第5話

上級ダンジョンをソロ攻略したことで、Bランク討伐者となり

溜まっていた能力向上を一気に行う

しっかり数えてはいないが、途中でレベルアップの音がしなくなったしレベルは99だろう

もう二度と教会に来ることはない


そして俺は魔大陸へと向かった

アルカナ大陸と魔大陸をつなぐ唯一の道

通称「死の道」

凶悪な害獣が沢山おりAランク以上の討伐者でないと通る事は出来ないと言われている


Aランクではないがレベル99までカンストしている俺ならいけるはず


序盤は順調に進んでいたが丁度真ん中辺りに来た時害獣の数が一気に増えた

倒しても倒しても減らないし、一体一体が強く集中が少しでも切れたらやられる


そんな極限状態の中、飛びかかってくる害獣に槍先を突き刺す

絶命したのを確認し槍を抜こうとしたら


バキッ


槍が折れた


こんな時の為にサブ武器として剣を帯刀しているのだが

完全に集中が途切れた俺は剣を抜くのに手間取る

害獣達はその隙を逃さず攻撃してくる


あっ、死んだ


「上級魔法ファイアストーム」


俺の周りに炎の壁が現れる


「上級魔法ファイアブラスト」

「上級魔法ウインドストーム」


炎の壁が消えたと思ったら周りにいた害獣が全て燃えカスとなっていた


「さぁおいで、急がないとまたすぐ害獣が集まるよ」


声の方を見ると男にも女にも見える長い黒髪の人がいた

ここに留まっていても仕方ないのでついて行く


「さっきは助かった、俺の名前は和泉だ」


「気にしなくていい、僕の名前はルイスだ」


改めてルイスを見てみる

身長は180cmくらいだろうか剛と同じくらいな気がする

整った中性的な顔立ちに長い黒髪

胸の膨らみはないが顔を見ても男か女か分からない


「僕の性別が気になるかい?こんな顔だからよく聞かれるんだ。どっちだと思う?」


「男か?」


「正解!よく出来ました。なら今度は僕の質問に答えてもらおう、なんでAランクチームが挑むような場所に一人でいたの?」


初対面ではあったがルイスになら話してもいいと感じこれまであった事を全て話した


「ふーん、君はアルカナの異世界人なんだね」


「驚かないんだな」


「僕の祖父が魔大陸の異世界人だからね」


言われてみるとこの世界の住人で黒髪と言うのは珍しい

異世界人の子孫が目の前にいるってのもなんだか不思議な気分だな


ルイスと死の道を渡り魔大陸へと着いた

道中いろんな話をしたのだが特に俺の興味を引いたのは、ステータスを見ることが出来る魔法の存在だ


こっちにきてすぐの頃、ステータスオープンなどと叫んたりして自分のステータスを見れないか試行錯誤したのはいい思い出だ

あの頃見れなかったステータスが見れるというのだから是非とも覚えたい


魔法区分としては初級になるのだが、習得する為の時間がとても長くそこまでしてステータスを見たい者などほとんどいない為、その存在はどんどん埋もれていったらしい


ルイスに習得法を聞いた俺はさっそく習得を始めた

といってもやる事は簡単、毎日12時間連続瞑想をするだけ

これを1年間続けた者のみ魔法を習得できる


だが12時間ということは一日の半分瞑想のみをしなければならず単純計算半年分の時間をこれに捧げるということ


途中心が折れそうになった事や、自分が何をしているのか分からなくなったりもしたが

なんとか1年間続けた


そして瞑想を始めて丁度1年経った時変化は起きた


瞑想をしていたら突如自分のステータスが浮び上がってきたのだ

驚いて目を開いたらそれは消えてしまった


慌ててもう一度目を瞑るが何も起きない


今度は目を瞑ったままステータス画面を思い浮かべる

すると先程見たものと同じものが浮かび上がってきた



和泉 啓介

age:30

女神の祝福:99回(上限)

職業:アルカナ大陸Bランク討伐者

体力:9280/10580(+800)

魔力:1050/990(+100)

技能

力:224(+90)

技:352(+90)

速:267

魔:187(+10)

スキル

中級槍術、格闘術、剣術+

魔法

火魔法(初)、初級鑑定

SPスキル

リセットボタン


画面を見た俺の心に再び火がついた

何故あの時死ななかったのか何故俺は生きようとしたのか、その答えがあった


リセットボタン…

あまりに昔の事で選んだ自分さえも忘れていたスキル


俺の異世界生活はまだ終わっていない

いや、始まってすらいなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る