第48話

「わぁー。このぬいぐるみ可愛い🖤」

ここはショッピングモールのぬいぐるみ市場

松永さんは、その中にある犬のぬいぐるみを見てそう言った

「このもふもふ感も気持ちいい♪肌触り最高🖤」

松永さんが、そのぬいぐるみを抱きしめてそう言った

「でも、この熊さんもいいなぁ♪やっぱぬいぐるみっていいなぁ♪癒されちゃうよ🖤」

すげぇ喜んでる

立ち直ったとは聞いたが、この喜びようはそういうのとは関係なさそうだ

「へぇ~。愛花って、ぬいぐるみ好きなんだ」

天王寺が、松永さんの喜びようを見てそう言った

「そうだよ♪私ってさ、昔からぬいぐるみ好きでさ、色々集めてるんだ♪」

「天王寺。お前、今まで知らなかったのか?」

「うん。愛花、なんで今まで黙ってたのよ?」

天王寺は俺の問いかけに答えると、松永さんにそう聞いた

「うん。なんかさ、子供っぽいって言われそうだったから。もう高校生なのに、とかさ」

松永さんは、そう答えた

「そんなこと言わないって。友達をもっと信用しろ。この♪」

天王寺はそう言うと、松永さんにヘッドロックをかました

「だってさぁ、なんかそういうの話しづらかったんだよ、今まで。苦しいよぉ、咲耶ぁ」

「今まで黙ってたお仕置きよ。このこの♪」

天王寺は、さらに松永さんにヘッドロックをかました

「私が苦しいって言ってるのは、そういうんじゃなくてぇ。咲耶の胸押しつけられて苦しいって言ってるのぉ。木崎さん、羨ましそうに見てるよ♪」

ハッ?

俺、そんな風に見てないし

なんでそんなのを、俺に振るんだ?

「なぁに、邪な目で友達同士のスキンシップ見てんのよ!このドスケベ中年男!!」

松永さんから離れると、天王寺は俺に近づいてきて

ドカッ

俺の足を蹴っ飛ばした

「前に電話で言ったでしょ!?わたしのFカッブの胸は絶対触らせないって!羨ましがったって、絶対あんたにはああいうのしないから!!」

「そんなの期待してねぇよ。安心しろ」

ホントは少し期待してるところはあるが

ドカッ

また足を蹴っ飛ばした

「なんでまた、足を蹴る?」

「うるさい!わたしの勝手でしょ!!」

わけわかんねぇ

まぁいいけどな

「フフッ♪ホントは咲耶、『ちょっとは触らせてあげてもいいかなぁ?』とか思っちゃってたりして♪」

天王寺の様子を見て、松永さんがそう言った

「バ、バカなこと言わないで愛花!!そんなわけないでしょ!?」

そうだぞ松永さん

そんなわけないって

「そうムキにならないの♪よしよし🖤」

松永さんが、天王寺の頭を軽くナデナデした

「天王寺。お前いつもこんなことされてんのか?」

天王寺にそう聞くと

「そんなわけないでしょ!最近よ最近。愛花!こんなところでそういうのやめて!」

「ハイハイ。照れない照れない♪」

「完全に子供扱いだな。お前」

天王寺と松永さんの姿を見て、俺は笑ってそう言った

「笑うなぁー!!くっー!!!」

天王寺はムキになってそう言った

やっぱおもしれぇ。こいつ

「そういえば、卑弥呼はどうしたの?やけに静かだけど?」

「そういえばそうね。どうしたんだろ?」

確かに

さっきから相澤さんがなにも言ってこない

どうしたんだ?

俺たちがそう思って、相澤さんを見ると

「可愛い……」

相澤さんは、ずっと猫のぬいぐるみを見て、そう呟いていた

「卑弥呼?」

「ハッ!な、なに?」

天王寺の声に、相澤さんは驚いて顔で反応した

当たり前か

「卑弥呼、それ買ってく?私も一個買うし。どうする?」

松永さんの問いかけに相澤さんは

「う、うん」

恥ずかしそうに頷いた

「「卑弥呼って可愛いの好きだったんねぇ~♪」」

「う、うるさいわね!」

二人の言葉に相澤さんが、そう答えた

「ハイハイ。じゃ、一緒に買いにいこ。卑弥呼♪」

「わ、わかった…」

松永さんに連れられて、相澤さんはレジに向かった

「なんか愛花のおかげで、卑弥呼の意外な一面見られたな」

「まぁな。相手の趣味とかで、別の人間の意外な一面とかが見られる時ってあるからな」

天王寺の言葉に、俺はそう答えた

「……あんたのおかげかもね……」

「なんか言ったか?」

「な、なんでもない!」

天王寺が、ぼそりとなにか言ったので、そう聞くと、天王寺は少し顔を赤くして、そう言った

まぁいいか



しばらくして、松永さんと相澤さんがレジから戻ってきた

「じゃあ次は卑弥呼の番だね♪」

「うん」

松永さんの言葉に、相澤さんはそう答えた






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