第13話 山の別荘
「じいさんが山登り誘ってくれたけどお前も行こうぜ?」
真実に誘われて長野の別荘に着いてきたのは良かったのだが…。
「…凄いな…」
山奥のコテージ。
周りは自然しかない…。
というかもう空気が全然違う。
とても澄んでいて…清浄だ。
少し離れたところに綺麗な川が流れていた。
「うわー、綺麗な川だなあ…」
思わず呟くと
「後で川で魚でも採るか」
真実がそう言いながら送迎の車から降りる。
「ん…私ちょっと酔っちゃった…」
水野さんがふらついたので咄嗟に腕を掴んで支えた。
「ゆっくり降りなよ」
そっと腕を離すと水野さんは辛そうな顔をしていたが微笑んでくれた。
「青海君…ありがと」
「オレ荷物持つよ」
荷物を持ち、いつ水野さんがふらついても支えられるようにそばを歩く。
真実が先導してくれ部屋を案内してくれた。
「透、部屋ここな」
水野さんの隣の部屋にしてくれた。
「俺の部屋隣だからな」
真実は部屋に入って行った。
自分の部屋に荷物を置くと水野さんの部屋に荷物を持って連いていく。
「水野さん…大丈夫?」
「うん、ありがとう」
水野さんがベッドに座るのを見届ける。
そっと水野さんの荷物を置いた。
「青海君…ごめんね…しばらく寝てれば治るから…。」
どうしたら少しでも楽にしてあげれるだろう…。
分からずに背中を撫でる。
そうしていると水野さんは眠り始めた。
そのまましばらく背中を撫でていると眠くなってしまう。
誰かに触られている感じがして起きる。
目を開ける。
目の前に水野さんの顔があった。
「あっ…ごめんね…」
水野さんが真っ赤になり手を離した。
「あ…いや…俺こそ寝ちゃってごめん…」
慌てて起きる。
「水野さん…もういいの?」
水野さんは微笑んだ。
「うん。おかげさまで。ありがとう。」
★
真実たちのおじいさんは急用で数日来るのが遅れるそうだ。
その間はこのコテージの管理人が透たちの世話をすることになっている。
お昼を食べて近くを散策することにした。
三人で外に出る。
さすが標高が高いだけあって涼しい。
…というか少し寒いくらいだった。
川沿いを上っていく。
「あ、見てっ魚っ!」
「ほんとだ…いるんだね…」
水野さんもすっかり体調が良くなったようだ。
川沿いの道はやがて途切れて登山道へと続いていた。
「今日はここまでだな。何の装備もなしにこれ以上行くのは危険だ。」
帰り道は歩きやすい道路を歩いたためあっという間にコテージについた。
陽か傾き始めると涼しいどころかどんどん寒くなる。
★
流れで真実とお風呂に入ることになってしまう。
着替える前に眼鏡を外した真実は視力が弱いのか背中についた傷には何も触れてこなかった。
真実はさっと服を脱いで浴場に行くのでその後を追いかける。
「ああ…気持ちいいな…」
2人で身体を洗い湯に浸かりながら温まる。
ぼんやりと天井を見上げていると真実が言った。
「お前泉の事嫌いか?」
「は!?」
驚いて真実の顔を見る。
真実の表情は読めない。
「いや、いらない事聞いたな…忘れてくれ…」
真実はそう言ったが…黙っているわけにはいかない気がする…。
「俺水野さん…好きだよ。可愛いしこんな俺にも優しくしてくれるし…。でもこの好きな気持ちってよく分からないんだ…水野さんのこと…時々お母さんみたいだって思う時もあるし…でもそれって俺が母親を求めてるだけなのかもしれない。」
透は手を握る。
「それに俺…水野さん見てるとどうしても…エロい目で見てる時があって…こんなのって汚いだろ…。俺ただ水野さんのことそういう目でしか見てないのかもしれない…」
真実は黙って透を見ている。
「分からない…分からないんだ…」
「悪かった。変なこと聞いたな…」
真実はお湯から出る。
「でもな、恐らく大抵の男は好きな女の子の事エロい目で見てると思うぜ…」
真実は透の肩を叩く。
「俺あんまり長湯しないから気にせず入っとけよ」
真実はそう言って先に出て行った。
湯船に1人残された透は窓の外を見る。
夜空には沢山の星が瞬いている。
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