re:はじまりの街

第7話

視界が激しい光に覆われる


この光にさえ懐かしさを感じてしまう


視力が回復してきて部屋が見えてくる

確かにこんな感じだった

今見てもこの部屋はでかいな


「和泉っ!!」


そうだ前も最初に傑が見付けてくれた

走ってくる傑の姿が見えてくる

近付いてくるのに視界がぼやける


あれ、涙が…


「おい!和泉?和泉!?大丈夫か?」


泣いてるのがバレないよう下を向いていたらめちゃくちゃ心配された


「いや、大丈夫。まだ眩しくてさ」


声が震えてるのがバレないようなるべく小さい声で話す


「おぉ、そっか!ならよかった」


傑の叫び声を聞き付けて祐二と剛も駆け寄って来た


「おーい、傑ー!」「ここどこだよ!何が起きてんだ」


「いや、俺も分かんないんだよ」


「って、和泉もいんじゃん!」


「なんか和泉だけ光が強かったらしい(笑)」


お前ら笑ってんじゃねぇよ

俺の気も知らずに!!


当たり前だけどあの頃と変わっていない彼らに安心し、心から嬉しいと感じた


取り敢えず状況の確認


鑑定ー


……そりゃそうか

分かってはいたけどついさっきまで当たり前のように使っていた物が使えなくなるのは喪失感が凄い


この様子なら他のスキルも全滅だな


「皆はなんのスキル選んだ?」


これが重要

変わってるはずなど無いけど確認しなくてはいけない


「魔法適正(全)ってやつだな」

「剣術+ってやつ!強そうじゃん」

「俺はもちろん勇者だ!」


よかった、皆変わってない

この分ならあいつのスキルも変わってない筈だ


「和泉は?」


1周目の時俺は皆に嘘をついた

それが最善だと分かってはいたけどどこか心苦しかったのも確か

でももう嘘をつかなくてもいい


「リセットボタン。俺は異世界2周目だ」


「ぷっくっくっくっ」

「ひぃ…ひぃ…ひぃ」

「あーはっはっはっ」


爆笑された


「いや、冗談じゃねぇから!!」


まさか笑われると思ってなかった

言うのも結構緊張してたりしたのだが吹き飛んだ


「和泉お前さっき様子おかしかったし、どうしたんだよそんな冗談言う奴じゃなかったろ」


「だから本気だって言ってんだろ!」


そんな調子で騒いでいたら周りの注目を集めてしまった


「転移者の皆様!!どうか私の話を聞いてください」


ケジリ司祭がやって来た

正直これ以上注目を集めたくなかったので助かった


俺の2周目が本当の事だと思わせるにはこれからケジリ司祭が言うセリフを先読みすればいいだけだ


だがそうしない

さっきはカッとなって反論したが俺がおかしいと思われていた方がこの後は都合がいい


皆がケジリ司祭の長いお話を聞いている間に同伴している神官を捕まえる


「寮の部屋を指定したい。あと俺だけが使える広間が欲しい」


「なっ、何を」


「異世界に連れてこられた上に帰れないって事は分かってる」


「何故知っている!!だがっ、貴様だけにそんな!」


「俺は大層気分が悪い。お前らのせいでだ、なぁ?分かるよな?」


ただの脅迫

俺のことはやばいやつだとでも思ってくれればいい

それよりも1年の間に出来るだけ環境を整えないといけないのだ

俺は皆と生き残る為ならなんでもする


あの悪夢までたったの6年しかない

カンストした俺でも傷1つ付けるのがやっとの相手に6年で勝てるようにならないといけない

1分1秒でも無駄に出来ない


神官達は観念して俺の「お願い」を受け入れてくれた

これで俺はやるべき事をやるだけ


結局「お願い」は部屋と広間、俺への不干渉、食事は部屋へ直接提供、支度金20万ギルの先払いの5点となった


初級鑑定習得までクラスメイトと関わりたくないから条件を増やした

広間は修行と訓練に使う

20万ギル先払いを求めたのも理由はある


マグニ!お前が来るまでに俺が強くなっているか!俺とお前の戦いは既に始まっている

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