姫卯木

背中で交わされる指切りを盗み見る

きりきりと糸切り歯で赤をかみきって

苦い汁を吐き出しても広がる鉄の味


密かな甘い香りが風に乗り広まる頃

裏通りに噂がたちのぼる

囁かれる言葉はそれぞれに飲み込まれ

唇の前に人差し指を立てた


ここだけの話はここだけで終わらないのに

匂い立つ濃密さよ

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