第17話 じいさま、来る!!
泉の実家に行った次の日、家でまったりと過ごしていた。
泉はすずしろと猫じゃらしで遊んでいて、透は昼ご飯を作っていた。
家のインターホンが鳴る。
「あ、私出るよ!」
泉がすずしろを連れて玄関に行った。
「あれ、おじいちゃんどうしたの?」
玄関から泉の声がしたかと思ったら、
「透、おじいちゃん来たよ~」
といいながら歩いてきた。
…!!
★
リビングのソファーに座る泉のじい様。
おすすめのお菓子やら詰め合わせをお土産に貰った。
お茶を淹れて出す。
「ありがとう。透君。」
じい様は泉に会えて嬉しいのか始終にこにこ上機嫌だ。
孫はいくつになってもかわいいのだろう。
「おじいちゃん、どうしたの?今日は突然。」
泉はすずしろをじい様に紹介する。
じい様は目を細めながら笑う。。
「いや、特に用はないよ。ただ昨日は知り合いに会ってて泉に会えなかったからな。だから来ちゃったよ。」
じい様は泉と一緒にすずしろと遊び始めた。
泉のじいさまは泉と真実のお母さんのお父さんだ。
泉のお父さんは婿養子で水野家に入った人間で、じいさまの会社を継ぎ事業を拡大させた。
泉のじいさまは水野会長と呼ばれて何やら物凄い偉い人のようなのだが、残念ながらそう言うことに詳しくない透にはその凄さがはっきりと分からなかった。
…泉といるのを見る限りだとただの孫大好きなじいちゃんなんだけどな…。
…学生時代、じいさまには色々と世話をしてもらったのでまあ…じいさまの言うことだけは聞くしかないと思っていた。
…その上、今住んでるマンションも泉と結婚した時に貰ったじいさまからの結婚祝いだし…。
「いやあ、猫も泉もかわいいなあ…。」
昼ご飯を一緒に食べながら話をした。
「透君料理作るのうまいね。見た目も綺麗だし味も旨い」
じい様に褒められる。
こんなこと今までなかったから嬉しかった。
「おじいちゃん、透が凄いのは料理だけじゃないんだよっ!家事だって…いつも私の面倒見てくれてるんだからっ。」
…泉が得意げに話している。
「あ、イヤ…泉は外に働きに行ってくれてるんだから当然だよ。…おかげでオレずっと家に居させて貰えてるんだし…。」
「透は家でお仕事してくれてるでしょ?当然なんて思えないよ。」
そんな2人の会話をじいさまは笑いながら聞いてくれた。
食事を終え片づけを終わらせ、リビングに行く。
泉とすずしろが遊んでいるのを眺めているじい様。
いずみはかわいいな…。
一緒に泉を愛でていた。
「透君、ありがとう。泉を支えてくれて。」
「いえ…俺が好きでやってることです。」
じい様は何をしに来たのかはわからなかった。
じいさまは帰りに透の肩を叩いた。
「困った事があったらいつでも来なさい。泉を頼んだよ。」
それから…と言って透の本を出す。
「君のサインくれない?」
透のサインが入った本をじい様は嬉しそうに持って帰っていった。
★
「おじいちゃん透のサイン貰いにきたのかなぁ。」
泉が恐ろしい事をいう。
「まさか。泉に会いにきたんだよ。どう見ても。」
泉を見ているときのじい様との一体感。
どう考えても泉だろう。
「泉の家は本当いい人ばかりだな。」
じい様に貰ったお土産を紙袋から取り出して片付ける。
透は手を止める。
袋の一番下に何か他の物とは違う物が入っていた。
何だろ…手に取る。
栄養ドリンク?
にしても毒々しい外装だ。
これ…精力剤だ…。
じい様の目的が分かった。
「くそっ…俺はまだこんな物に頼る様な歳じゃない…。
」
じい様ちょいちょいこういうの挟んで追い立ててくるんだよな…。
腹立ちを抑えながらも泉に見られない様に棚の奥に隠した。
子供…か。
すずしろと遊ぶ泉は本当に楽しそうだ。
子供が、できたらこんな感じなのかな…。
想像すると幸せ過ぎてつい笑ってしまった。
「透、どうかした?」
笑っているのに気づいた泉。
「いや。幸せだなって思ってさ」
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