第47話

「親睦会ねぇ…」

休日

俺は天王寺からのメッセージにあった、待ち合わせ場所に来ていた



先日、俺との電話のやり取りを友達二人に話してるうちに、俺への礼を兼ねた、親睦会をすることになったそうだ

意味がわからないとメッセージを送ったら

『いいから受けなさい!人の善意はちゃんと受けろって言ったでしょ?!』

というメッセージが返ってきた

さらに

『それから場所は事前に把握しておくこと!でないとあんた、絶対道に迷うでしょうから!!』

『とにかく!拒否は許さないから!!いいわね?!』

前の時もそうだが、念押しが脅しみたいな感じを受ける

『こいつだけならいいが、断ると、こいつの友達二人に悪いしな』

そう思って、俺は『わかった』と返信した



そして当日、つまり今日ここにいるってわけだ

ちなみに天王寺に言われた通り、場所は事前に把握しておいた

そのおかげで、なんとか迷わずに済んだし、家にもちゃんと帰れそうだ

「お待たせ」

そうこうしてるうちに、天王寺が来た

両隣には、あの時の二人が一緒にいた

「え~と、天王寺の会話で大体わかってるけど、とりあえず二人の名前教えてもらえるかな?」

俺がそう聞くと

「私の名前は松永愛花と言います。あの時はどうもありがとうございました」

ポニーテールの女の子はそう言うと、ペコリとお辞儀した

「あたしは相澤卑弥呼って言います。この間はどうもありがとうございました」

そう言うと、ボーイッシュの女の子は、軽く会釈した

「松永さんと相澤さんね。わかった。俺も改めて名乗っとく。俺は木崎達也。今日はよろしく」

俺が松永さんと相澤さんにそう言うと、天王寺が近づいてきて

ドカッ

俺の足を蹴っ飛ばした

「なんで蹴る?別に変なこと言ってないだろ?」

「別に。なんか蹴っ飛ばしたくなっただけよ」

なんだそりゃ

でもなんか不機嫌そうだな…

「わかってるだろうけど、わたしと同じで二人のことも名前で呼ばないでよ。いいわね」

「言われなくても、わかってるって」

「ホントでしょうね?」

天王寺がジト目で、俺を見ながら、う言った

「お前、カラオケ店の時と全然態度違うな」

「ええ。二人にあんたが親戚じゃないってバレたし。そういうお芝居する必要もないしね。まぁあんたがおじさんってことには変わりないけど。そうでしょ?中年男さん♪」

全くこいつは…

「お~い。私たちのこと忘れてない?」

松永さんが、俺と天王寺を見てそう言った

「あんなこと言われてっぞ。お前のせいで」

「なんでわたしのせいなのよ!」

「お前が突っかかってくるからだろ」

「くっ!」

「どっちもどっちですよ~」

松永さんが、さらにそう言ってきた

確かに…

「まぁ二人とも。夫婦漫才はそこまでにしましょう」

「「ハァッ?!」」

相澤さんの言葉に、俺と天王寺は、同時にそう叫んだ

「待ちなさいよ卑弥呼!夫婦漫才?!何言ってんのよ!冗談はやめて!!どこをどう見たら夫婦漫才なんかになるのよ!!」

天王寺がそう言って、相澤さんに詰め寄っていった

それに関しては同意だ

親子喧嘩って言うところだろ、そこ

「卑弥呼!愛花!油断しないで!!こいつは人の胸をじろじろ見てくる、最低の巨乳派ドスケベ中年男なんだから!!」

ホントひでぇこと言うな、こいつ

「うわぁ。そうなんだ。気をつけないと」

「そうよ!愛花!気をつけ……」

その瞬間、天王寺はビクッとした顔で相澤さんを見た

『おい。なんか殺気出てないか、あの子?』

天王寺もそう思ったのか、ひきつった顔になっている

「ひ、卑弥呼。あの、なんで怒ってるのかなぁ?」

「怒ってなんかないわよ?あの人巨乳派なんだ?じゃああたしは大丈夫そうね。そうよね?そうなんでしょ?そう思ってる?ねぇ咲耶。そう思っちゃってる?」

相澤さんは、顔は笑ってるが、明らかにあれは怒ってるな。この上なく

『地雷踏んだな、天王寺』

俺がそう思っていると

「まぁまぁ。卑弥呼落ち着いて。その話はまた今度にしよ♪」

「そうね。咲耶、この話は今度ゆっくりしましょ。ゆっくりね」

「は、はい」

松永さんが間に入って、とりあえず丸く収まったようだ

まぁ、とりあえず命拾いしたな。天王寺

「それはそれとして、親睦会って何すんだ?」

俺が三人に聞いてみた

俺への礼を兼ねた、親睦会ってことだが、詳しくは聞かされてないからな

「まぁあたしたちの好きなものっていうか、趣味を知っていこうっていうものですね。恥ずかしい話、あたしたち、そういう話題で盛り上がったり、遊んだりしたことなくて」

相澤さんがそう言ってきた

そうなのか?

仲良さそうだから、そういうので盛り上がったり、遊んだりしてると思ったんだけど

「ああ、ちなみにあんたは最後だから。どうせガンプラとかでしょ?」

その通り。

まぁその方が、バランスとか取れていいかもな

「で、最初は誰からだ?」

俺がそう聞くと

「私です」

松永さんが手を上げて、そう答えた





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