第11話 お泊まり会
泉が選んだ招き猫を買い、真実が邪魔をしたお詫びに何でも買ってくれると言うのでスーパーでお鍋の食材とお酒を買ってもらう。
真実と浅川さんを家に招いて鍋パーティーをする事にした。
「真実も浅川さんもあっ、泉も座ってていいよ。大事なお客さんの相手をしててねっ★」
昨日作ったおせちを先に出してつまんで貰う。
その間に食材を切ってお鍋に投入。
楽しそうな3人の声を聞いてると嬉しくなる。
…懐かしいな…。
高校の頃は良くこんな感じで4人で連んでたっけ。
食材に火が通ったので卓上コンロを持ち出してみんなが呑んでいるこたつにセットする。
「さあ、どうぞ。たくさん食べてねっ」
お鍋の蓋を取るとふわっと温かい蒸気といい匂い。
最初の一杯はみんなに取り分けて渡す。
「水野さん、本当にいいお嫁さん貰ったわね。」
照れたようにうなづく泉を見るとなんだか嬉しくなった。
「真実っお酒より肉食べてっ!たくさん食べてね力つけなきゃっ!最近ちょっと痩せたんじゃないっ!?浅川さん、泉もっ!」
みんなのお皿に肉を乗せる。
泉は特に…こそっと泉の胸を見る。
…まあこれはこれで充分…でももう少しあってもいいな…。
★
浅川さんも真実も結構呑んでいたせいか気づいたら寝てしまっていた。
コタツのそばに布団を敷いて2人を寝かせる。
静かになった部屋で泉と2人で呑み直す。
いつもはお酒を呑まないが今日は特別だ。
「泉…伊達巻好きだねえ。」
嬉しそうに伊達巻を食べる泉がなんとも可愛かった。
「あっあの子出さなきゃっ!」
唐突に泉が席を立ち、袋を持って戻ってくる。
「…ああ、招き猫だね?」
「うん。この子なんか透に似てるんだっ」
泉が嬉しそうに招き猫を袋から取り出す。
…泉が言ってることはあまりよく分からなかった。
…招き猫に似てるの…オレ?
それでも透に似ていると言いながら招き猫を撫でる泉はとても可愛かった。
★
「ねえ泉…招き猫もいいけど…オレのことも可愛がってね?」
「うん…。」
泉は照れたように笑うとそばに寄ってくる。
「透…大好きだよ。」
泉はそう言いながら抱きしめてくれた。
…すっごい…うれしいっ!
泉に頭を撫でられて、たまらなくなり泉を見つめる。
…至近距離で泉と見つめあって…どちらからともなく唇を合わせた。
ゆっくりじっくり泉と唇を合わせてキスをする。
泉の唇を舐めていると泉が口を開けてくれたのでゆっくり泉の口の中に舌を入れた。
遠慮がちに泉の舌が絡み付いてくる。
うっすら目を開けて泉を見る。
赤い顔でキスを返してくれる泉はたまらなく可愛い…けど少し体勢がきつそうだな…。
このまま押し倒しちゃおうか迷ったが…。
「…泉…ベッドに行こう?」
そう言うと恥ずかしそうに頷いてくれた。
★
泉に搾り取られるような感覚で何度もイかされて…。
泉のおっぱいに顔を埋め、抱きしめられながら息を整える。
…今日もすっごい気持ちよかったな…。
一応寝てるとはいえお客さんが来ているので服を着たままエッチした。
…そのせいでなんかイケナイことをしているような気分になって…いつも以上に萌えた。
ぐったりとしている泉が風邪をひかないように毛布をしっかりかけて、泉を抱きしめる。
「泉…愛してるよ…。」
そう囁きながら彼女の頭を撫でていると泉は眠りだす。
心地いいダルさに身を任せて目を閉じる。
泉の寝息に自分の呼吸を合わせて…いつの間にかに眠ってしまった。
★
朝方、リビングの窓が微かに開く音で目覚める。
…真実か浅川さんだろう。
まだ眠っている泉を起こさないようにそっと寝室を出る。
