第6話

2周目の異世界生活で皆を死なせない為には強くならないといけない


俺はまずスキルの習得方法を調べた

何故かと言うと槍を使い続けた俺には中級槍術のスキルがあったから

さらに剣の方はそこまで使った記憶はないが剣術+になっていた

なにか条件があるに違いない


意気込んで調べ始めた俺だがすぐに躓いた

それもそのはず初級鑑定の存在すら忘れられたこの世界でスキルという概念は存在しない


という訳で少しアプローチを変えてみる


スキルを習得してみよう

簡単なのは武器を使いどのタイミングでスキルが生えるのか検証すること

でもどうせなら2周目で使える技能にしたいから格闘術の道場を探した


これも先代の異世界人が普及したのだろう

柔道に剣道、少林寺となんでもあった

その中でも1番実践的であろう空手道場に入門した

1週間もすると空手のスキルが生えてきた

それから半年で空手+となり

3年かけて中級空手となった

5年経った頃には黒帯になり免許皆伝となった

上級空手まで進化はしなかったが

格闘術が+になり武人というスキルが生えていた


ステータスが上がるのはレベルアップした時だけだと思っていたがスキルによってもステータスが上がるみたいだ


和泉 啓介

age:35

女神の祝福:99回(上限)

職業:アルカナ大陸Bランク討伐者

体力:12380/10580(+1800)

魔力:1090/990(+150)

技能

力:224(+240)

技:352(+190)

速:267(+50)

魔:187(+15)

スキル

中級槍術、格闘術、剣術+、中級空手、武人

魔法

火魔法(初)、中級鑑定

SPスキル

リセットボタン


どういう配分なのかは分からないがかなり伸びている

前回見た時から( )の中の数字だけ増えている事からスキルの補正は( )で表示されるのだろう

頭打ちだと思っていた自分の強さにまだ上があると知れたのは単純に嬉しい


いつの間にか鑑定魔法も中級になっていた

中級鑑定では武器や装備などの物について鑑定出来るようになっていた


検証結果としてスキルは自分で得られるということとスキルを使うことによって進化するという事が確信となった

スキルを得る為には関連する行動を一定回数行うことが条件なのは分かったが他にも条件はありそう


スキルについて調べると共にこの世界の害獣と戦い習性や攻撃パターンを研究する為、旅に出る事にした


そして10年経った

気付けば元の世界にいた時の父親と同じ歳になっていた

でもただひたすらに進み続けた俺にはそんな実感はなく心はまだ転移してきたあの頃のまま


この10年でスキルの獲得方法とその条件はある程度理解出来た

魔法も基本的にはスキルと同じということも分かった

ただ両方に言えることは、人にはそれぞれ適正があり成長するには限度があるということ


そして俺には魔法の適正がほとんど無いことも分かった


中にはそれらの壁を越える物もある


そのひとつが魔法スクロール

どんなに適正がない人間でもこれを使えば魔法を覚えられるというもの


魔法の適正が低い俺は鑑定魔法を上級まで上げることが出来なかった

上級鑑定魔法では人のステータスを見る事が出来る

2周目に入るにはどうしても上級鑑定魔法が必要だった俺は、上級鑑定魔法のスクロールを買った


スクロールはその性質の為、初級の火魔法ファイアですら1億ギルする

それが上級鑑定魔法ともなると、人には言えない金額であった

文字通り俺の全財産を使ってようやく買えた


5年ほどで粗方必要な事は終わっていて残りの5年はある人物を探すのに使った

魔大陸とアルカナ大陸を駆け巡ったが見つからなかった

最後に俺は王都に戻ってきていた


そこで俺は探し求めていた人物を見付ける


意外すぎるその人物に運命を感じてしまい思わず笑ってしまった


これで全てが揃った


だが2周目に行く前にやる事が残っている


俺はマグニの元へと来た

2周目に行けばまた皆と会える

頭では分かっていても心は理解しない

目の前で仲間を潰されたあの瞬間は今でも脳裏にこびり付いている


こいつだけは許さない


今の俺が出せる全力の一撃


これで身体がバラバラになろうと関係ない

槍が壊れるほどに力を込めマグニに突き刺す


槍は折れる


マグニは声すらあげない


だがそれでも届いた


槍先はマグニに刺さっていた


あの頃の傷1つ付けられなかったあのマグニにだ


たとえほんの僅かだとしても俺がこの世界で生きてきた20年近くは無駄ではなかったと

辛かったこの世界でようやく報われたと

そう感じた


必ずお前をぶっ殺す


俺は高らかに叫ぶ


最初で最後の俺のスキル


「リセットー!!!!」

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