人の目は怖い…
クラスに入った瞬間みんなの視線が俺と勇雅に突き刺さる。
いつもみんなから感じる親友や友達などの視線ではなく、純粋な瞳を向けてくる。
「勇雅…どうなってんだ?」
小声で聞いてみると、案外冷静になっている勇雅が、
「佳世ちゃんにお前が襲われたのは、あっちの世界で上がったステータスの『魅力』が影響しているんだと思う」
…『魅力』か。なるほど。
「それが他の連中からの視線も…」
「十中八九そういうことだろうな」
でも流石に…
「この量はおかしくないか!?」
休み時間になった瞬間他クラスから人が押し寄せてドアとドア側についている窓の間から主に俺を…と勇雅を一目見ようとしている図が出来上がっていった。
「お前が来なかった昨日はこれの3分の1程度だったからお前の魅力ステータスが高すぎるんだろうな」
勇雅も被害者のようだ。
魅力なんてそこまで鍛えた覚えがないんですが…
「無意識下で自然と伸びていったんだろう…」
幸いまだ、俺らのところに踏み込んでくる強者はおらず2人だけで取り敢えず簡易的な会話は出来ていた。
…やめて!教師がそんなアブナイ目をしちゃいけないだろ!
軽く、一種の恐怖を感じるほどだ。
辟易する…
「あ、あの!智也くん!」
勇気を出した勇者はなんとも意外な
図書委員の似合う大人しめな女の子だった。
「えぇっと…確かナツメさんだよね。どうしたんだい?」
この時の俺のオーラは魅力ゲージが急上昇したらしい。勇雅が言ってた。
「きゅ〜」
顔を真っ赤にしたナツメさんが倒れる。
…のを女子がすぐさま支えて帰っていった。
とても褒めたたられているらしい。
その勇姿を見届けていた他の男女が食い入るように俺のところまでやってきて質問攻めに会う。
…転校生じゃなきゃ起きないようなレベルなのだがこれは流石におかしい。
俺だって友達多い方だぞ?学校始まって一ヶ月時点くらいで興味なんて失ってる奴しかいなかったろ。
休み時間を全て潰されて2人揃ってばたんきゅーするのだった。
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2人揃って放課後になった瞬間打ち合わせもなしに教室を飛び出て迫り来る群衆を避ける。
ここで"能力"でも使えばきっと騒ぎが大きくなるだろう。素のスピードで駆け抜けて時に俺らを抑えようとする
「なんで逃げ切れないんだよ!」
そんな俺らにしつこくついてくる奴らがまだいるのだ。
無自覚による異能解放…基本的に【身体能力】に関する異能はいつのまにか覚醒していることなんてしばしば。というか、ごく少数。
そんな奴らは部活で
そんな奴らは速さ(脚力)専門、腕力専門、五感系専門etc…などの部類がある。
その中の速さ専門が今回の1番厄介な相手である。
こんなに走るハメになったのは初めて…ではなかった。昔にやらされたことがあったんだ。
奴らを撒くには複雑に絡み合った建物の隙間を全力で走り回ることぐらいしかない。
もちろん大人の異能持ちからしたら余裕なのかもしれないが、俺はまだ中学生だ。…まだ中学生だ。30キロを瞬間最高速度時速120キロで走って息の切れないような2人だが、ただの中学生だ。
「…しつこかったな」
自分の思考と逃げ回るハメになった原因の奴らに二重の意味でため息をつく。
「これからもこれを続けるハメになるのかなぁ…」
遠い目をする2人。
落ち着いて家に帰宅するのだった。
そこから少し経ち、夕飯を終えた俺らは俺の自室に集まり、ゲームの発表会を秘密裏に行っていた。
「今回作ったのは弾幕ゲームだ」
「お前が言っていたように配信するんだったら有名な原作とかもあるし、結構競争率が高くなってくるぞ?」
「あと、大まかなゲームの作りしかできてないから声を当ててないし、バグとかの調整もあるからやるとしたら高校生になってからだな」
「1日で粗方を終わらせてしまうお前がおかしい」
パソコンのスペックの限界超えてるだろ…なんて言われたがそんなこと知らない。
「声当てするなら声優さんにでも頼んでみるか?」
「金の心配があるだろ…ってお前の場合は平気なのか」
なんせ月10万を基本貯金に回しているのだ。
金が貯まっていない訳もない。
「けどよ。今度からの合流組と一緒にやっちまうのはどうだ?」
雀とか、真凛たちか。
「確かにいろんな声を出せてたし、男声も余裕そうなんだよな」
「おし、じゃあそこの問題は解消だな!」
「そんなら声優に手を回さなくても…いや、少人数は依頼しよう」
「は?なんでだよ。いらなくなったじゃんか」
「…芸能業界に繋がりを作っておくのもゲーム制作者の観点からしたら大事だぞ」
「はっ!なるほど…」
あとは、この作品の次回作のアイデアを3作品程出して今回の発表会は終了したのだった。
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