リビングで浅川さんが寝ているのを確認して窓に寄る。
夜明けが近い空を真実が一人で眺めていた。
…こんなに寒いのに何やってるんだろう…。
明るくなりつつある空をぼんやりと眺めながら真実が煙草を吸い始める。
…どうやら心配するようなことでは無さそうだけど…。
それでも放って置けずに窓を開けて外に出る。
…寒い…。
一月早朝…。
まだ陽も出ていない…。
最高に寒い…。
こんなに寒いのに真実は平気そうに煙草なんて吸って…。
リビングで寝ている浅川さんを起こさないようにそっと窓を閉める。
「よう…。」
真実が困ったような顔で微笑んだ。
「おはようっ…シンジ寒くないのっ!?」
真実の側に寄る。
「…いや、寒いな…やっぱ。」
真実が煙草の煙をはき出す。
「こんな所にいたら風邪ひくよ?煙草もいいけど早く中に…。」
ふっと真実が笑う。
「透…俺浅川が好きだ…。」
「…うん。だから一緒にいるんでしょ?」
何でそんな事言い出したんだろう…。
真実を見る。
「俺…最初に逢った時からお前の事が好きだった。ずっと心配で…守ってやらなきゃって思ってた…。」
「…。」
「やっとお前以外の誰かを好きになれたんだ…。俺…浅川を大事にしたいと思ってる。」
「…うん。」
真実が煙草を吸った。
吸った煙草の煙をゆっくり吐き出した真実が透を見つめた。
「だから半分…お前から手…離すぞ?」
「…うん!もちろんだよ!っていうか俺ももう大人だしさ。いつまでも真実に心配させてられないなっ!…でも良かったね。浅川さんいい子だしさっ。」
困ったような顔で笑う真実…。
「…真実…今までずっとありがとう。俺もずっと真実の事大好きだったよ。…なんかお父さんみたいでっ。俺にお父さんがいたら真実みたいだったんじゃないかな…。」
「…お前…俺はお前と同い年だぞっ!?」
少しガッカリしたような真実。
「分かってるって。…でも真実が居てくれたから泉と付き合えて…結婚できたんだ。真実はずっと…オレの支えだったんだ。だからこれからも…見捨てないでねっ?」
「当たり前だろっ…今更見捨てるかっ。」
真実がやっと笑ってくれた。
「あとずっと友達でいてね?オレの友達…真実ぐらいだしさ。」
「ぐらいって何だよ?俺がいれば充分だろ?」
拗ねたような顔をする真実。
「うんっ真実しか要らないっ!」
「って透クンっ!シンジは私のだからねっ!」
突然窓が開き浅川さんが顔を出す。
「!?」
驚いた男二人の側に寄ってくる。
「透クンってば水野さんだけに飽き足らずシンジにまでっ!」
そう言いながら真実と透の間に割って入ってくる。
「ってか寒いっ!」
真実の腕に抱きついた浅川さん。
真実が浅川さんの肩を抱く。
…お似合いのカップルだな。
なんだか嬉しくなる。
「皆んな寒いのに何やってるの?」
泉が窓から顔を出す。
「泉もおいで。そろそろ陽が出るよ。あっでもあったかい格好してっ。死ぬほど寒いからっ!」
「シンジ冷たくなってるわよっ?」
「お前を抱いてれば寒くないよ。」
隣でそんなことを言い合ってるラブラブカップル…。
ブランケットを被った泉が出てくる。
「浅川さん、これ使って。」
「水野さんありがとうっ。」
2人にブランケットを渡すと泉が抱きついてくる。
「透もっ…風邪ひいちゃうっ!」
2人でブランケットに包まれて…泉を抱きしめる。
…なるほど。
確かに抱き合ってれば寒くないっ。
「あっ!見てっ太陽が出てきたっ!」
4人で並んで陽が昇るのを眺めていた。
…今年も良い年になるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます