第52話

自分が買うガンプラを選び終えた俺たちは、それぞれのガンプラを見せ合うことになった

「私はこれにしました!じゃん♪」

そう言うと、松永さんは自分の選んだガンプラを見せた

「騎士ガンダムか」

「はい!私の大好きなぬいぐるみ達を守ってくれそうな感じがしたので」

俺の言葉に、松永さんはそう答えた

確かに騎士だしな

そういう感じで選んだんなら、間違ってないな

「あたしはこれにしました。咲耶が見せてくれた、木崎さんのLINEのプロフィール画像がこれだったので」

そう言って、相澤さんが見せたのはガンダムバルバトス

「バルバトスか」

「へぇ、そういう名前なんですね」

俺の言葉に、相澤さんはそう言った

「でもこれ、鈍器持ってるよ?強そうだけど、なんか怖い。こういうのだったんだ」

天王寺が、パッケージを見てそう言った

「だけどなんか勇ましい感じがするでしょ?『俺が守る』って感じがしていいじゃない」

相澤さんがそう言った

その通りだ、相澤さん!

よく言った!!

ドカッ

「なに得意気に笑ってんのよ!あんたには聞いてないでしょっ!!」

天王寺はそう言って、俺の足を蹴った

「なんか拗ねた顔してないか?お前」

「べ、別に拗ねてなんかないわよ!!わたしのはこれよ!」

天王寺が見せたガンプラは、ガンダムエクシア

『おい、待て。それって…』

「どうしたのよ?なんかおかしい?二人にはなにも言わなくて、わたしには文句あんの?」

少し困惑した俺を見て、天王寺が聞いてきた

「いや、文句とかじゃなくてな…」

俺はそう言うと、自分が選んだガンプラを見せた

「これって…」

「咲耶が選んだのとおんなじだぁ」

それを見て、相澤さんと松永さんがそう言った

そう

俺が選んだのもガンダムエクシア

もっとも、俺が選んだのはRGのヤツで、天王寺が選んだのはHGのヤツだが…

「ちょっと!なんで同じの選んでんの!?」

なんでって言われてもな…

「変えなさいよ!今すぐ!!なんか恥ずかしいから!」

「断る」

きっぱり、そう言った

「なんで俺が変えなきゃいけないんだよ。お前が変えればいいだろ」

俺がそう言うと

「…えない」

「ん?」

「変えない!!絶対これにする!!」

「そうか」

俺は笑った顔で、そう言った天王寺の頭をポンと叩いた

「くっー!!この一生独身中年男--!!」

今関係ないだろ、それ

「じゃあ、決まったことだし、レジに行きましょうか」

相澤さんが、そう言ってきた

「そうだな。天王寺はともかく、相澤さんと松永さんはニッパーとか持ってないだろ?それも買おう。あと、スミ入れペンも買っとくか」

「スミ入れ…ペン?なにそれ?墨使うの?」

天王寺が、そう聞いてきた

お前の想像してるのとは違うぞ。きっと

「それはあとで説明してやる。とりあえず、それも含めてレジに向かうぞ」

「ハーイ♪」

松永さんのその言葉を合図に、ニッパーとシール貼り用のピンセット、あとスミ入れペンを足して、俺たちはそれぞれのガンプラを持って、レジに向かった



「木崎さん。どうせならグルチャしませんか?それならお互いの完成させたガンプラ見せられるじゃないですか」

「ああ、それいいわね。そうしましょ」

松永さんの意見に、相澤さんがそう言った

グルチャ?

ああ、グループチャットってヤツか

「いいのか?そういうことしても?」

「はい。全然大丈夫です」

俺がそう聞くと、相澤さんがそう答えた

「咲耶も別にいいよねぇ~♪」

松永さんが天王寺の頭をナデナデしながら、そう言っていた

「べ、別にいいわよ。だからそういうの止めて。恥ずかしいから」

「じゃあ、そういうことで決定♪」

なんかよく掴めないところはあるが、とりあえず俺たち四人のグループチャットを作成した

「まぁこれで親睦会っていうのは終わりかな」

「なに言ってるんですか?ここから木崎さんへのお礼が始まるんですよ」

俺のその言葉に、松永さんがそう言ってきた

「そうですよ。そうよね咲耶。ちゃんと作ってきたわよね?」

相澤さんが、天王寺にそう聞いてきた

「ちゃ…ちゃんと作ってきたわよ。とりあえず…」

天王寺は、なんかもぞもぞした口調で答えた

「作ってきた?なにを?」

「「お弁当です」」

「ハァッ!?」

松永さんと相澤さんの言葉に、俺は思わず声をあげた









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る