第5話 クリスマスの朝にっ★
泉がもぞもぞと動き出した。
「おはよう、泉…。」
泉の額にキスをする。
「んっ…おはよう透…。」
泉はくすぐったそうに身を捩って目を開ける。
「…とおる?」
泉は透の上で寝ていた事に気づいたようだ。
「ごめんねっ重かったでしょっ!?」
慌てたように透の身体から降りようとして…。
「いや…重くはないんだけど…そろそろコレ…外してもらってもいい?」
「…?!」
一瞬不思議そうな顔をする。
そうして透の腕の手錠に気づいたようだ。
「どうしてって…あっ!」
一応昨日の記憶は残っているようで、真っ赤になりながらパジャマの胸ポケットから小さな鍵を取り出して手錠を外そうとする。
…しかしその頃には泉の柔らかなお尻にすっかり熱くなってしまった透の身体の一部が当たっていた。
泉が焦って手錠を外そうとするが、そのたびに泉のお尻が擦れていったのでそこはますます硬くなるばかりだ。
「んっ…。」
手錠の鍵穴が小さいせいか泉はなかなか鍵を外すことができない。
…昨日からおあずけをくらっていたのでもう我慢ができなかった。
身体をずらしてすっかり戦闘態勢になっている透の一部を泉のちょうどお尻の下あたりにあてがう。
「…っ透っ…?」
泉は赤くなっているがもう構うものか。
もういっそ手錠がついたままでも…。
泉のお尻よりもっと柔らかなそこに当たるように腰を動かす。
「…っ。」
泉はその意図に気づいたようだ。
「んっ…透のが当たって…。」
泉は鍵を開けようとしながらも目を閉じてしまう。
…その時奇跡的に鍵が開いて手錠が外れた。
「泉っ!!」
泉を抱きしめながらそのまま擦り付ける。
「んっ…透…っあっ…。」
★
泉の胸に顔を埋めて息を整える。
落ち着くまで泉は透の頭を撫で続けていてくれた。
「ごめん…この前からずっとガマンしてたから…抑えられなかった…。」
「…ううん…私…透に飽きられちゃったのかと思ってたから…嬉しいっ。」
…!?
なんだと!?
「泉に飽きるわけないでしょっ…。オレいつも泉の事ばっかり考えてるのに…。」
そう言うと泉が嬉しそうに笑う。
「そうなの?それなら…嬉しい。」
「それはそうと、どうして手錠なんて持ってたの?」
泉にはそれが一番聞きたかった。
まさかコレを泉が買ったとも思えないし…。
「ねえ、高校の時仲良くしてた浅川さんって覚えてる?」
「うん。真実と仲良くしてた子だよね。あの陸上部の…。」
「その浅川さんが入社してきたんだよ。それで昨日どうしても断れなくって、一杯だけ付き合ったんだ。透にメールしたんだけど…。見てなかった…よね。それで帰り間際に浅川さんがくれたの。透と仲良くって。」
「…ああ、浅川さんか…懐かしいな…。」
髪の長い女の子だった。
おそらく真実…泉の双子の兄の事が好きだったはずだ。
いつも真実のこと見てたし…。
浅川さんか…それなら手錠も…なんとなく納得した。
「ねえ透…昨日はごめんね。せっかくご飯作って待っててくれたのに…。もう少し休んだら昨日透が作ってくれたご飯食べよう?昨日はクリスマスのお祝いもできなかったし…。」
「いや寝落ちたのはオレだしさ。気にしないでいいよ。でも折角だしご飯にしようか。今日からお休みなんだしゆっくりしよう。」
そっと泉を抱きしめる。
連日の忙しさと何度も抱いてしまったせいでとうとう泉の体力も尽きたのか、ぐっすりと腕の中で眠る泉…。
…幸せだなあ…。
眠る泉の寝顔を見つめる。
…愛してるよ、泉…。
泉の肌の温もりは何よりも暖かで安心できた。
…今日から泉も冬季休暇だ。
しばらく離れないで済むと思うと自然と笑顔になる。
泉の寝息を聞きながら目を閉じてそっと意識を手放した。
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