第7話「LIVE配信」
第七話
「LIVE配信」
「お面ライダーキィィィック!」
お面ライダーソードの必殺キックが炸裂した。
足先に三角形のエネルギー体が集約されて、そのまま敵の塊に突っ込んでいくのだ。
GAGAGAGAGAGAGAGAGAGAAAAAAAAANNNNNNNN
「「「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」
ゴブリンたちがまとめて爆殺されていく。
お面ライダーたちが来てくれたおかげで助かった英子と備井子は、ちょっとだけその場で座っていたが、直ぐに立ち上がって行動を開始した。
「ここは危険じゃん? 早く車に戻ろう」
二人は立ち上がり、ライダーたちが突っ込んできた窓から校舎を出て、運動場に来た。
車は運動場の向こう側にある正門前に止めてある。
無事に車にたどり着いたとき、英子は言った。
「備井子、LIVE配信しよう! あーしらそのために来たんだし」
「え? だって今日は詩衣子居ないよ? カメラどうすんのよ?」
「備衣子やってよ。あーしが実況しながら護衛するわ。備井子はいつも通りの解説とカメラね」
「いつもより怪人多いから危険じゃないの? 厳しいなぁ。詩衣子なんでこんな時に休むかなぁ」
「世界中の人にヒーローの活躍を伝えるのが、あーしらの仕事じゃん? やろーよ!」
「相変わらず英子のやる気は凄いわね。解ったわ。やってみよう! ただしあまりに危険だったら直ぐ撤退するからね。そこは守ってよ?」
「オッケー備井子。早速準備ね」
二人は地球防衛軍パトロールカーに入り込み、放送のための準備に取りかかった。
英子は車の中にある放送用機材に電源を入れていく。
車の屋根に搭載されているパラボラアンテナが、クルクル回り始める。
車の放送機器と手ぶれ補正付きの手持ちカメラをつなぎ、起動状態を確認する。
その間に備井子は、数分後に始まるLIVE配信の告知をSNSに流していた。
最後に栄子は目元を隠すLIVE配信用のマスカレードマスクを付け、ハーフヘルメットを被り直した。
二人はおもむろに後ろのハッチから肩掛け用のアサルト光線銃を一丁ずつ取り出し、英子はサブマシン型光線銃とバッテリーとマイク、備井子は両手に高出力型光線銃とバッテリーを持ちだした。
「準備オッケー! じゃ、いくよぉ。放送スタート!」
二人は粗方片付いた玄関の開きドアを、力いっぱい蹴り開けた。
「ハイ! みんな。地球防衛軍の実況A子と解説B子じゃん! 今東京のとある村で怪人が大発生してるんだ! ライダーたちが駆けつけてくれたから、みんな応援してね」
ヘッドランプを点灯して、ライダーたちを探しに歩き出した。
サブマシンガンを腰だめに構えたまま、さっきの角を曲がったA子。
襲ってくる怪人怪物は居なさそうだ。
びっしりと張り巡らされた蜘蛛の巣で廊下は暗くなっている。
足下はクモの死体だらけだ。廊下が奴らの体液で滑りやすくなっている。
「ねぇB子、蜘蛛って食べるとチョコレートみたいな味するって本当?」
「わたしが知るか! 気になるんならA子が食べてみれば? ここにいっぱい転がってるし!」
「「・・・・・・・・オエッ」」
想像しただけで気持ち悪い。
二階を上ったところではベース色が緑色の【お面ライダーアックス】が、一際大きい【ヒュージスパイダー】と戦っていた。
ヒュージスパイダーは脚だけでライダーアックスの身長を優に超しており、脚は廊下一杯に広がっていて、体は天井を擦っているくらいだ。
長い前脚二本で攻撃しつつ、こちらに向けたお尻からは蜘蛛の糸を単発で噴射してくる。
「アックス大樹漸っっっ」
「おっと! ここではお面ライダーアックスが、大型の蜘蛛と交戦中じゃん! アックスは得意の大樹漸で蜘蛛の脚を一本真っ二つにしたぞぉぉ!」
「さすがはアックスです。安定した強さで見ていて安心できますねぇ、A子さん」
「ライドルアックス・ガンモード!」
『キュキュキューイーン・キュキュキューイーン・キュキュキューイーン』
お面ライダーアックスの専用武器、ライドルアックスが銃の形に変形して3連発のバーストを3回撃った。
本体が高いところにあるので、すかさずライドルアックスをガンモードに変更して戦うアックス。
「みんな見たぁ? ライドルアックスのガンモードはなかなか見られないレア映像じゃん!」
「アックス特有の太い銃口から発射されるバーストモード炸裂で、大ダメージです!」
A子の実況にB子が武器の解説を入れる。
(よし! スポンサーポイントゲット!)
