仲直り編

第61話

リンリンリン

スマホの目覚ましが鳴った

「朝か。もう起きないとな」

俺はベッドから体を起こした

『なんか目覚めが悪い。あいつのせいだ……』

あいつとは天王寺のことだ

天王寺がもしそれを聞いたら、「なんでわたしのせいなの!?柊のせいじゃないの!?」とか言うだろうが……

「だが、目覚めが悪いのはやっぱお前のせいだ。天王寺」

あんな不機嫌な顔でいやがったからだ

あれから帰ってから寝るまで、あいつのあの不機嫌な顔が頭から離れない…

なんでだ?

まぁ、あいつをあんなに不機嫌にしたのは俺だが…

『あいつ、また誘うとか言ってたな…』

あの時のあいつの言葉には確かに怖いものを感じた

だが、それ以上に……

ブルブル

「考えすぎてるな、俺……」

俺は頭を振って、そう呟いた

全く。天王寺の奴、少しは機嫌直したか?

いや、あいつの性格を考えると、そう簡単に機嫌が直るとは思えない

短い期間だが、あいつの性格はだいたい把握した

『松永さんによろしく頼むとは言ったが…』

俺はその後の松永さんの言葉を思い出した

『でも最後は木崎さんがなんとかしてください。その方が良いと思います』

「なんとかしろったってな……」

あの時はそうだなとは言ったが

『どうすればいいのやら…』

そんなことを思っていると

ピロロン

なんかLINEのメッセージが来た

「なんだ?こんな朝っぱらから……」

そんなことを呟いて、LINEを開くと

『おはようございます🖤達也さん🖤起きてますか?』

柊からだっだ

『既読になったということは起きているということですね🖤あらためておはようございます🖤』

『本当ならお目覚めのキスをしたいところなんですが、スマホ越しではできないし。なんてもどかしいのかしら🖤せっかくあんな情熱的なキスを交わした夢を見たのに…。ああ🖤もう🖤思い出しただけで体が熱くなっちゃう🖤相変わらず、その先は見れないまま🖤ああ🖤私たち、あの後どうなったのかしら?🖤』

朝からテンション高いな。おい

情熱的なキスってなんだよ?

俺、夢の中でお前に何してんだ?

全然想像がつかねぇ……

『でもそれが現実になってくれたら、どんなにいいか🖤そうなったら、目覚めのキスだけじゃなく、お出かけのキスもできるのに🖤でも夢中になりすぎたらどうしよう?🖤もしかしたら、いえ、もしかしなくても私たち、朝からまた🖤いやん🖤達也さんのエッチ🖤でも私は全然平気です🖤むしろ大歓迎です🖤』

やっぱキャラ崩壊してるな…

なんか申し訳なくなってきた……

『その代わり、私の朝の撮りたての写真送ります🖤ちょっと大胆な写真になって恥ずかしいですが、いずれはもっと恥ずかしいことするんですもの🖤平気にならないと駄目ですね🖤私の写真でいっぱいエッチな想像してください🖤返信は結構です🖤あなたがつれない人なのはわかってますから🖤ではまた晩に🖤』

そして写真が送られてきた

その写真にはパジャマ姿の柊が写っていた

明らかに胸の谷間を強調してる

しかも

『ブラジャー着けてないだろ!?ノーブラじゃねぇか、おい!』

朝からこんな写真送ってきやがって

ここまでキャラ崩壊するもんなのか?

なんか返信しようにも、メッセージが思い浮かばない

『天王寺だったら、なんか浮かんだかもしれないが……』

いや、何考えてんだ俺!!

『顔洗って来よう……』

そうして俺はベッドから出て、顔を洗いに行った







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