第8話 雪国温泉に行こうっ★

 「透…見てっお猿さんが温泉に入ってるっ!かわいいなあっ!」


 泉がニコニコ猿を見ている…。


 …泉の方がずっと可愛いよ。


 そう言いたくなるのをグッと我慢する。


 「そうだね。あっちは親子で温泉に入ってるよ。温かそうだね。」


 


 年末は毎年一泊二日で温泉に来ていた。


 その年の疲れをお互いに労って癒やす…いわば我が家なりのお泊まり忘年会だ。


 今年は長野の山奥に来ていた。


 すっかり雪で覆われた白馬連峰を目前にみながら、温泉を目指す。


 途中の観光地に気の向くままに立ち寄って、泉とゆっくり過ごしていた。


 


 山と樹々に囲まれたこの土地は夏に来たらさぞ過ごしやすいだろう。


 

 「お腹すいたねっ。」

 

 隣を歩く泉はそう言いながらもニコニコ笑っている。


 

 時期は大分外れてしまっていたがワサビ農園で美味しいお蕎麦とワサビ、ワサビウインナーなどを食べてから今晩泊まる旅館に行く予定だ。


 

 


 泉とワサビ農園内を歩く。


 人の気配はあまり無く辺りは静かだったが、それでも食事処やお土産屋さんなどはまばらに観光客が来ていた。


 

 外は寒かったが、こういうのは嫌いでは無かった。


 誰の目も気にする事なく泉と話せたし、人気のない農場の片隅で泉を抱きしめたり…。



 「寒いと思ったら、また雪が降り始めたね。」


 振り返った泉の息が白い。


 空を見上げるとふわふわと羽のように軽い雪がちらついていた。


 「本当寒いね…。」


 真っ白な雪景色の中でそこだけ色づいたような泉の笑顔に見惚れてしまい目が離せなかった…。


 「透…?」


 泉は不思議そうな顔をしてそばに来る。


 「…大丈夫?」

 

 泉がそっと顔に触ってくる。


 「あ…うん。…いや…泉…綺麗だなって思って…。」


 泉の手を握る。


 そのまま泉を抱き寄せて、泉が嫌がる様子もなかったのでそっとキスをした。


 泉の唇も少し冷たくなっている。


 「寒いね…。そろそろ行こうか。」


 泉を連れてお昼ご飯を食べるためにお蕎麦屋さんに入る。




 お蕎麦は温かかったしとても美味しかった。


 泉も喜んでくれていたし来てよかった。


 しかし何故だろう…雪で覆われた真っ白な景色を見過ぎてしまったせいなのか分からなかったがなんだか心が底冷えしている気がした。


 泉にそう伝えると彼女は静かに微笑んだ。


 「透…ここまでずっと車の運転してくれて疲れたでしょ。もう今晩泊まる旅館に行って休もう?部屋付きの温泉があるから一緒に入って温まろうか。」


 


 ★



 

 「あったかいねっ★」


 隣で泉が微笑む。


 「うん…体の芯まで温まる…。」


 思わず目を閉じて息を吐く。



 


 旅館に着くなり泉と一緒に部屋に備えてあった温泉に浸かる。


 温泉は少し熱めだったがお陰で身体はすっかり温まったし、大分元気になった。


 「身体が冷えすぎると心まで元気をなくしちゃうんだよ。」


 隣で泉が微笑む。



 …そうかもしれないな…。


 たしかになんだか元気になってきた…ようだ。


 …特に身体の一部が…。



 ドキドキしながら泉を見る。


 泉は身体が温まったのか、温泉の脇に積もっていた雪で雪兎やら小さな雪だるまを作って遊び始めた。


 泉が腕を動かすたびにお湯から出ているおっぱいが…揺れる。


 「?透も一緒に作る?」


 楽しそうにしている泉のそばに行く。


 再び雪を両手で持った泉…。


 温泉で温まった泉の肌はほんのりピンク色になっていて、可愛らしいおっぱいが見える。


 「泉…。」

 

 「んっ…透っ?」


 我慢できずに泉のおっぱいに触れる。


 泉は驚いたようだが嫌がりはしなかったのでそのまま泉を抱きしめた。





 ★




 「透…少しは元気出た?」


 泉のおっぱいに顔を埋めて息を整える。


 すっかり出し切ってぐったりしてしまった身体を泉が優しく撫でてくれていた。


 「うん…寧ろ元気になり過ぎちゃって…ごめん。たくさん出しちゃった…。」


 「そう。なら良かった。透…大好きだよっ…。」


 泉に抱きしめられていると安心する…。


 

 夕飯時まで部屋でまったり泉と抱き合ってゆっくり休んだ。







 「ご飯凄い…美味しそうだね。」


 長野の名産品を使った和食メインの夕飯に美味しいお酒…。


 「きのこ御飯のきのこ大きいっ。」


 きのこの出汁がよく出ていて美味しい。


 「透っ…このサーモン美味しいよっ。」


 泉が信州サーモンを食べさせてくれる。



 「んふっ…本当美味しいね。」


 …可愛くて美人で優しい奥さんが食べさせてくれるサーモンは尚更…。


 普段こんな事恥ずかしがってやってくれないからそれだけで嬉しくて堪らない。


 お酒を呑んで美味しいご飯を食べて…あっという間に酔ってしまう。


 透は普段からお酒は呑まない。


 そのためお酒に弱く、すぐにフラフラになってしまった。




 「ん…もう食べられないっ!」


 いつ寝てしまってもいいように敷いてあった布団に転がる。


 「私もっ。」


 泉がご機嫌で隣に寝転んでくる。


 「泉…この一年お疲れ様。本当ありがとうね。」


 横になった泉の手に触れる。


 泉がその手を握り返してくれた。


 「ううん。この一年頑張れたのは透のおかげだよ。嫌なことがあった日も、帰れば透がまっててくれてるって思えば頑張れたし、ご飯もいつも美味しくって…。私の方こそ…ありがとう。」


 



 泉のおっぱいに顔を埋めながら早朝起きる。


 …あのまま寝ちゃったのか…。


 透を胸に抱きながら眠っている泉の寝顔はまさに女神サマのようだ。


 本当に可愛くって愛おしくて堪らなかった。




 …もう一回寝ようっ。


 柔らかで温かな泉のおっぱいに顔を埋める。


 …泉…いい匂いっ。


 物凄い幸せだ。


 結局チェックアウトぎりぎりの時間まで泉と眠ってしまい、慌てて旅館を出た。


 


 最後はバタバタしてしまったが、泉とゆっくりできたし、楽しかったな…。


 雪の降り続く雪国を走り抜ける。


 しんしんと降る雪は今通ってきた車の轍を覆うように積もっていった。



 

 

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