第51話

俺たちは、CD売り場からおもちゃ売り場に移動した

そして今、俺たちがいるのはプラモデルコーナー

ガンプラが並んである場所だ

「へぇ~。結構いっぱいありますね。大きいのから小さいのまで」

「ああ、このHGっていうの、弟がよく買ってきてるヤツだ。このMGっていうのも、たまに買ってきてるの見たな」

「色々あるけど、やっぱどこがどう違うかわかんないな。パッと見で見ると、みんな同じように見えちゃうし」

三人が三者三様の言葉を言った

「ああ、このSDっていうの、咲耶が見せてくれたヤツよね?」

松永さんが、天王寺にそう聞いてきた

「ああ、うん。前にも言ったけど、それとは別なの買うって言ったんだけどね。確か…」

そう言うと天王寺は、一つの箱を取って松永さんに見せた

「これなんだけど」

「え~と。RG?木崎さん、これって難しいんですか?」

天王寺から、RGのガンプラを見せられた松永さんは、俺にそう聞いてきた

「まぁな。他のガンプラよりバーツが細かいからな。箱の横にある写真見てみな」

そう言うと松永さんは、箱の横にある写真を見た

「咲耶。別なのにしてもらって良かったね…」

「なんで良かったのよ?愛花、あいつの肩持つ気?」

松永さんの言葉に、天王寺はそう言った

「これ、ちゃんと見て選んだ?見てみなさいよ。バーツすごい細かいよ?それにこのシール。小さいヤツがいっぱいみたいだし」

松永さんに言われて、天王寺は箱の横の写真を見た

どうやら見ずに選んだな

「何これ?骨格?これ骨格とかあるの?確かにパーツすごい細かそうだし…。それにこのシール何?なんか小さいのばっかりみたいなんだけど…」

その様子を見て、相澤さんが覗き込んできた

「確かに…。これは根気が入りそうだわ。咲耶にはまだ早いんじゃないかな?途中で投げ出しそうだわ」

「だろ?一回きりって言ってたしな。そういう意味でも止めとけって言ったんだ。時間かければ作れないこともないが、こいつ根気なさそうだったし」

相澤さんの言葉に、俺はそう答えた

ドカッ

天王寺が足を蹴ってきた

「うるっさいわね!前にも言ったけど、なんであんたにわかんのよ!!」

「俺も前に言ったろ?そういうところが根気なさそうに見えるんだよ」

「!!」

あの時と同様、ぐうの音が出ない顔になった

「確かにね。途中で『やってらんない!!』って言って投げ出しそう」

松永さんがそう言ってきた

「なによ!二人とも、こいつの意見に同意ってわけ!?」

「「うん」」

天王寺の言葉に、二人が同時に頷いた

「くっーーー!!!」

「ハイハイ。怒らない怒らない♪」

そう言って、松永さんはまた天王寺の頭をナデナデした

「くっー!!見てなさいよ!今に絶対それ作れるようになってやるんだから!!」

天王寺が俺にそう言ってきた

「あれ一回きりじゃなかったのか?それに俺は…」

「あんたに感化されたわけじゃないから!わたしの意思だから!!だから変なこと気にしないで!いいわね!?」

天王寺はピシャリと、俺に言ってきた

自分の意思…か

俺は何故か不意に笑っていた

「なに笑ってんのよ!!なんかおかしなこと言った?」

「いや、そういうんじゃない。気にするな」

そう言うと俺は、天王寺の頭をポンと叩いた

「むぅー!あんたに子供扱いされるとムカつく-!!」

天王寺が少し顔を赤くして言った

「まぁ、落ち着いて咲耶。あたしたちもなんか買おっか。一回きりっていうのは寂しいから、なんか続けていけそうなヤツ買お♪」

相澤さんが、天王寺にそう言った

「そうだね♪私はこのSDってヤツから選ぼうかな?」

松永さんはそう言うと、SDを見ながらガンプラ選びを始めた

「じゃあ、あたしはHGってヤツから選ぼうかな?え~と…」

相澤さんはHGから、ガンプラ選びを始めたようだ

「わたしも卑弥呼と同じで、HGってヤツから選ぶわ。どれにしようかな~」

天王寺もそう言って、ガンプラ選びを始めた

『なんだかんだで、俺の好きなもので楽しんでもらえるのは嬉しいもんだな』

そう思いながら、俺もガンプラ選びを始めることにした







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