A子はカメラの見えないところでB子と目配せをしつつ、拳同士でハイタッチをした。
お面ライダーアックスは滅多にガンモードを使わないライダーなので、銃を使う映像はレアなのだ。ポイント高いぜ。
武器の変形シーン・銃を撃つシーンなどはオモチャの売れ行きに関係するから、そこをカメラで撮ることはとても大事な仕事なのだ。
地球防衛軍の運営には、たくさんのスポンサーや寄付金が必要なのだ!
頭を撃ち抜かれたヒュージスパイダーは力を失って、ドウっと音を立てて廊下を塞いだ。
塞がれてしまったからには、向こう側に行くためには丘のような蜘蛛を登っていくしかない。
「今回こんなのばっかり。うえぇぇ」
アックスと一緒に蜘蛛の向こう側に行くと、ソードとダガーが緑色の肌をしたこびとの集団と戦っていた。
「トウッッ。ハッッ」
「お面ライダーソードとお面ライダーダガーです。ソード様素敵です」
実況としてヒーローの名前を確実に伝えることは重要だ。
ここにアックスが加わることで、戦況は一気に防衛軍側に有利になるかと思われたが、怪人側にも緑のコビトの親分みたいなのがワラワラ出てきた。
ホブゴブリンだ。
全身緑色で、ほぼ裸のコビトと違って服らしきもの纏っている。
身長は並の人間より少し大きいくらいで、手には盾や剣を装備していて、見るからに凶悪そうだ。
「トウッ、ソードスラッシュ」
ライダーソードがパンチ・キック・武器攻撃と多彩な攻撃でゴブリンどもを倒している時、学修机が飛んできて、あわや顔面直撃だったところでライダーが気付き、ライドルソードで叩き割った。
しかし机攻撃はそれで終わった訳では無い。
ゴブリンどもがバケツリレーで教室から机を運び出し、ホブゴブリンがそれを投げつけてくるのである。
ブンブンと唸りを上げて飛来する机に、仲間のゴブリンもけっこう巻き込まれている。
アイツらに仲間意識は無いのか?
「ちょっと、アブなっ! コビトたちのリーダーでしょうか? おっきい緑色がコビトたちと連携行動を取って、組織的攻撃をするようになりました。学校の机がめっちゃ飛んできます!」
腰だめに構えたサブマシンガンで、寄ってくるゴブリンどもを撃ちながら実況を続けるA子。
カメラマンのB子も左手でカメラを操作しながら右手で光線銃を撃つが、上手く当たらない。
「C子みたいに上手くいかないわね」
比較的背の小さいお面ライダーダガーが、持ち前のスピードを活かして突撃を開始した。
立ちはだかる無数のゴブリンを蹴り飛ばし・切り倒し・飛び越えて、飛んでくる机を躱してホブゴブリンの懐に飛び込んだ。
「ダブルバイパービクトリースラッシュ」
ライダーダガーの必殺技が炸裂し、ホブゴブリンが2本のダガーでVの字に切り裂かれる
「ソード回転連続斬り!」
「アックススイングバイ大切断!」
ソードとアックスも必殺技で残るゴブリンどもを3人のライダーが揃った。
「ライダーソード・ライダーアックス・ライダーダガー3人のライダーが揃いました! 残るはあのデッカイ親分5体と子分たちかぁ?」
2階廊下の突き当たりは『理科室』と書かれていて、大きな部屋になっている。
A子はB子が持っているカメラに向かって持っているマイクで理科室を指し示しながら自分をアピールする。
「何かなぁ? 緑の親分たちは理科室を守っているようにも見えるじゃん?ひょっとしてこの中に何か秘密があるのかなぁ?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈あとがき〉
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
宜しければ、
♡で応援。
★★★で応援をよろしくお願いいたします。
みなさまの暖かい応援をお待ちしております。
応援して頂けますと頑張れます。
応援してくださいました方、さらに重ねて御礼申し上げあげます。
誠にありがとうございます。
感謝しております。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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