第26話妻はお疲れっ★
「泉、マフラーつけ忘れてるよ。おいでっ」
コートを着た泉を呼び止める。
「まだ寒いんだから、風邪ひいちゃうよ」
マフラーを泉の首に巻いてあげる。
「透……ありがとう」
微笑む泉にそっとキスする。
「気をつけて行っておいで。なんかあったら電話してね?」
うなづいた泉の肩を優しく撫でて、玄関から見送った。
最近仕事が忙しいようで、泉の帰りが遅くなった。
新しいプロジェクトに泉と浅川さんが加わったらしく、しばらく帰すのが遅くなってしまうと真実からも連絡をもらっていた。
今週はずっと帰るのが遅かったよな…。
泉も結構疲れているようで、夕飯を食べながらうとうととしていたり、お風呂に入りながら寝てしまったり。
何とかしてあげたいと思っていても、できることといったら夕飯を作って待っていることと、泉が少しでも快適に生活できるようにしてあげる事ぐらいだった。
泉のベットに布団乾燥機をセットする。
今日くらいはゆっくり休ませてあげたいな。
ふかふかの寝具で寝かせてあげられたら少しは体力の回復にも役立つはずだ。
それから晩御飯は体に良くて旨いものを……。
インターネットでレシピの検索をしながら夕飯の買い物を考える。
洗濯と掃除も済ませておく。
きっと真実も浅川さんも疲れてるんだろうな。
3人に何か……明日は昼食でも作って差し入れようかな。
★
21時過ぎに泉は帰ってきた。
「おかえり、疲れたでしょ?ご飯…先にお風呂済ませようか」
「うん、透……ただいまっ」
スーツ姿の泉が抱きついてきたので優しく抱き止める。
「おつかれさま。今日も頑張ってくれてありがとね」
なるべく優しく抱きしめて、頭を撫でる。
「えへへっ、少し元気になったよっ」
泉が照れたように笑いながら身体を離す。
「よし、さっさとお風呂入ってご飯にしようか。寝る前にマッサージしてあげるよ」
泉の着ていたスーツを受け取りハンガーにかける。
「そこまで疲れてないから大丈夫だよ」
泉はそう言うが、やってあげたかった。
「イヤじゃなかったらやらせて?泉のために何かしたいんだ」
ささっとお風呂を済ませてご飯にする。
泉と一緒にお風呂に入っても手を出そうなんて思えなかった。
疲れている時はたくさん食べて、たくさん寝かせてあげないと…。
ご飯を食べながら、やはり泉は眠くなってしまったようだ。
「泉…大丈夫?食べれるだけ食べちゃって、もう寝なよ。もうそろそろ限界でしょ、ご飯食べさせてあげようか?」
「んっ…ごめんなさい…」
目を擦る泉にご飯を食べさせて、一緒に歯を磨く。
もう泉はフラフラだ。
「泉本当にだいじょうぶ?倒れちゃったりする程頑張るなよ?」
「うん、とりあえず今週は明日で終わりだから土日はゆっくり休めるから平気っ」
泉は微笑むが、心配でたまらない。
とりあえず泉を寝かせに寝室に向かう。
「泉、今日は自分の部屋で寝る?一人の方がゆっくりできるでしょ?」
そういうと泉が嫌がる。
「疲れてるから一緒に寝たいんだけど、ダメ?」
…泉は照れているのか赤くなる。
「全然ダメじゃないよ。その方がよければ一緒に寝ようか」
泉を先に寝かせてその隣に寝転がると嬉しそうに泉がくっ付いてきたので抱きしめる。
「透あったかいねっ」
「寒くない?ちゃんと毛布掛かってる?」
泉に毛布を掛け直す。
★
気づけば一緒に眠ってしまっていたようだ。
朝目を覚ますと、いつも通り泉の胸に顔を埋めていた。
…泉、重くなかったのかな。
そっと泉の腕を外して起き上がる。
