第5話 宿代と仕事
「まず、お前さんはいくら金を持ってる?」
ポケットを裏返したりしてみる。
…無いな…まぁ、あの酒は確か…無賃か、そもそも売れないから価値がないと言っていたな。
「持ってない。」
「持ってないだと?」
「ああ、俺のポケットにはハンカチぐらいしか無い。あとは鞄にイワナゲイグアナの革と肝臓がある。」
「ああ、それなら革は鍛冶屋に、肝臓があるなら病院に売りに行け。まっとうな値段で買い取ってくれるはずだ。路銀程度にはなると思うぜ。」
「あと仕事はどうすればいい?」
「仕事は掲示板の紙を剥がして、その紙に書かれている任務を完了させてその掲示板の紙を依頼主に渡せばいい。基本なにかしら納品する必要があるから気をつけて読んでおいたほうがいい。」
「わかった、ありがとうマスター。」
「おまえのおかげでうちの景気は良くなるよ、こちらこそありがとう。」
お互いに握手する。
この村はいい村だなと、再度心から思った。
酒場から出てて、標識に従い、病院に行く。
病院はわりと酒場に近かった、二日酔いの人間がよく行くからだろうか。
中に入る、受付らしきところに人が立っているため、その人に近寄り、尋ねる。
「やぁ、イグアナの肝臓の買取をしてもらいたいんだが…」
「わかりました、少々お待ち下さい。」
テンプレートに沿って応対してきた看護師のような服装をした女性が書類に文字を書き込む。
タイプライターのような機械のボタンを百回ほど押したあと、その女性は箱から金貨を18枚取り出し、それと一緒にその書類の4分の1ほどを切り取って、渡してくれた。
「こちら領収書になります。ありがとうございました。」
どうやら領収書だったらしい。
法律や規則のようなものがあるのだろうか。
「ありがとう、また来よう。」
病院から出て、広場へと向かった、その広場には椅子があるのでそこに座り、一息つく。
鞄にあったエナジードリンクを飲み、気力を補う。
金貨18枚か。
これでちょうど1万8千。
弾代を除いても1万7千か。
猟師の仕事とはいえ、すこし高い気がする。
ふつうに大型の動物を狩っても、実益は2千ほどあれば良いのだが、機材もあまり使わないし、運ぶ荷物も軽い。
楽な仕事だな…
さて、掲示板を見に行くか。
と言っても、立って数歩歩けばたどり着く距離にある。
それは広場のど真ん中の一本の柱の周りにいくつかある。
今は午後で、かなり掲示板はスッキリしている。
そんなに頼むことはないのだろうか。
掲示板の内容を見渡す。
薪割り、接客、掃除…
お手伝い程度の依頼か。
あとは…害獣駆除、猪か。
謝礼金は金貨38枚。
掲示板からその紙を取る。
さて、仕事するか。
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