交流編
第19話
今日は平日
当然、今俺がいるところは職場
俺の会社は中小企業
そんなに大きな会社というわけでもない
まぁ強いて言うなら、どこにでもある一般的な会社だ
そして俺はそんな会社の平社員
『あいつが知ったら、ダサいとか言うんだろうな』
ふとそんなことを思った
あいつというのは天王寺のことだ
天王寺咲耶
今年でアラフォーで平社員だって知ったら、そう言って当然か
『あいつも今頃学校だろうな。ちゃんと行ってるかな?』
俺がやった行為であいつが今までの元カレ達との縁を断ち切れたかどうかはわからない
あとは天王寺次第だ
『それでも学校には行きづらいかもな。あの元カレと顔合わせるかもしれないし。二度と顔見せないでって言ってたが、同じ学校だったら会わないでいられる保証はないし』
昨日、あいつとまた会った翌日、その日も休みということもあり、俺はその時にできなかったガンプラ制作に勤しむことにした
全く集中できなかったわけじゃない
ただ、不意に思ってしまうのだ
『大丈夫かな?あいつ?』と
あいつとは天王寺のことだ
売ろうと思っていたとはいえ、あいつの品物をごみ処理場の焼却炉に捨てるという行為をやらかしたのだ
本当の意味であいつに元カレたちの縁を断ち切らせるために
ただ、自分でこんなこと思うのはおかしいと思うが
『やり過ぎたかな?』
あいつのことを考えると、そう思ってしまう自分がいる
間違ったことをしたとは思ってない。本当に
ただ、何故かそう思ってしまう
メッセージでも送ろうかなと思った
だが送らなかった
送れなかったといった方がいいかもしれない
そして翌日。つまり今日
朝メッセっていうのを思ったが、やはりやめた
『そもそも昨日と今日会っただけの奴にそこまでする必要も、ましてや心配することもないんだが』
まぁ、俺は繋ぎみたいなもんだからな
『あいつが新しい彼氏ができるまでの、まぁできるようになるまでの相談役くらいにはなってやるか』
そういうことにしよう
だけどよく考えてみると
『こんなに人の心配みたいなことするのいつ以来だ?』
いまだにアニメや特撮モノ、ガンプラが好きで、アラフォーになってもオタクを続ける男
大人になりきれない子供
だが俺は世間に大人と呼ばれるまでの年齢になり、俺自身、世の中の色々なことを知ってしまった
そんな中で俺はアニメやマンガが好きでも、その中で起こる恋愛には疑問を持ち、現実でも世間がもてはやすようなリア充カップルに対し『そんなんでいいのか?』とひねくれた目で見るようになった
『世の中、アニメやマンガみたいなただハッピーエンドで終わればいいほど単純じゃないし、趣味が同じとか話が合うとかで上手くいくもんじゃないんだよな』
まぁ、彼女無しの恋愛経験もろくにないアラフォーの独身男が言っても信じないだろうが
『だけどどんな形であれ、あいつに関わることになる以上は、それなりのことはしないとな』
ひねくれ者の俺にどんなことができるかはわからないが
ていうか、俺があれからずっと抱えている最大の疑問
あいつに関わっていくことになる最大の原因
『なんであいつ、俺と連絡先交換しようなんて思ったんだ?』
それが一番の謎だ
そんなこんなを考えながら、黙々と仕事をしていると
「そろそろ昼休憩だな」
そんな時間になっていた
『まぁいつも通り、社員食堂で1人で飯食うだけだが』
俺はタバコは吸わない
酒も飲まない
ゆえに飲み会の類いにも参加しない
社内でも必要最低限の交流しかしない
まぁ、やたらと絡んでくる後輩がいるが、そこは今は置いておこう
そんなこんなで昼休憩になった
『昼休憩の合間にメッセージ送ってみるか』
その相手はもちろんあいつ、天王寺だ
プロフィール画像を設定しろと言っていたので、言われた通り設定した
その画像はガンダムバルバトス
鉄血に登場した主役機だ
『あの画像見たらどんな顔するかなあいつ。なんか楽しみだ』
そんなことを思いながら、俺は社員食堂に向かった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます