第7話 放課後の買い食い
部活があるという真実と別れて泉と一緒に家に向かって帰る。
泉の家とオレの家はそんなに離れていなかったので一緒に帰るのが普通になってきた。
「青海くんって帰ってから何してるの?」
泉が興味深々で聞いてくる。
「えっと、本読んだりしてるよ。本を読むのは好きなんだ」
「そうなんだ。私も結構読むんだけど、青海くんはどんな本が好き?」
泉と本の話をしながら歩く。
スーパーの前に来る。
「水野さん、ちょっと寄ってっていい?」
「?何か買うの?」
水野さんを連れてパンコーナーに行く。
「夕飯までまだ時間あるから。腹減ったら何か買って食べなさいって小遣い貰ってるんだ」
見慣れたメロンパンを買う。
「青海くんメロンパン好きなんだね」
水野さんにそう言われて気づく。
そうか、もう何のパン買ったっていいんだ。
つい見慣れたパンを買ったが、もうこれを買わなくてはいけない理由はない。
「ああ…ずっとこれだけ食べてたからなあ…」
そう呟くと泉が不思議そうな顔をした。
「……どういう事?」
買ったばかりのメロンパンを泉に見せる。
「このメロンパンって一番大きいだろ。このパンずっとオレのごはんだったんだ。1日一個だったから一番大きいこれをいつも買ってたんだ。」
「1日1個って…」
「学校がある日は給食があったけど休みの日とかはこれを3回に分けて食べてたんだ。少しでも腹一杯になるようにこれを選んでたんだ。もうパンっていったらこれを買うのがクセになってるんだな…」
驚いたような泉。
「毎日100円貰ってさ、これだけが楽しみで…あの頃に比べたら今はすっごい幸せっ★ちゃんとご飯も食べれるし」
…泉が変な顔をしながら黙ってしまう。
そんな泉を家まで送って自分の家に帰る。
冷蔵庫に入っている物も食べて良いと言われていたので牛乳を出してメロンパンを食べながら飲む。
うん、やっぱりメロンパンってお腹いっぱいになるな。
満足したので宿題を始めた。
★
「青海くん、昨日作ってみたんだけど食べてみて?」
次の日泉がそう言いながらも紙袋をくれた。
「水野さん何作ったの?」
受け取った紙袋を覗くといろんな種類のパンが入っていた。
「昨日お母さんと作ってみたの、美味しいかどうかは分からないけど…」
「すごいね。こんなの作れるんだ!!」
パンのいい匂い、チョコが入ったのやクリームが入っている物…すごく美味しそうだ。
「水野さんありがとう!!」
パンを一つ取って齧る。
「ん?カレー?」
そう言うと水野さんが微笑む。
「カレーパンだね。どう?口に合う?」
「うん!すごく美味しいよ、こんなの初めて食べたよ!」
スパイシーなカレーはパンと合う!しかもすごく美味しいし!!
びっくりしていると水野さんが微笑む。
「たくさん作ったからおやつにでもしてねっ」
こんな物を作れる水野さんは天才だと思った。
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