第46話 咲耶side②

『親睦会?』

わたしも愛花も、意味がわからないという顔で、卑弥呼を見た

「まぁ、お互いの趣味っていうの?自分たちの好きなことを知ろうってこと。咲耶が木崎さんをデートに誘ったのも、それが理由でしょ?」

チクッ

まただ

「まぁ、そういう理由って言えば、そうだけど…」

デートって言われても、何故かもう気にならない

わたしがもう、あれをデートと認めているからだろうか?

それよりも、二人が『木崎さん』って言うのを聞くと、やっぱりチクッとする

なんでだろう?

「考えてみればさ、あたしたちもそういう話したことないでしょ?これを機に、あたしたちも親睦を深めようと思って」

確かに卑弥呼のいう通りだ

そういう話を、わたしたちはしたことがない

する必要がなかったと言えば、それまでだが

でもなんかそういうの寂しいな…

今はそう思える

でも…

「でもさ、それって木崎さんへのお礼とは関係ないんじゃ…」

わたしがそう言うと

「そんなことないんじゃないかな?こういうきっかけみたいなの作ってくれたのって、木崎さんのおかげってところあると思うよ?」

愛花が、そう答えてきた

チクッ

「確かにそうだけどさ…」

「それにさ、咲耶も私たちのこと、もっと知れる上に、木崎さんのことも、もっと知れるじゃない」

愛花が、さらに言ってきた

チクッ

「別にわたしは…」

「そうだよ。そうなったら、口実とか無くても、また誘えるでしょ?デートに♪」

ボッ!

卑弥呼のその言葉に、わたしは顔が一気に赤くなったのを感じた

「あーっ。咲耶、顔真っ赤♪可愛い🖤」

そう言うと愛花は、つんっと、わたしのおでこを指で叩いた

『やっぱりわたし、顔真っ赤なの?ていうか、完全に子供扱いされちゃってるよ。わたし』

「ということで、木崎さんへのお礼は親睦会ってことで決定ね」

「賛成。意義な~し♪」

「ちょっ、ちょっと待って。わたしの意見は?」

わたしは、二人にそう言ったが

「多数決により、決定しちゃいました♪咲耶の意見は却下します」

そんな。ひどすぎる

「嫌ならいいよ。咲耶は来なくていいから。私と卑弥呼の二人でそうしたいって言ってたって木崎さんに…」

「ダメっ!!!!」

わたしは思わず立ち上がって、そう叫んでいた

またチクッってしたけど、それ以上になんか胸がざわついた

「冗談だよ。なに焦ってるのかなぁ?♪」

「べ、別に焦ってなんて…」

わたしはそう言うと、再び椅子に座り直した

「ほ、ほら。わたしはある程度知ってるけど、二人ともあいつのこと、なにも知らないじゃん。二人に何かあったら心配だし、わたしもちゃんと行くよ。うん」

わたしはそう言ったが、愛花はニヤニヤした顔でわたしを見ている

わたしって、こんなキャラじゃないのに!

「色々予定立てたいところだけど、こういうのって予定立てにくいし。とりあえず、お弁当持参ってことだけは決定ね」

「えっ?なんで?ファミレスとかでいいんじゃ…」

卑弥呼の言葉に、わたしがそう聞くと

「みんなでワイワイ色々話して、盛り上がるんだしさ。そういうのは無しにしないと。それに木崎さん、手料理が食べたいって言ってたんでしょ?」

チクッ

「まぁ、そうだけど…」

愛花の言葉に、わたしはそう答えた

「だったらお弁当持参は必須でしょ?木崎さんへのお礼でもあるんだし。まぁ、あたしと愛花が多めに作ったら、四人分くらいにはなるだろうし」

チクッ

へっ?卑弥呼と愛花が多めに作って、四人分?

卑弥呼のその言葉に、わたしは思わず

「あの、卑弥呼。わたしが頭数に入ってないみたいだけど。お弁当作る頭数にさ。どうして?」

「どうしてって…」

わたしの問いかけに、卑弥呼は、『なにわかりきったこと言ってんの?』って顔でわたしを見た

「だって咲耶、料理できないでしょ?家庭科の実習で一度でも、まともなの作れたことある?」

愛花がそう言ってきた

そうだった!忘れてた!!

「まぁ、咲耶は、お惣菜買って、それでなんとか誤魔化すってことにすれば…」

その卑弥呼の言葉に

「わたしも作る!ちゃんとお弁当作って持って行く!!」

わたしは思わず、そう答えていた

そんなことしてバレたら、あいつになに言われるかわからない

それに木崎さんが、二人が作ったお弁当食べて、美味しいって喜ぶ姿想像すると、なんかムカムカする

「それなら、私が手伝おうか?そうしたら少しは…」

「いい!!わたし一人で作る!!愛花の手は借りない!!」

料理上手の愛花が手伝ってくれれば、なんとかなるかもしれない

でも嫌だ

何故かわからないけど、自分でもムキになってるのがわかる

卑弥呼と愛花が『木崎さん』って言う度にチクッてするのが、さらにそうさせてる気がする

漠然とだけど

「じゃ、一人で頑張ってね♪」

愛花が意地悪っぽく笑って、そう言った

「じゃあ今度の休みに、そうするってことで。咲耶、時間と場所はあたしが負って連絡するから」

「…わかった」

卑弥呼の言葉に、わたしはそう答えた

なんか卑弥呼の顔、『計算通り』って顔してる気がするけど、気のせいよね?

愛花は愛花で、わたしの顔見てニヤニヤしてるし…

料理…か…

自分で言ったくせに、なんか不安になってきた…



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