みちあんない
少々は恐らく最短距離であろう線路を離れ、ビル街よりも被害が酷そうな住宅街へ突入した。途中何度も引き留めようと思ったけど、あまりに自信満々な様子だからとりあえず線路の方角だけ覚えておいて行くだけ行ってみることにした。
そのまま線路の向きとほぼ直角にしばらく進むと、割と広めの道路と交差した。道路脇の家屋が倒壊して道を半分埋めてはいたけど、もう半分は歩くのに邪魔になるような大きい瓦礫はなかった。少女はそこをずんずん進んでいく。そして、とうとうその道が線路と交差する陸橋が見えてきた。だいぶ迂回はしたけど、あのまま瓦礫をかき分けて線路上を進むよりは早かったんじゃないだろうか。
――それにしても、なぜ少女はこの道がスムーズに通れることを知っているんだ? 偶然にしてはあまりに出来すぎている。何度も確認するように、さっきの今で災害後の状況を詳しく知る術はあるわけがない。僕は内心、この少女が少女の姿をした妖怪か何かなんじゃないかと思い始めていた。
陸橋の側道からまた線路に沿って歩く。左側にはマンションだろうか、巨大な建物が並んでいる。もちろんこれもボロボロになっていて、今にも崩れ落ちてきそうだ。そんなボロボロの高層マンションを何棟か通過すると、すぐに目的地である駅らしき建物が見えてきた。もちろん駅ビルも例外なくボロボロになっていて、十階くらいある建物の外壁はほとんどなくなっているし、地上の壁にはバスやタクシーが突き刺さり、階段のところはガラスだらけになっていた。
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