第2話

異世界転移して1週間が経った

元の世界に戻る事は出来ないと言われ

俺も少なからずショックを受けた

家族との仲は悪くなかったしもう会えないと思うと悲しい


ただ悲しい事ばかりではない

祐二と傑と剛、いつもの仲間が一緒に居てくれるからこの世界でも楽しく生きられる気がする


1週間過ごして思ったのはあまり地球と変わらないという事

過去に転移してきた人が地球の知識を広めていたらしく食べ物の名前もほとんど一緒だった


違うのはマンションみたいな高層ビルなどはなく電気という概念がないこと

生活の動力はすべて人力か魔力

過去転移してきたのもきっと学生だから発電など出来るはずも無く電気という概念がないのは納得出来る


俺たちは王都にある

異世界人用の寮に住んでいる

最長で1年間は寮に住んで生活していく為の術を身に付けさせるという方針らしい


初めの10日はこちらの生活に慣れる為自由行動となった

地球と変わらないとは言ったがゲーセンやデパート、映画館などある訳もなくゲームと言っても将棋やオセロなどしかない


便利な現代社会を生きていた僕らにとっては少し物足りなく感じてしまう

結局10日間ダラダラして過ごした


それからは戦闘訓練と魔法訓練が始まった


戦闘訓練は様々な武器を使い行われ

魔法訓練は魔力の使い方から魔法の発動方法まで教わった


2ヶ月間は全員で訓練し

その後に4ヶ月間はそれぞれが得意な事に別れて訓練した


全員集合した時驚いたのは初島がいた事だ

初島とはクラスが違うから偶然あの時うちの教室にいたらしい

初島にとっては不運な事だが

こっちの世界にきても初島に会えるのは嬉しい



約半年間訓練した俺たちはついに害獣と戦う

と言ってもダンジョンと言う練習場みたいな所でだが

ダンジョンはゲームによくあるダンジョンとはちょっと違う

初級ダンジョン、中級ダンジョン、上級ダンジョンと3つありそれぞれ害獣の強さが違う

罠とかはなくもちろん宝箱の類もない

一定時間毎に害獣がリポップするだけの場所

俺たちの目標は中級ダンジョンをクリアする事だ


4人程度でチームを組むよう言われたので勿論いつもの4人で組んだ

祐二だけは魔法の訓練をしていたのでどれくらい成長したのかは未知数だ


さてそれじゃあ初級ダンジョン攻略行こうか!!


ある程度進むと害獣が一体現れた


「うわっ」「うげぇ」「なんだあれ」「気持ち悪い」


散々な言い様だが仕方ない

現れた害獣は初級害獣へドリアン、名前の如くヘドロのような塊から手が生えていると言った見た目だったのだ



「皆は物理だから俺に任せな!」


祐二が1人飛び出す


「初級魔法ファイア!!」


両手を前に突き出し叫ぶ

すると祐二の足元に赤い魔法陣のような模様が浮かびあがり手から炎の玉が飛び出す


炎の玉はへドリアンに当たると燃え上がり

火が消えた頃には跡形も無くなっていた


「テロン」


「うおぉぉー!!」


どこからかテロンと音がした

これは女神の祝福と言って、害獣を倒した時にたまに起こる現象だ

簡単に言うとレベルアップだ

ただゲームのように体力、魔力が回復するなんてことは無く

能力の上昇も教会じゃないとできないらしい


へドリアンを何体か倒しながら進んでいく

倒しているのは祐二だけだが、パーティの腕輪というものを付けていれば倒した時に貰える経験値が倒した者以外も得られるらしく祐二以外もレベルアップした


そしてへドリアン以外の害獣が現れる

初級害獣ゴリアナ、一見するとゴブリンみたいな容姿だが色は黒く手?足?のようなものが全部で6本ある

うつ伏せになって6本の手足で動く様はまるで昆虫である

へドリアンと言い、ゴリアナと言い

人間が嫌悪する容姿をしているのはなんなのだろうか


ゴリアナはそこそこスピードがあり、人間が走るくらいの速度で襲いかかってくる

ただ攻撃の時は絶対飛びかかってくるので倒すのは簡単だ

傑と剛は剣で、俺は槍で戦う

中学までボクシングをしていたので本当は素手で戦いたいが攻撃力が足らないので槍を使うことにした


俺の方にもゴリアナが飛びかかってきた

タイミングを合わせて槍先を突き刺す


グサッ


初めての感触、とてもだが良いとは思えない感触だった

だがこれからこの世界で生きていく以上慣れなければいけない感触だ


結局この日は俺が3回、祐二が5回、傑が4回、剛が3回レベルアップした

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