」

 移動しながら虹のクォータースタッフを振るったのだった。 





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


〈あとがき〉


改めて「ゲッ〇ーロボシリーズ」や「マジン〇ーシリーズ」「宇宙刑事シリーズ」などの資料を読むと、魔王軍団の身長の小ささにビックリ!w


特に「スーパー戦〇シリーズ」のメカのデカさには「失敗した」感満載です。

「どーしよー。アイツらこんなにデカかったんだぁ」って頭抱えましたw


本当はとても巨大な魔王VS地球防衛軍のメンバーという対比を描きたかったのに・・・


そして各ロボットの壮絶な能力にビックリ!

さすがスーパーロボットです。

 


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