故郷へ帰る途中(ロドリー視点)


「はぁ・・・」


『アルストロメリア』を追い出された俺は故郷であるクル村へと帰るために乗り合い馬車の出る広場へと向かっていた。

 俺達が生まれ育ったクル村は近くに街道が通ってるため人の出入りはそこそこにあるが、特産品も何もない人口100人程の小さな村である。一応宿屋と小さな教会がある位の。

 いつも俺、アラン、ミリー、フローネ、リアナの5人で遅くまで遊んではアランの親父さんに怒られてたっけ。

 あの村を旅立った時は5人で未来への希望に溢れていたけど・・・


「一人で帰るとなると寂しいな・・・やっぱり」


 パーティーを追い出されたことはショックだったけど皆が俺を心配してくれてたことは事実だし、あんまりくよくよしててもしょうがないのは解っているのだが・・・。

 自分では戦闘の役には立たないから荷物持ちや雑用を進んでこなしたけど、皆は俺に雑用をやらせるのを凄く気にしてたしなぁ、アラン達からすれば俺に面倒事を押し付けてたように感じたのだろう。

 俺の戦闘能力なんてノーマルのオークとどっこい位である、ちなみに普通のオークなら戦闘職の冒険者なら大体一年もすれば一対一で倒せるようになるしアランは二ヶ月で倒していた。



 俺の戦闘能力はアランの二ヶ月目にも劣る

 のか・・・悲しい。


 なんてことを考えてると気づいたら目的の広場についた。馬車が出発するまでまだ暫く時間がかかるみたいで広場には商人や駆け出しっぽい冒険者に普通の親子連れなどがいた。

 受け付けの人にお金を払い、まだ時間があるため食事でもとろうかとな考えてると、ふとアラン達は食事はどうするのだろう?

 と考えていた。


 そういえば幼馴染み達の中で料理ができるのって俺以外だとアランしかいないな・・・アランはワイルドな見た目にキツイ口調のせいで勘違いされがちだが家事全般が得意である、特に料理は絶品なのだが・・・。


 他のメンバー?・・・リアナは取り敢えずなんでも火を通せば食べれると思ってるし、ミリーは自分で料理するぐらいならハナから食べないと言い張るし、フローネは普通に料理を始めたはずなのに元の食材が何か想像もできない物体を生成する。

 三人の中ではリアナが一番マシだな・・・え?あれで?


 と、自分の食事のことを考えてたはずなのにいつの間にか幼馴染み達の食事の心配をしていたら馬車が出発する時間になっていた。


 馬車に乗り込む前に一度だけ今まで拠点にしてきた街を振り返ったのだった。







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