追放その後②(リアナ視点)


 魔王軍のなんとかって奴の悪足掻きでロドリーが怪我をして倒れたのを見た時にアタシの中をどす黒い感情が支配した、それから気づいたらそれまで戦ってた敵が地面にあいたクレーターのなかでシミになってたわ。


 あれ多分ミリーの魔法よね?まったくおっかないわ…手加減てものを知らないのかしら、アタシもうっすらと何かを細切れにしたような気もするけど無関係よね?


 アタシ達はロドリーを治療院に預けてから宿屋に集まってた、空気が重くて皆して暗い顔して陰気臭いったらないわ…。


 ロドリーについての話し合いじゃなければすぐにでも治療院の方でアイツの寝顔を眺めに行ってるわね。


「で、どうすんだ?」


「どう…と…言われても……。」


 空気に堪えれなくなったのかアランが話始めてそれにミリーが暗い顔のまま反応した、ミリーの顔が暗いのはわりと何時ものことだけど今は普段にもまして暗い。


「やはりロドリーにはこのパーティーを抜けてもらうしか……そして村に帰って私の帰りを待っていてほしいです…。」


「私達、でしょ?」


 今回のことで責任を感じてるのかフローネもさっきまで俯いていたはずなんだけど、今の発言だけ聞くと全く反省してるように見えないわ…。


「ま、確かにこのパーティーを抜けたら村に帰ってもらうのが最良だな。一番最悪なのはあいつが俺達以外のパーティーに参加することだ。その状態であいつが大怪我したりするようなことがあれば………。」


 多分そんなことになったらその参加してるパーティーを消しかねない。

 それでもアタシ達はこれから先もっと危険な依頼を任されるだろうからロドリーと一緒には居られない、このままでは間違いなくロドリーは死んでしまうだろう。


「こうなったら切り替えていくしかないわね、とっとと魔王を倒して村に帰れば良いんだもの。」


「そうだな、ロドリーにはちゃんと村に帰るように説得しねーとな…。」


「…うん…。」


「そうですね。」


 もし魔王を倒せたら地位も名誉も思いのままだろう、今だって王国騎士団の次期団長や魔導図書館の館長、魔法学院の校長にフローネには教会の大聖女などへの立場も用意されているし。かなりの数の婚約の打診もうけているがアタシは全く興味がない、アタシ以外の三人もそうだろう。

 魔王を倒したらアタシ達の生まれ育った村に帰ろう。そうしていつかロドリーと……


「ところで、誰がこのことをロドリーに伝えるの?」


「「「「……。」」」」



 結局この時は『誰が』『いつ』『どうやって』という具体的なことは何も決まらなかった。


 そしてこの話し合いの後から皆して気まずさからロドリーと距離をとってしまい、一月程後にアイツを「追放」してしまうことに。


 結果から言えばロドリーを村に帰すことに成功したが何でよりによってあんな言い方をしてしまったのだろう……。

 アタシは頭を抱えるしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る