第24話 桜を見下ろしながら
「泉、ごめんね。桜見に来たのにあんな事しちゃって…。」
海辺を歩きながら謝る。
「違うよ、最初に誘ったの…私だし…。」
泉が恥ずかしそうに笑った。
風が少し寒かったが熱を持った体には心地よかった。
「でも凄かったね。桜。」
「そうだね。来てよかった。」
二人で並んで海岸に座り海を眺める。
時間が過ぎるのは早い。
あんなに青かった空は去り行く太陽とともに変わりゆく。
空は橙色に染まっていく。
太陽はオレンジ色になり水平線に向かって沈みつつある。
じわじわと水平線に太陽は沈み、沈む瞬間緑色の光を放つ。
空はどんどんと暗くなり向こうの空の端には星が輝きだす。
「そろそろ行くか。」
立ち上がり泉に手を差し出す。
「はーい。」
泉が笑いながら手を掴む。
★
ホテルにチェックインし部屋に行く。
こじんまりしていて落ち着く部屋だ。
「透、温泉行こっ!」
二人で温泉に向かう。
温泉に向かう途中、中庭にも河津桜が咲いているのに気づく。
ライトアップされた桜はとても綺麗だ。
「もしかしたら部屋からも見えるかもね。」
そういいながら風呂に向かった。
泉と別れて風呂に入る。
潮風に吹かれたため体がべたついていた。
体を洗ってすっきりすると温泉に浸かる。
中庭から飛ばされてくるのか桜の花びらがお湯に浮かんでいた。
熱い湯に浸かりながら空に舞う花びらを眺める。
…泉もこれを見ているだろうか…。
さっきまでずっと一緒にいたのになぜか突然寂しくなる。
…温まったし…出るか。
★
泉が戻ってきたので夕食を食べに行く。
海が近いせいか海産物が美味しかった。
お酒を呑みながらの食事。
泉が呑むのに合わせて呑んでしまうとあっという間に酔ってしまう。
食事を終え部屋に戻る。
ちょっと酔ってしまったな…。
水を飲みながら窓の外を眺める。
「いずみ、こっち来てごらん…」
泉とベランダに出る。
「ほんと、凄いね…。」
桜を上から見下ろす。
下からライトアップされているため桜が浮き上がっているように見えた。
桜を見降ろす泉。
お酒を呑んで肌がピンク色になっている。
ああ…まずいな…。
泉が振り返る。
今日の泉はいつも以上に綺麗だ…。
泉を抱き寄せる。
「とおる…?」
キスをして唇を塞ぐ。
舌を絡めながら泉の浴衣の胸元に手を入れた。
「んっ…」
泉の胸を両手で包み込む。
★
翌朝、泉に抱きしめられながら目を覚ます。
…泉はいつも優しくて、温かくて…。
泉が起きるまでそのまま抱きしめてられていた。
…幸せ過ぎる…。
「何か桜見に来たってよりエッチしに来たって感じになっちゃって…ゴメン。」
桜を見降ろしながら泉に謝る。
「まあ…それも目的だったからいいの。」
泉が笑う。
「…そうなの?」
桜の花びらが風に舞い空に吸い込まれていった。
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