第4話 進撃の恐怖



――その日、人 類 は 思い出した――




奴らに コミュ症扱いされとった 恐怖を

虫かごの中に 捕らわれとった 屈辱を




そう、クラス替え初の席替えで、まさか・・・

こんな窮地に 追い込まれるとは・・・


オレの身長は高い方ではない。やや 平均寄り だ


つまりだ。オレの席の前に、ゴボウ の 巨〇

          後に、 肉  の 巨〇


圧が、前後の圧が凄い。オレが、ニュータ〇プなら この圧(プレッシャー)には、

間違いなく 耐えられないだろう・・・


そんな事を 午前中 の授業で考えながら、これをどうやって

あの2人に面白おかしく話すかと思案していたら、

あっという間に 給食まで 済ませていた



「おい、ムッカサ。エルミソ。聞いてくれ」

「だれよそれ?」

「最近 始まった、マンガか何かか?」


20分という やや長めの昼休み時間に入り、いつもの2人と廊下で話していた時、

授業中に考えていた、これなら 談笑ネタになるだろう という話題を切り出した


「あれ、2人とも知らないのか?

 面白い漫画だから、オレは てっきり読んだモノと思っていたんだがな…」

「なに、その どや顔 」

「ふ、ふん」

「あぁ、たしか チン撃の何とか ってヤツか」

「なに? その きっしょいタイトル は」

「いや、ちがっ・・・おいッ! となりの奴が変な目で見てくるだろ、止めろよ」


 オレは、大慌てでそのタイトルを否定するも、時すでに遅し...

傍にいた女子が、その隣の集団に走っていき、その話をし始めると、



すると どうだろうか? 皆、一斉に こちらを見てくるでは ないか・・・



「いや、違うんだ!聞いてくれ!」


オレは、慌てて誤解を解こうと、その女子の集団へ歩み寄ろうとした、んだが...



「いつか、あの壁の向こうへ!」と 悠真ゆうまが おおきな声で 叫んだ


「や めいぃッ。よけい変な奴に思われるだろ!」


と振り返り、ツッコミを入れた。よし、今一度 誤解を解きに行こう と

近寄ろうとした、んだが...



「きゃあぁあああ」



あおい が 急に悲鳴を 上げる。振り返る、オレ。指をさす、悠真




「きゃあぁああああ」と 釣られて 女子たちが叫び、散りぢりに 逃げ出した・・・




「おい。どういうつもりだ、あおい


 批難まじりの目で、葵に問う


「それで、結局 何が言いたかったのよ?」

 髪をいじりながら、目をそらす 葵に 悠真が答える


「たぶんアレだろ。前後の席が クラスで1番目と2番目に背の高いヤツだったから

 圧迫感が凄い と 言いたかったんだろう」


「あぁ。そういうことなの。つまらな

 それよりさ、例の「禁止事項」で、面白いの見つけたんだけど」


「なに なに?」


と、オレに「変態」という【レッテル】を 張り付けた2人が、

オレを置いて、楽しそうに話し始めたっ...て、


「おい、ちょっと待てよ!スルーかよ!今の、謝れよなッ!

 2人とも 絶 対 わざと だろうが!」


と、葵と悠真を交互に指差し、批難するも チラリ とも見てくれない

お、、、お~い、やめてくれぇ~


「ったく。なに話してんだよ」

「これよ、これ」


そういって、葵は 3月 に配られた 例のプリント のある部分を指差した

「禁止事項」で、もっとも 厄介な事項 は、


・「禁止事項」の事を 誰にも 相談してはいけない


 ただし、相談した という認識がなければ、セーフのようだ

だから、最近は「禁止事項」の 面白い とか 変わっている事項を見つけては、

「ありえないよね」とか「マジ、うけるんですけど」など 談笑ネタにされている


 新学期に入って 3ヶ月が、経とうとしていた――


何事も無かった…事もなかったが、どうしても 気が緩む 時期は来る


そして、葵が指で示した文には、こう書かれてあった



 

・早弁を しては いけない




 たしかに、可笑しい。この学校は 給食制 だ



 前に先生が、「禁止事項」には、冗談や遊びで 生徒たちに

書き足されたモノもあると、言っていたような?


 おそらくは、そういった類なのだろう

それに、その下に書かれているの「禁止事項」も――



・授業中に 菓子 を食べてはいけない



 おい。中学生にもなって そんな事をするヤツ なんていないだろう


「その下のヤツも、あり得ねぇだろ」と指を差して、3人で笑いあった


 予鈴のチャイムが鳴り、5限目の移動教室も終わり、週に一度だけの

6限目の授業が始まった。定年間近の先生による 数学の授業 だ。


 この授業は どうしても、眠くなってしまう...

事前に予習さえしておけば、問題をあてられても難なく答えられるからだ


 うとうと と睡魔と格闘していると後ろから



     ぱりっ



ぱりっ      ぱりっ



という音と、磯の香ばしい・・・って、なんなんですかぁ?!


気になったオレは、ゆっくりと教科書を立て、チラっ と 後ろを振り返る


あ、あれだ。何という事はない


後ろの席の子が、「おにぎり」を 美味しく お召し上がりになって

おられるだけだ・・・

なるほど。普段のぽっちゃり体型は、こうやって御作りになっていらっしゃるので


「いや。おい、何やってんだよ?」


 気になって、小声で、後ろの席の子に 問いかける


 その時に、おにぎりの具材が目に入ったが、

 それが 何 なのかは、よく分からなかった


「ぼ、ぼく、帰りは 徒歩なんだな

 だから、カロリーを補給しとかなきゃ、持たないんだな」


「バカ。だったら、もう少し音をなんとかしろ。先生に見つかるぞ」

「だ、大丈夫なんだな。

 いつもは、放課後に食べてるけど、この先生なら 大丈夫 なんだ」


(まぁ、確かに。耳も遠そうだしな。それに「禁止事項」にも関係ないか)


 少し耳障りな音で、完全に冴えてしまったオレは、

おにぎりの 具材 が何だったのか? ちょっと気になりつつも、

次の 数学の授業 の予習に取り掛かる事にした

 (さて、週末は 何をして過ごそうか?)







 月曜のホームルームで、後ろの席の子が、

「引っ越し」をしたと 先生が、告げた


 突然過ぎる事に、クラス中がざわついた――


「古い家なので、床が抜けてしまったそうだ

 改築の為、しばらくの間は 祖父母の家 で暮らす事が、急に決まった」


 そう言って、先生はクラスメートを安心させようとする


 でも、オレは聞いてしまった……


 知ってしまった…………



この日の朝、職員室に用事が あって、

偶然、立ち聞いて しまった


先生たちの朝礼を

あの事を...

そう、


後ろの席の子が、普段から使っている2階の部屋の 床が抜け、

下の部屋で食事中だった両親ともども、亡くなった事を

その家が、、、

まだ、、、



築10年と経っていない事を








――その日、オ レは 思い出した――








ここが、「呪われた教室」であることを


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