どのタイミングでこうなるのかは分からなかったがいつも泉の胸に顔を埋めて寝てしまう。
泉も嫌がらずに抱きながら寝てくれてるし…。
オレは幸せ過ぎるけど泉はしんどくないのかなあ。
そっと泉に毛布を掛ける。
いつもありがとう。
優しく泉の頭を撫でて寝室を出た。
早起きのすずしろにご飯をあげて、朝食を作る。
朝からしっかり食べて欲しいから今日はおにぎりにでもするか。
卵焼きに魚を焼いて…。
そろそろ泉起こすか。
寝室に戻り、カーテンを開ける。
ベッドで眠る泉の寝顔を見れるのはすごく幸せだ。
幸せそうによく寝てるな。
起こすのは可哀想だけど仕方ない。
「泉、おはよう」
そっと泉の唇に触る。
…キスしたい
「んっ…」
泉が微かに声を漏らす。
まだ起きそうにないし、少しだけなら…
泉の唇を触りながら顔を近づける。
規則正しい泉の寝息が鼻にかかってくすぐったい。
…かわいいな…
情けないことにそれだけで身体が反応してしまう。
「泉…おはよう、愛してるよ」
そっと囁いてキスをしようと目を閉じる。
「おはよう、透…」
不意に泉の声がして、耳元を撫でられる。
驚いてキスを中断しようと思ったら、逆に泉にキスされた。
軽くキスするだけのつもりだったが、泉の舌が口の中に入ってくる。
「!?」
朝からコレはマズすぎる。
…ガマンできなくなっちゃうぞ?!
そう思い身体を引こうとしたが、泉が首に腕を回してきて、更に舌を絡めてきた。
…泉の舌が…
自然と息が上がり、下腹が心地よく痺れるような快感。
…勃ってきちゃった…
それでも泉はキスするのを止めようとしない。
ガマンできずにそっと泉のおっぱいに触る。
指先が泉のツンとした先っぽに触れる。
「あっ…」
泉が身体を震わせながら唇を離した。
泉ったら…
少しいじわるをしたくなってしまう。
指先がに触れた泉の乳首を摘む。
「んっ!!」
泉がピクンと身体を震わせる。
やばい、すごいエッチしたくなってきたぞ。
「オレの事煽ったのは泉だよ」
反対側の乳首も指先で摘んで転がす。
「あんっ!」
そのままクリクリと乳首を捏ね回す。
不意に泉の携帯の目覚ましが鳴り始めた。
…残念だけどここまでか。
もう一度泉にキスをして、身体を離す。
深呼吸して身体を落ち着かせていると
、とろんとした目をした泉が顔をあげる。
そっと泉の唇を拭い、何とか微笑む。
「最後までしちゃいたいけど、今はここまでだね」
泉が赤くなりながら頷く。
「帰ってきたら…させて?」
嬉しそうに泉が微笑んでくれたのでベッドから離れた。
「よし、今日は金曜だし、あとは仕事終わってからのお楽しみだね!」
★
ちょうど真実から用があると連絡を貰っていたので泉達にお昼ご飯を作って持って行くことにした。
おいなりさんに唐揚げ、卵焼きにウインナー。
前回作ったあまり甘くないおいなりさんは真実に好評だった。
今日は茗荷を刻んだのを中に入れて…
「透、わざわざ悪いな」
真実が社長室に迎え入れてくれた。
「浅川と泉はもう少ししたら来るから」
真実の秘書さんがお茶を出してくれたので飲みながら話を聞く。
「お前今持ってる仕事に余裕があったらこの仕事…受けてくれないか?」
真実が企画書を見せてくれた。
さっと見た限りでは悪くはない。
「…面白そうだね。他にやる人いないの?」
「ああ…いや、というか俺がお前にやって欲しいと思ったんだけど。忙しいようなら断ってくれていいぞ。お前が暇になるまで待つから」
…それはいつかはやらなきゃいけないってことか?
