第10話
翌日俺の部屋のドアを叩く音がした
いやデジャブ…
祐二が今日も来た?
いや、それは流石に…
じゃあ誰だ?傑?剛?
恐る恐るドアを開けるとそこには…
「は?」
理解出来なかった俺はサッとドアを閉じた
今誰かいた気がするけど多分気の所為だろう
俺は再び修行に戻った
ドアがさっきより激しく叩かれる
気の所為ではなかったようだ…
「うるさい」
ドアを少しだけ開けて一言言ってドアを閉めようとしたが
「うわぁ…」
「うわぁじゃなくて痛いんだけど」
強引に足を隙間にねじ込んできた
「痛いなら足どけなよ」
「君ってほんと見かけによらないのね」
「そんな褒めんなって」
「ここで私が叫んだらどうなるかしら?それにこの場所知られたくないんでしょ?」
「お前もいい性格してるわ」
ここまで言われたら降参するしかない
渋々ドアを開ける
そこに立っていたのは初島だった
「2日ぶりね」
「ここは誰に聞いた」
「1人しかいないでしょ?」
祐二ー!!!!
アイツだけは本当に許さん
ボッコボコにしてやる!
「ふふ、君のそんな顔初めて見るわ」
「そすか」
おっといかん、冷静にだ
落ち着く為には剣を振ろう
「客が来たのにお茶もでないの?」
「客だと思ってない」
「なんでそんな冷たいのよ、わざわざ会いにきてあげたのに」
会いにきてあげただー???
頼んでねぇーんだよ!ばーーか!!
と叫んでやりたい気持ちを抑える
「なんだお前誘ってんの?」
「え」
「男の部屋に1人できてそんな事言うって事はそういう事だろ?」
剣を置き
初島の方へ近付き、顎クイをする
流石にキザ過ぎただろうか?
キャラじゃないし脅して帰らせるつもりだったのだが…
あれ?
初島は拒否するでもなくただ目を丸くしながら顔を真っ赤にしていた
「そんな耐性ねぇなら男の部屋に1人で来んなや、好きでもねぇ奴に手は出さねぇよタコ」
そのまま初島を叩き出してドアを閉め修行に戻る
本当にアイツは何がしたかったんだろうか?
時は少し戻り、剛達のダンジョン初挑戦の日
教官から指示が出る
「お前達は今日からダンジョンに挑戦する。といっても初級ダンジョンの序盤にはほとんど危険はないだろう。しかし不測の事態が起きてから対処するのでは手遅れになる!対処しやすい様4人以上でチームを組め!理想は魔法士1人にタンク1人アタッカー2人が望ましい!それではさっそくチームを組め」
指示が出てすぐ生徒達が動き出す
1周目では祐二が魔法士、剛がタンク、和泉と傑がアタッカーという役割になっていた
ただタンクに関しては息のあった3人がスイッチしながら行い祐二を守るという理想的なチームだった
和泉が抜けたのは単純な戦力減というよりもチームワークという点で大きく戦力を削っていた
和泉の代わりにチームに入ったのは
金髪で目つきが悪く所謂ヤンキーという分類の人間
本人の希望でポジションはアタッカーとなった
武器は大剣で取り敢えず指示には従っている感じ
ダンジョン内に入り
へドリアンと遭遇する
物理が効きにくく魔法で対処するように事前に指導を受けていたので祐二が前に出る
「俺に任せ…」「シャハハハハ」
それよりも早く矢島は駆け出しへドリアンに斬り掛かる
鋭い一撃ではあったが物理耐性の高いへドリアンには効かず軽くダメージを与えただけだった
「ちっ、駄目か!おい!!」
攻撃が通らないと見ると祐二に向かって攻撃しろとでも言わんばかりに威圧してくる
「んだよ!初級魔法ファイア」
へドリアンは跡形もなく燃え尽きる
1周目ならここで祐二のレベルが上がっていたがダメージによる経験値分配により矢島にも多くの経験値が流れ祐二のレベルが上がらなかった
それ以降へドリアンに対しては手を出さなくなったがゴリアナが現れた時は連携もクソもなく斬り掛かり
相手の攻撃はタンクである剛に全て受けさせる
余りにも横暴なレベリングを実施していた
結局初日は祐二がレベル4、剛と傑がレベル2、矢島がレベル7になった
結果的にはレベルがあまり上がらず良かったのだがその事を知らない3人はストレスが溜まっていった
レベリングによりどんどんレベルをあげる矢島は比例して能力もあがりますます横暴さに磨きがかかった
1週間もした頃には祐二がレベル10、剛と傑がレベル8、矢島がレベル21と倍以上差がついていた
流石に我慢の限界がきた剛達は矢島に追放を告げる
本来1周目では矢島とパーティを組む奴はおらず、単独でダンジョンに挑んだ矢島は3日目に死んでいた
和泉は間接的だが矢島の命を救ったと言える
だがその矢島のせいでキレやすくなっていた祐二にぶん殴られた和泉は少し不憫であった
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