第20話 雪山に行こうっ★二日目後半戦っ!
「透だいぶ上手くなったね★」
泉がニコニコしながら褒めてくれた。
「いやぁ、先生が良かったからだろ。おまけに美人でかわいいし★」
泉に褒められた!すごい嬉しい!!
身体は正直もうぼろぼろだったけど泉に褒められたから帳消しだ!
じゃあ次どこ行こっか…そう話しかけようとしたら泉が空を見上げる。
「そろそろ引き上げた方が良さそうね。」
空を見上げる。
どんよりと厚い雲が近くまで来ていた。
「今夜は荒れそうね」
すぐに引き上げ始める。
ホテルの前に着く頃には吹雪になっていた。
もう少し遅かったらヤバかったかもしれない。
来た道を振り返る。
見渡す限り真っ白だった。
思わずゾッとした。
「透、真っ白」
泉が雪を払ってくれる。
「俺はいいよ、泉こそ…。」
泉に付いた雪を優しく払う。
「ああ、雪溶けてきたな…風邪引くから早く着替えて風呂行こう。」
★
着替えを持って大浴場に行く。
「泉、ちゃんとあったまっておいで。出たら部屋に戻ってるから。ゆっくり入ってきな」
身体を洗って浴槽に浸かる。
さっきまで凍えかけていたのが嘘の様だ。
身体の隅々まで溶かされる。
「気持ちいい…。」
目を閉じてお湯の熱さに見を委ねる。
露天風呂を見る。
降り積もる雪。
しかし湯の熱さでそこだけぽっかりと穴が開く様に温泉がある。
暑くなってきた。
露天風呂も気持ちよさそうだ。
外に出る。
身を斬る様な寒さと雪。
「さむっ!」
慌てて露天風呂に入る。
お湯に入ってしまえばなんて事はない。
「透か…?」
その声に振り向くと真実がいた。
「真実、来てたんだな」
真実は怠そうに上半身をお湯から出しながら温泉に浸かっている。
「しかし凄いな…。」
降り続く雪。
空を見上げると吸い込まれそうな錯覚に襲われる。
「見てみて水野さん、雪すごいっ。」
隣の女湯から浅川さんの声がする。
そうか。真実がいるって事は浅川さんもいるか…。
今朝のことが頭をよぎる。
真実を見る。
「…大丈夫だろ。」
真実は岩にしなだれかかった。
「…熱いな。」
真実の言う通り少し騒いだ後女湯の方は静かになる。
二人は上がったのだろう。
そのまましばらく湯に浸かり風呂を上がる。
★
真実と話しながら部屋に戻る。
少し呑もうと透の部屋に行くが泉が達の姿はない。
「女は色々時間かかるからな。呑んでようぜ。」
真実に言われて呑みだす。
窓の外は雪景色。
「雪見酒とはまた…。」
気づいたら1時間程経っていた。
「さすがに遅いな…。」
真実は立ち上がる。
「うん…。」
足元が少しふらつく。
酔っちゃってるな…。
部屋を出て廊下を見る。
どこだろう…まさかまだ風呂?
「おい、透ちょっと。」
真実に呼び止められる。
真実達の部屋の前で立ち止まっている真実。
「なんだよ…。」
「しっ、静かにしろ。」
耳を澄ます。
「んんっ…。」
この声は…泉?
音をたてないように部屋の中に入る。
「んんっ…だめっんんっ…。」
泉の声がはっきり聞こえる。
これって…。
心臓が脈打つ。
一体誰と!?
口から心臓が飛び出しそうだ。
頭の中が沸騰しそうになる。
昨日の男達の姿が脳裏をよぎる。
真実が一歩踏み出す。
襖に手をかけた。
見たくない…けど目を閉じれなかった。
目に入ったのは布団に寝ている浴衣姿の泉と泉に覆いかぶさっている浅川さんだった。
「浅川さんっ…そこっ…気持ちいいっ…。」
泉は浅川さんにマッサージ…されている…。
「水野さん…私の方が透クンより上手でしょっ?」
得意げな浅川さん…。
「…透には…触られてるだけで気持ちいいから…比べるなんて…できないよっ…。」
泉はうっとりとしたような表情で浅川さんに身を任せている…。
…なんだ…良かった…。
思わず脱力してその場に座り込んだ。
「透…大丈夫かっ!?」
しんしんと降り積もる雪の音。
いつの間にかに吹雪は止んだようだ。
★
「楽しかった。また一緒にこようねっ★」
浅川さんは泉に抱きつく。
…確かに楽しかった…。
でも浅川さんはやっぱり泉に触りすぎだ。
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