第42話 咲耶side(中編)

「な…何言ってるの?卑弥呼?そんなわけないじゃない。あの人は親戚のおじさん…」

「嘘ね。顔がひきつってる」

卑弥呼がわたしの顔を見て、ビシッと言った

顔ひきつっちゃってるの!?わたし?

「最初から、なんか怪しいとは思ってたのよ。あんたが親戚のおじさんを頼るなんておかしいでしょ?カラオケルームにあの人が来た時、あんたのこと名前で呼んだけど、なんかあんた呼ばれ慣れてない感じだったよ?」

「そ…そんなことないよ。久しぶりだったからじゃない?」

「そう?なんかドキッとしてた感じだったし、なんか顔赤かったよ?どちらにしろ親戚のおじさんにする顔じゃなかったわね。あれは」

わたしの言葉に、卑弥呼が間髪いれずに言ってきた

顔赤かった?わたし?

普通だったと思うんだけど…

「それに久しぶりだったら、お互い『久しぶり』とか言うでしょ?全然そういう会話がなかったし。なんかとりあえずそういうことにして呼んだって感じだったよ?あっちもそういうことにされて呼ばれたって感じだった」

卑弥呼。あんた一体なんなの!?勘が鋭いってレベルじゃないよ。それ

「極めつけはあれよ。あの人、ルームを出る時、あんたに『頑張ったな』って言ったでしょ?事情をよく知らないからって、あれはおかしいって思ったわ。親戚のおじさんなら『頑張ったな』じゃなくて『成長したな』って言うんじゃない?久しぶりだったらなおさらだと思うんだけど」

顔が真っ青になってる感じがした

卑弥呼はもちろん、愛花も疑いの目でこちらを見ている

「咲耶。あんた顔が真っ青よ。嘘がバレたって感じになってるわ」

ホントに顔が真っ青になってるんだ、わたし…

「咲耶!卑弥呼の言ってること本当なの!?ちゃんと話して!!まさか援交してるの!?」

「してない!!そんなのしてない!!そんなこと全然してない!!わたしも木崎さんもそんなつもり全然ないから!!」

愛花のその言葉に、わたしは思わず反応して、そう言った

「大体そんなの木崎さんに失礼じゃない!あの人、そんなことする人じゃないから!!」

わたしは自分のその言葉に、ハッとした

『わたし、なんであいつのこと弁護するようなこと言ってんの?』

そんなことを思っていると

「咲耶。落ち着いて。ドゥドゥ。とりあえず座ろ?」

愛花のその言葉に、わたしは初めて自分が身を乗り出してることに気がついた

「う…うん」

そう言われて、わたしは椅子に座り直した

「あんたがそういうのしてないのは、今のでわかった。大体あの人がそういうことする人なら、頼まれたって来ないでしょ。それに見ず知らずの人に、あそこまで怒れるわけないだろうし」

卑弥呼はそう言うと

「だけど親戚のおじさんじゃないってことも今ので確信した。ホントのところはどうなの?」

さらにそう言って、わたしを真剣な目で見てきた

「やましいことがないなら、ちゃんと話して!私、もう咲耶とはそういうこと無しにしたいの!!」

愛花もそう言って、真剣な目でわたしを見てきた

「わかった。ちゃんと話す。信じてもらえるかわからないけど、全部話す」

『もう隠せない』

そう思ってわたしは、全部を話すことにした


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