ありのままを

 現実逃避をしているのに現実を見てしまった。もうここにはいられないと思い立ちゆらゆらと歩を進める。

あの子を守ってやらねば、私の愛する貴女を。今となっては家庭も持ち私には見せなかった笑顔を振りまく彼女がいた。

大人びた彼女もまた華憐で美しい。彼女の家の前から窓を覗き続ける。彼女の子の父、つまり彼女の旦那が薬に落ちぶれ

不審死をとげてから私は彼女を守らなければいけない義務がある。愛する者の務めというやつだ。そうして8時間ほど彼女を

見守ると背中にトントンとした感覚があったその姿は暗闇に紛れた青いカラス、その腰にかけた黒鉄色のニューナンブは手入れが行き通っていた。

まずい、この状態では私は俗にいうストーカーに見えてしまうではないか。なんとごまかそうと思いその顔色を窺うと。

それは学生時代にわたしを取り囲んでいた一人だった。しかし私の落ちぶれた姿からは過去の栄光などまるで感じ取れないようで気付く素振りも見せなかった。

逃げようにも大腿部からは的確な止血をしたため走ることごときもできなかった。


その警官もとい友人の顔が起因となり「たからもの」を見つけた。いや「たからもの」なんていいもんじゃない新手の生物兵器だ

ものの見事に見たくないものを見せてくれた。

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