第4話

Cランク以上のチームには名前を付ける義務がある

俺たちのチームは【ブレイブハート】と名付けた

発案者はもちろん剛だ


新しく出来た名有りのチームはアルカナ大陸を収めるアルカナ王と謁見する


Cランク以上は強い害獣が出た時緊急依頼を受けられるよう平常時はなるべく王都に待機するようになる

その代わりに月給がかなり高くなるのだ


それだけCランク以上のチームは特別な戦力だということ


謁見に関しては緊張し過ぎて何があったのかほとんど覚えていない


祐二はCランクになったら初島と結婚すると決めていたらしくプロポーズをした

結果は勿論OK


地球ほど豪華な結婚式ではなかったが教会で行われた結婚式はとても素晴らしく感動した


それから3年くらいは平和な日々が続いた

傑も地元民と付き合い始め、剛と山本も結婚した

祐二と初島の間には子供が産まれた


独り身は俺だけになった


レベルの方は60を超えた

独り身は暇なので上級ダンジョンによく行くのだがそれでも1ヶ月に1つレベルが上がるかどうかでそれだけレベルが上がりにくくなっていた


今日も上級ダンジョンに行こうかと準備をしていたら緊急依頼が発生した


災害指定害獣が現れたとの事

Aランク討伐者やチームは近場におらず

CランクとBランクのチームで協力して足止めをして欲しいとのこと


集まったのは俺たちとCランクチーム1つにBランクチーム1つ

だだっ広い平原で害獣を待つ


姿は見えないが足音が聞こえる

足音が近付くにつれ地面が揺れる


動くだけでまるで地震

災害と呼ばれるだけはある


ようやく害獣の姿が見えた

災害指定害獣マグニ、10階建てマンションくらいのデカさの黒いサイ


こんな奴相手に勝てる訳がない

一斉に魔法を放つが怯む様子もなく進み続ける

足に槍や剣で斬り掛かるがまるで刃が通らない


勝てるわけがない

ならいっそ…


逃げようとしたがマグニの周辺に巨大な黒い魔法陣が浮び上がる


気付いた時にはもう遅い

何倍もの重力が掛かり地面に貼り付けにされるそうして身動きが取れなくなった俺たちをマグニが踏み潰していく


「やめろおおおぉぉぉぉぉ!!!」


どれだけ叫んでもやめない

1人また1人と潰された、祐二も傑も潰された

そして俺の目の前で剛も潰された


マグニを睨みつけるとまるで笑っているかのように感じた


そのままマグニに俺だけに潰さずに進んでいった

どれだけ足掻いても身体が動かず抵抗するだけ体力を使う

それでも辞める訳にはいかないと足掻き続けたがとうとう気を失う


マグニはその後街を2つ潰してどこかへ消えていったそうだ


生き残った俺に待っていたのは同情や労いの言葉ではなかった


「1人だけ逃げた臆病者」

「街を守れなかった恥晒し」

「害獣と繋がっているのでは?」

「独り身だから他の仲間を恨んでいた」


等と様々な罵声を浴びせられた

勿論中には分かってくれていた人もいたが

人々には感情をぶつける物が必要だったのだろう


俺の心は疲弊しきっていて廃人のようになっていた


フラフラと街を歩いていたら初島と出会った


「あなたが悪くないのは分かってる…でも、それでも祐二を死なせたのに生きてるあなたが憎い!!あなたじゃなくて祐二が生きていてくれたらって思う!!この街にあなたの居場所はないの!二度と私の前に現れないで!!」


地球にいた頃きっと俺は初島の事が好きだったんだろう

いや、こっちに来てからもそうだったんだ

そんな彼女にこれだけ言われた俺は完全に心が壊れた


いっそ俺も死んでしまおうか…

何度も考えた

だけど死んではいけないと何かが俺を止める


でも行くところも居場所もない


気付くと俺は上級ダンジョンにいた


気を失うまで害獣を倒し、腹が減ったら害獣を食べる

俺を突き動かすのは死んではいけないという何か


来る日も来る日も狩り続け

もう何日経ったか分からなくなった

何時からかレベルアップもしなくなって

害獣も楽に倒せるようになった


そして上級ダンジョンで暮らし始めて5年

俺はソロで上級ダンジョンをクリアした

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