ふと概要欄に目がいく。
「月毎にって、これ一年がかりになるって事!?あ、やっぱり無理だよ。泉置いて家開けたくないし」
毎月泉を置いて取材旅行とか無理すぎる。
いくら真実の頼みでも無理なものは無理だ。
断ろうと思ったら真実がニヤついた。
「その企画、泉が考えたやつだぜ。当然担当は泉だし、付き添いも泉だ。…まあでもお前が無理だって言うんなら泉は他の誰かに付き添って取材旅行行くハメになるんだけどな。お前の代わりかあ…誰にするかな…。あのセクハラで有名なエロジジイにでも頼むか。腕は確かみたいだしな」
真実がそんなことを言い出す。
「!!」
セクハラで有名って、そんな奴と泉を一緒のお泊まり取材旅行になんか行かせるわけにはいかない。
「分かった、オレやるから絶対!!」
真実の腕を掴む。
「じゃあ頼んだぞっ★」
真実が楽しそうに笑う。
……。
うまく使われそうな気がしたが受けないわけにはいかなかった。
真実が微笑む。
「まあ、仕事が終わったら残りは泉と一緒に遊んでこいよ。泉にはずっと頑張って貰ってたし、新婚旅行だって忙しくて行かせてやれなかったしな…」
「……?」
きょとんとしながら真実を見つめる。
…そんなことを考えてくれてたんだな。
「日程は余裕を持ったせて作るから、ゆっくりして来いよ」
……真実……
胸が熱くなって思わず真実に抱きつく。
「シンジっ!ありがとうっ!!大好きだよっ!!」
「って透クン何シンジに抱きついてるのよっ!シンジは私のっ!!」
不意打ちで浅川さんと泉が部屋に入ってきた。
「あ、うんごめん…それより泉…大丈夫?」
真実を浅川さんに返して泉のそばに寄る。
あんまり顔色が良くないような…。
「大丈夫、もう後半日だから。透…ご飯作ってきてくれたの?大変じゃなかった?」
4人で昼食を食べる。
真実も浅川さんも旨そうにご飯を食べてくれたのでホッとするがやはり泉が元気がない。
「泉…元気ないけど…どうかしたの?」
心配になり声を掛ける。
「ううん…そんな事ないよ」
泉は微笑む。
「真鍋の事なんか放っておきなさいよ。あんな奴のために水野さんが嫌な思いする事ないわよ」
浅川さんはそう言いながら泉の隣に座った。
「真鍋って…この前の?」
浅川さんは苛立ったようにため息を吐く。
「そうなのよ。アイツったら水野さんにコナかけて…もうっ!!」
コナって…なんだって!?
思わず泉を見つめる。
泉は確かに可愛いし美人さんでおまけに優しくっておっぱいもかわいい。
でも、今はオレの……。
「泉は人妻だぞ?」
浅川さんは続ける。
「透クン、世の中には人妻専門ってヤツもいるのよ。まあ水野さんなら私もお願いしたいところだけどっ★」
浅川さんがそう言いながら泉を抱きしめた。
「浅川さんっ!泉はオレのだって!」
泉を浅川さんから引き離す。
「その事だけどなあ、透が例の仕事受けてくれたからお前らそっちに移動になるぞ?まあ今のプロジェクトは元々安定するまでの補助だしなあ」
唐突に真実が口を挟み、腕の中にいた泉がピクンと反応した。
「えっ、あの話…進んでたの?」
泉が身を乗り出す。
「ああ、何かじいさん…水野会長がやけに乗り気で、俺のところでやらないなら自分でやるって言い出したからな…。よほど気に入ったみただな」
真実がオレ達を見て笑う。
「……?」
…まあよく分からないが楽しそうな話だったのでまあ納得かもしれない。
その話を聞いたからかかは分からないが泉が少し元気になった。
「泉、じゃああと少し頑張ってね。夕飯何か食べたいものとかない?」
泉が玄関まで送ってくれる。
「う~ん、今日はお魚かな」
泉が微笑む。
「魚か…今日はサバ味噌でもいいねえ…」
今晩のメニューを考えていると泉が腕を掴んでくる。
「んっ?」
どうしたのって口を開こうとした。
「あと…透が食べたい…」
泉が赤い顔で呟く。
「!!!」
聴き間違えたか!?
しかし泉は照れたように笑ってるし…聴き間違えではないようだ。
なんか…ドキドキするなあ…
泉からのお誘いっ★
「…オレも泉に食べられたいなっ★」
泉の耳元で囁く。
泉と見つめ合って、なんとなく笑い合う。
「気をつけて帰っておいで?必要なら迎えに来るから」
泉の手を握る。
泉は嬉しそうに手を握り返してくれた。
さっさと帰って夕飯準備だ!!
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