第11話
ここを出るまであと2ヶ月
つまりあと2ヶ月すれば初級鑑定魔法を覚えられる
スキルの取得状況にもよるけどここまでは順調と言っていいだろう
あとはあのアイテムだけなんだ…
アイテム探しは割と行き詰まっている
そこまで高いものでもないし珍しいものでも無いはずなんだが…
祐二からの連絡もないし
悩んでも仕方ないし今日も瞑想しようか…
いつも通り座禅を組んで瞑想を始めようとした時見覚えのある画面が浮かび上がった
「まじ??いや、でもなんで…まだあと2ヶ月」
だがこれは嬉しい誤算兎にも角にも現状のステータスを確認しよう
和泉 啓介
age:17
女神の祝福:0回
職業:無職
体力:2980/680(+2300)
魔力:1050/0(+1050)
技能
力:13(+280)
技:13(+230)
速:13(+150)
魔:1(+105)
スキル
槍術、剣術、斧術、弓術、棒術、槌術、格闘術、空手、武人
魔法
初級鑑定
EXスキル
極めし者(リセットボーナス)
へ?なんだこのハチャメチャなステータス
技能の数値だけなら1周目にレベル99になった直後とそんなに変わらないぞ
恐らくEXスキルの極めし者ってやつの補正か?
これまた嬉しい誤算だ、これならあいつに勝てるかもしれない
ステータスを自覚したせいか
もしくはステータスを確認してようやく補正が掛かるのか定かではないが身体が軽く感じるし力が湧き上がる
中級ダンジョンまでならソロ制覇出来る気がするけど、まだその時じゃない
あの日からたまに初島がこの部屋に来るようになった
「この部屋の事バラされたくなければ…」
なんて脅してくるから仕方なく相手をしている
俺としてはさっさと祐二とくっついて欲しいのだが…
これから暫くここには戻ってこないし皆にチクられても困るから
初島が来るまで出発はお預けだ
そして俺が鑑定魔法を覚えてから3日後に初島はやってきた
「よ」
「珍しく好意的に招いてくれるのね、嬉しいわ」
「まぁ、暫くここには戻ってこないからな」
「え、なんで…」
「理由は言えない、最悪2ヶ月で戻れない可能性もある」
「そんな…」
「その前にお前に伝えとかなきゃ行けない事があってさ」
俺がそう言うと初島がなんだかソワソワし始めた
「もし俺が2ヶ月で戻れなかった時は剛達のチームに入って俺の事を伝えて欲しい」
「………」
「だめか?」
「………」
「おーい」
「………」
なんか唖然とした顔をしてるし、ちょっと怒ってる?
「まさかとは思ったけどやっぱり君はそういう人だよね!!散々分かったつもりでいたけどここまでとは…」
なんかブツブツ言ってて怖い
「あのー初島さん?」
「なに!?」
めっちゃ睨まれたんだけど…怖いやだ
「あの、ですから俺が戻れなかった時は…」
「聞いてたわよ!うるさいわね!!」
なんか理不尽にキレられてる
「何か言いたいことでも??」
「いえ」
「でも私にはそのお願い叶えられないわ」
途端彼女の表情が暗くなる
「なんで?」
「だって私は」
「治癒魔法が使えないから?」
「っ!!なんでっ!?」
そう俺たちが戦っていく中で最後のピースとして欲しかったのは初島がもつ治癒魔法
治癒魔法なんて世界の理すらも変えるようなものはこの世界の人間には使えない
だけどスキルを選んできた俺たち異世界人なら?
そう考えた俺は1周目の最後の5年間生きてる同級生を探し回った
そして最後に初島を見つけた
治癒魔法があれば万が一の時の備えになる
ただ治癒魔法は必要技能と必要魔力がかなり高い為、1周目の初島は発動出来なかったのだ
でも今回は違う
「大丈夫だ、3年以内に俺が治癒魔法を使えるようにしてやるよ」
「意外と長いのね」
まさか文句を言われるとは…
だが彼女の表情は明るくなっていた
「だからさ…」「なら私からも1つ条件」
「なんだ」
「私の事ちゃんと女の子として見て」
「!!」
ここまで言われて気付かないほど俺は鈍感ではない
確かに1周目の事を言い訳にして彼女の気持ちを見ない振りしてきた
それに祐二の気持ちを知っているから尚更
でもまさかそれを指摘されるなんて思ってもいなかった
「いや…でも…初島は祐二の事…」
「なんで今、支くんが出てくるの!?確かに告白された事はあるけど…」
告白……
ああそうか、あの時の祐二の態度にようやく納得出来た
ただそれでも…
「俺にはさどうしても初島の事そういう対象として見る事が出来ない理由がある。それを無くすにはきっと時間が必要で、それまで待ってて貰うとかは違うし、初島を幸せに出来る人はきっと他にいると思ってる」
1周目の君はちゃんと幸せそうだったよ
それでも…
君がそれを望むなら
「でもさ、もしその時まだお互いフリーだったらデートでもしようか」
これが今の俺の精一杯
正解ではないと思うけどこれで良かったのかどうかは彼女の笑顔が語っていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます