第3話 真実と泉
ある日一人の男の子を紹介される。
それが水野真実だった。
同い年だったせいか、真実が気を遣ってくれていたのかは分からなかったが何となくウマが合い話すようになった。
クラスは違うが同じ学校だったので一緒に過ごすことが多くなる。
オレにとって初めてできた友達だった。
真実と関わることで色々知り、真実に誘われるがまま同じ高校に行くことにした。
真実と同じ高校に進学したいと言ったら両親は喜んでくれた。
勉強は学校に行っている間はきちんとしていたので受験も問題なく終わり真実と同じ高校にいけた。
真実には泉という双子の妹がいた。
真実の妹も一緒だった。
★
高校では泉とクラスが一緒だった。
真実と双子の兄妹というだけあって顔がよく似ている。
真実も泉も美形だったからかよく男や女に呼び出されて告白されていた。
泉は丁寧に断っていたが、真実はあからさまに面倒な顔をしていた。
オレもたまに女の子に呼び出されたりしたけど、よく分からなかったのでなるべく優しく断った。
誰かを好きになるという気持ちが分からなかったので受ける気にもならなかったし関わる気も起きなかった。
真実はクラスは違ったがちょくちょく様子を見に来てくれる。
そのおかげで泉とも少しづつ話すようになった。
泉はどちらかというと一人で過ごすのが好きな女の子だった。
部活などには入らず放課後はに図書館にいたり、まっすぐに家に帰っていた。
どちらかというとインドア派のようだ。
オレも部活をやっていなかったので泉と一緒に帰ることが度々あった。
親たちは何か部活をやらせたかったようだったが人との関りが面倒だったので部活に入らなかった。
面倒というより分からなかった。
人間関係は難しい。
特に長い間一人だったオレには。
★
ある日の事だった。
オレは女の子達に呼び出された。
女の子三人に囲まれてそのうちの一人に告白された。
オレが断ると女の子が泣き出す。
困惑して固まっていると残りの子たちに責められた。
いい子だから…と言われ付き合ってあげてと言われてしまい引いてくれる気配がない。
どうしたらいいか分からなかった。
「ごめんなさい。青海君今私と付き合ってるから‥。」
見かねたのか泉がそう言って入ってくる。
女の子達はそれでやっと引いてくれた。
「水野さん、ありがとう。でも、水野さん誤解されちゃうんじゃないか?」
そう言うと泉が笑った。
「私も呼び出されるの嫌いだから。私たち付き合ってると思われた方が楽だよ。」
その日以降泉と一緒に過ごす事が多くなった。
オレと泉が付き合っている噂が広がると女の子に呼び出される事がなくなった。
しかし泉は今まで誰とも付き合わなかった事で高嶺の花と思われて敬遠されてきたのにそれが手元に降りてきたのだと思われてしまったらしく…。
オレが、付き合えたなら自分も‥。
そう思われたのか結果的に泉は男に呼び出される事が多くなってしまった。
「水野さん、オレのせいで損してないか?」
思わずそう聞いた。
オレは女の子に呼び出されずに済むようになった。でも泉は‥。
泉は微笑んだ。
「青海君が困った顔するのを見るよりいいよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます