第23話 河津桜を見に行って…★

 「ねえ透、桜が見たい…。」

 

 夕ご飯の用意をしていると泉が言った。


 「?桜…?この時期に?」


 振り返ると泉がテレビを見ていた。


 テレビ画面には満開のピンク色の桜が映っている。


 「ほら、すっごい綺麗だよ」


 なるほど。


 「河津桜か…。いいね。明日行く?ちょうど休みだろ?」


 確か伊豆の方に有名なところがあった様な…。 


 携帯で早速泊まれそうな場所を探し出す泉。

 「あ、ここ綺麗。透、泊るところ決めちゃっていい?」


 「あ、うん。いいよ。」 


 宿泊先は泉に任せる。


 後で地図を見ないとな。


 そう思いながらガスコンロの火を止めた。




 ★

 



 車を駐車場に置き歩く。

 

 「透、見て!すごーいっ!!」


 見上げると本当に一面ピンクの河津桜。


 まるでピンク色の雲が浮かんでいるかのようだ。


 その隙間から見える青空もまたいい。


 「透、綺麗だね」


 何よりもこの隣でにこにこ笑う泉が可愛くて可愛くて…。


 「…泉、どっか人がいないとこ行こうか」


 そういうと泉が赤くなる。


 「透、またエッチなこと考えてるでしょ!」


 …考えないわけない…。


 まあ、それは後に置いておいて。

 



 満開の桜と暖かな日ざしに包まれてのんびり川沿いを歩いた。


 さっと爽やかな風が吹き桜の花びらが舞っていく。


 風は花びらを巻き込んで空に溶ける。


 「…いずみ」


 そっと手をやり泉の髪に付いた桜の花びらを取る。


 「…透…。」


 泉に見上げられ目が合う。


 「いずみ…綺麗だよ。」


 そう言うと赤くなる泉。


 「…なんか、照れちゃうね。こういうのって…。」

 

 手を繋いでそのまま歩いていると桜はまばらになった。


 「ちょっと休もうか…。」


 ベンチを見つけて座る。


 自販機で買ったコーヒーを飲みながら桜を見ていると泉がこちらを見ているのに気づく。


 「どうしたの?泉、お腹すいた?」


 そう言うと泉が慌てたように目線を外した。


 「んっ…何でもない…。」


 …赤くなっている。


 「ちょっと…寒いかな…。そろそろ行こうか?」


 ベンチから立ち上がる。


 「んっ…透、違うの…」


 泉に手を掴まれる。

 

 

 「?…どうしたの?」


 「…キス…してもいい?」


 泉が赤くなりながらそんな事を言い出した。


 さっと辺りを見渡す。


 「いずみ、おいで。」


 道路とは反対側の大きな桜の木に泉の背中を押し付ける。


 「いずみ…。」


 「…。」


 泉が目を閉じる。


 誘うように少し開いた唇…。


 堪らずに唇を押し付ける。


 一度では足らず何度もキスする。


 唇を舌でこじ開け舌を入れると泉も舌を絡めてくる。


 …これは…まずいな…。


 泉から唇を離す。


 離した唇から糸が引き泉がとろんとした瞳で見上げてくる。




 泉の手を引き車に戻る。


 助手席に座ろうとする泉を後部座席に座らせた。


 「透?」


 透も後部座席に乗り込む。


 泉を抱き寄せる。


 「ん、とおるっ…」


 再びキスし始める。


 二人でブランケットを被り泉の上着のボタンを外し胸を出す。


 差し込む陽の光に照らされる泉のおっぱい…


 「ああ…綺麗だよ…」


 唇をつけて吸う。


 「ううんっ…」


 泉の両手が透の頭を撫でる。


 …まるでお母さんみたいだ…。


 そう思いながら胸を舐める。


 片方の胸を揉みながら泉の少し赤みが増す胸にキスマークを付けた。



 

 …気持ち良すぎるっ…!



 体から力が抜けてしまい泉の胸に顔をつけ息を整える。


 その間泉はずっと頭をなでていてくれた。

 

 後部座席で泉に抱きしめられながら、幸せだと思っていた…。



 そんな二人が乗る車のフロントガラスに桜の花びらが舞い降りていく…。

 

 

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