解決編
第41話 咲耶side(前編)
あのカラオケ店の一件から数日
わたしと卑弥呼、そして愛花は、また三人でお昼ごはんを食べるようになっていた
ただ、あの一件からのこの数日間、三人の間に会話はない
お昼ごはんの間も、三人とも喋ることなく、ただ静かに食事していた
周りからはどう見えているのかはわからないけど、わたしはそれでもいいと思って、この数日間、そうやって過ごしている
その沈黙の数日間を破ったのは愛花だった
今日の授業が終わって、帰ろうとした時
「咲耶。卑弥呼。今日の放課後、どっか寄ってこ♪」
この数日、一番静かだった愛花から突然の誘いを受けた
わたしと卑弥呼は一瞬顔を合わせたが、この数日の沈黙を一番望んでいただろう、愛花からの誘いだ
断るはずがない
「うん!」
わたしは二つ返事で、そう答えた
卑弥呼も、それに同意するように、無言の笑顔で頷いた
「二人ともごめんね。この数日、ずっと心配かけてたみたいで。辛かったでしょ?ずっと静かにしてて」
放課後立ち寄ったファストフード
わたしと卑弥呼の向かいの席に座る愛花がそう言った
「大丈夫だよ。全然。愛花に比べたら、どうってことないし」
「そうだよ。一番辛かったのは愛花だったんだから」
わたしと卑弥呼がそう言うと
「私って、立ち直るの遅いね。ズルズル引きずって、今日まで過ごして。でもこのままじゃダメだって思って、二人を誘ったんだ。ありがとね。二人とも」
愛花が笑顔でそう答えた
『いつもの愛花に戻った。嬉しい!』
ギュッ!
そう思ったとたん、わたしは机越しに愛花に抱きついていた
「ちょっ、ちょっと咲耶。ダメだってば、こんなとこで」
「あ、ああ。ごめん。嬉しくてつい」
わたしは愛花から体を離すと、再び席に座った
「もう!いきなり抱きついてきて。しかも顔に胸押しつけてきて。少し窒息するかと思ったよ!自分の方が胸おっきいぞって、自慢してるの?」
「そういうわけじゃないって。ハハッ。でもそれでこそ愛花だね♪フフッ♪三人で一番大きいわたしの胸の感触はどうだった?」
「ブーッ!悔しい!!私だって胸おっきい方なのに-!!」
わたしのその言葉に、愛花が膨れっ面になって答えた
愛花の胸はEカップ
わたしのFカップには及ばない
ちなみに卑弥呼の胸は…
「あんたたち何?胸の大きさの自慢してるの?あたしへの当てつけ?」
卑弥呼がわたしたちを恨めしそうに見ている
卑弥呼の胸はBカップ…
まずい
卑弥呼の前でそういうのは禁止だった
以前、胸の大きさの話してた時、卑弥呼が壁に突き食らわせて、ヒビを入れたのを思い出した
『あれは怖かった。ホント』
「話の流れってヤツでそうなっただけだから。他意はないから」
「そうだよ。落ち着いて卑弥呼。ねっ?」
二人で卑弥呼をなだめていると
「まぁいいわ。今日のところは見逃してあげる。今日のところはね」
「ははっ」
「ま、まぁ、愛花が元気になって良かった良かった。これで万事解決だね♪」
わたしがそう言うと
「まだだよ」
「えっ?」
「愛花のことは解決した。でもね、もう一つのは解決してないのよ。咲耶」
卑弥呼がわたしを見て、そう言ってきた
愛花は「へっ?」とした顔で、こちらを見ている
なんかイヤな予感……
「あんたが呼んだ、あの男の人。確か木崎さんって言ったかしら。あんた、親戚のおじさんって言ってたけど…」
やめて卑弥呼!それ以上はやめて!!
「あの人、親戚のおじさんじゃないでしょ。咲耶」
キターーー!!
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