第29話 エドモンの決意
「殿下………」
ディアは体を強張らせながら俺に声をかけてきた。俺は彼女を怖がらせてしまったことに気づき後悔した。
「少し感情的になってしまった。先程の件、やりたくないのであれば私が対処しよう」
俺が踵を返そうとしたとき、同じく体を強張らせていたエドモンが問いかけてきた。
「殿下。私は名ばかりの次期領主です。おそらく、近いうちに現領主に追い出されるでしょう。それでも、私は生まれ育った街、両親の愛したロデルナの街が好きです。民が飢えているこの現状をどうすればよいか………私に、殿下のお力をお貸しいただけないでしょうか!」
急にエドモンが次期領主であることを皆がいる前で明かし、俺にすがりつくような目でそう言いはなった。
「それは、私に対して次期領主として陳情しているのか?」
「はい」
エドモンは大きく頷いた。
"面白い"
俺は棚ぼた的なこの展開に可笑しくなって笑った。
「お前と現領主、どちらがマシかな。民に問いかけてみるか。とりあえず、民代表の司教に聞くか?」
彼は、食ってかかってきた最初とは全く違い、頼れる相手を見つけたとでもいうような眼差しを俺に向けていた。
"本当は一番助けてほしかったってわけか"
俺は次期領主として頼りなさを感じたが、まぁ、うまくロデルナ領主になってくれそうな彼の態度に満足した。
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